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DATE/ 2024.12.26

下の名前だけじゃない!珍しい「キラキラ名字」

 昨今は以前に比べ話題にのぼることは減ってきた“キラキラネーム”。実は名字にも “キラキラ”な読み方があることをご存知でしょうか。

 とはいえ、名字は先祖代々受け継ぐ、いわば伝統のようなもの。さすがに新しくつくるということはまずありません。しかし、古くから伝わる名字には変わった読みのもの、思わず驚くような字面、キラキラネームに負けず劣らずの、エッジの立ったものもあります。

 今回は、日本人ならば誰しもが持っている「名字」のなかでも、変わった読みのものを紹介していきましょう。

ストレートな“キラキラ名字”「雲母(きらら)」

「雲母」とは、「きらら」の他に「うんも」とも読み、きらきらと光る鉱石の一種です。理科の授業などでも習うものなので、知っている人も多いかもしれません。「きら」という読み方もあり、日本画の絵の具の材料にも使われ、雲母の産地で発祥した名前とも言われます。この名字の方は、全国でおよそ60人ほどしかいないそうです。

 こうした鉱石や宝にちなんだ名前というのは縁起がよさそうですね。仏教において大切とされる七つの宝を表す「七宝(しっぽう)」や、そのもの「国宝(こくほう)」という名字もあります。いずれも全国で100人に満たず、実際に1,000点を超える国宝よりも貴重な名字といえそうです。

男の子なら憧れてしまう!?「無敵(むてき)」

 なんとも勇ましい名前ですが、実際に戦いでの功績をほめられて付けられたのがはじまりといわれています。かなり珍しい名字ですが、男の子なら憧れてしまう名字ではないでしょうか。 名前からパワーがあふれていますね。

 こうした強いイメージの名字は実際に「強いから」という理由だけでなく、戦いがあった場所などにもかかわりがあるようです。いかにも勇ましい「一番合戦(いちまかせ/いちばんがせ)」は実際には合戦場所が由来となり名前がついたとか。女優さんの名前で有名な「剛力(ごうりき)」も知られていますが、いずれも国内で50人もいません。

由緒正しい神聖な「神(かみ/かなえ/じん)」

 敬称の「様」をつけると、何だか不思議な気分になりそうですが、「神」は出雲大社に起源を持つ、由緒正しい名字です。また、天皇から姓を賜った神氏という一族もあり、やはり神聖なもの、神聖な場所に由来しています。意外とメジャーな名字で、国内でおよそ1万4000人の「神」様がいらっしゃいます。さすがに八百万よりは少ないですが、「神」とつく名字は、こうした神事などにかかわる場所や職業から取られることが多いようです。

 一方、神は神でも中には七福神の一人でもある「弁天(べんてん)」や「布袋(ほてい)」など神々の名前を持っている方や、「大仏(おおらぎ)」というおがみたくないような名字もあります。

動物にちなんだ名字なら最強!?「獅子王(ししおう)」

 名字の中でも意外と多いのは動物に関する名字。「獅子王(ししおう)」はそのもの百獣の王というイメージですが、全国50人に満たないほど稀少な名字です。由来は詳しく分かっていませんが、動物に関する珍しい名字はこのほかにもいくつもあります。

「牛来(ごらい)」、「雲類鷲(うるわし)」、「鴨頭(かもがしら)」、「蜘手(くもで)」など、まるで奇譚に出て来そうなキャラクターがイメージできそうです。動物が祀られていた場所に縁があったり、飼育にかかわっていた、名字を考えた人物が好きだったということもあるでしょう。

実は別の漢字から変化!?大人の雰囲気漂う「官能(かんのう/かんの)」

 文字に起こすとなんとも色っぽい名字です。しかし、「官能」という名字の場合、元来は「菅野」や「管納」など、別の漢字を当てはめていたものが変化したという経緯があるようです。

「浮気(うきぎ)」や「二股(ふたまた)」という、どこからから週刊誌の大砲の音が聞こえて来そうな名字もありますが、いずれも決して恋愛に由来のあるものではありません。また、「十六女(いろつき)」という、可憐で艶っぽいイメージのものもあり、大人の雰囲気漂う名字はまだまだありそうです。

名字の向こうにある人々の営み

 いかがでしたでしょうか。古くから脈々と続いてきた名字もあれば、明治に入って先祖の誰かが思いつきでつけたという名字もあります。珍しさの差はありますが、いずれの名字にも、わたしたちがこの名前を受け継ぐまでに、たくさんの人々が関わり、営んできた歴史と文化があります。名字を調べながら、先祖たちの時代に思いをはせるのも楽しいかもしれませんね。
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