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DATE/ 2017.03.08

チョッキ…?20代は使わないファッション死語

 ファッションは、そのときどきの世の中のムードや流行、ライフスタイルと切っても切り離せないもの。それだけに、新しいファッション用語が生まれては、時の移り変わりとともに死語となっていくケースが多いといえるでしょう。

 ファッションの死語を見ていけば、「そんな言葉があったなぁ」と懐かしく当時の世相を振り返ることができます。また、若い方にとっては、逆に新鮮な響きがあり、そこからインスピレーションを受けるという、そんな「温故知新」的な発想からリバイバルブームが起こることもあります。

 今回はユニークなファッション死語と、それらを取り巻いたライフスタイルに関する死語を紹介していきましょう。

定番のファッション死語

【チャック・お口にチャック・社会の窓】

 服飾製品に欠かせないファスナーやジッパーは、専門用語でいうと「滑り式留金具」。かつては「チャック」と呼ばれていました。なぜチャックなのかというと、日本の大手非金属メーカーYKKのホームページには、「日本では、1927年に尾道で『巾着(きんちゃく)』からもじって、ファスナーを『チャック印』として販売したところ評判になり、『チャック』という名前が定着しました」とありました。もともとアメリカでファスナーやジッパーとして売られていたものが、日本ではチャックという商品名に変わり、それが評判になったため、そのまま長い間使われていたということです。

 チャックが馴染み深い名称だったことを表すライフスタイルの死語を挙げると「お口にチャック」というものがあります。騒いでいる子どもを静かにさせるとき、世のお母さんたちは「お口にチャックをしなさい!」としかっていたのです。

 また、チャックから派生する死語には「社会の窓」という懐かしい言葉もあります。男性のズボン(これも死語ですが)のチャックが開いていると、周囲の人が「社会の窓が開いているよ」と、やんわり指摘したものです。

【ズボン・ジーパン・パンタロン】

 かつてはパンツといえば下着を指す言葉で、パンツは「ズボン」という総称で呼ばれていました。そのパンツに関わる死語として、スボンのほかに、「ジーパン」「パンタロン」を挙げることもできます。

 ジーパンはまだまだ意味が伝わる名称ですが、どこか「ダサい」印象を与えるのか、今ではジーンズ、もしくはデニムと呼ばれています。1990年代にビンテージのジーンズが流行ったあたりから、ジーパンという言葉は隅に追いやられていった印象があります。

 パンタロンとは裾の広がったパンツのことです。ベルボトムとも、ラッパズボンとも呼ばれ、1960年代後半から1970年代にかけて大流行しました。特に当時のタレントやロックミュージシャンはこぞって履いたものです。これらの裾広がりのデザインの名残りは、今ではジーンズのブーツカットなどに見ることができます。

【とっくり・コール天】

 定番のファッション死語といえば、「とっくり」と「コール天」を挙げないわけにはいきません。とっくりとはタートルネックのこと。首の部分が細く、胴体が太い焼き物の容器・徳利をイメージして、とっくりという名で親しまれたのです。また、コール天はコーデュロイのこと。コーデュロイとは、パイル織りによって畝(うね)をつけたビロード織物の名称で、コール天は「corded(うね織り)」とビロードを意味する「天鵞絨」を掛け合わせた言葉ともいわれています。

 タートルネックもコーディロイも定期的に流行の波がやってくるファッションですが、いつか、とっくり、コール天という呼び名もまた、ファッション用語として復活するかもしれませんね。

【チョッキ】

 「チョッキ」は袖のない胴着、つまりベストのことです。日本でのみ使われたファッション用語ですが、昭和の子どもたちにとっては、定番中の定番ともいえる名称でした。当時の子どもたちはみな、肌寒い日には、長袖のシャツの上にウール素材のチョッキを着ていたものです。

トレンド雑誌から生まれたファッション&ライフスタイル死語

 続いて、当時のトレンドを発信していた人気雑誌から生まれたファッション&ライフスタイルの死語を見ていきましょう。

【オリーブ少女・ポパイ少年】

 1982年に創刊され、おしゃれな少女をとりこにした雑誌が『Olive』(オリーブ)です。『Olive』はファッションにとどまらず、インテリアや雑貨、ヘアスタイルやメイクなど、おしゃれ少女ならおさえておくべきライフスタイル全般を提案。1980年代から1990年代初頭にかけて、『Olive』を自身の生活の指針とする少女が数多く現れ、彼女たちは「オリーブ少女」と呼ばれたのです。

 一方、『POPEYE』(ポパイ)はアメリカ文化をおしゃれに紹介する雑誌として、『Olive』より6年ほど早い1976年に創刊されました。都会での遊び方を指南するというコンセプトが受け、『POPEYE』は若者の間で絶大な人気を誇ったのです。そして、それに影響された若者たちを「ポパイ少年」と呼んだのですが、1980年代中頃のD.C.ブランド全盛期、彼らはこぞって『POPEYE』から情報を仕入れていました。

 そのほか、雑誌発の言葉で現在死語になっているものに「アンノン族」があります。これは1970年創刊の『an・an』、1971年創刊の『non-no』を手に、誌面で紹介された観光地や繁華街を訪れる女性を指した言葉でした。

【テクノカット】

 1978年、坂本龍一氏、細野晴臣氏、高橋幸宏氏という名アーティストが集い、テクノバンドのYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)が結成されました。当時、最先端の電子機材を生かした彼らのダンスミュージックが世界を魅了し、テクノブームを巻き起こします。

 斬新な音楽を生み出したYMOの3人はその頃、モードな服装に身を包み、ファッションもリードしていました。また、中国の人民服を着てレコードジャケットに収まるなど、オリエンタルなおしゃれ感も提示しました。

 そんな彼らが流行らせたのが「テクノカット」。もみあげを鋭角に剃り、襟足を刈り上げたヘアスタイルのことです。当初、そのヘアスタイルは一部の若者たちの間でのみ注目されましたが、1980年代に入ると中高生の間で大ブームに。

 その火付け役となったのは、1983年にデビューした後またたく間に時代の寵児となったチェッカーズでした。テクノカットをアレンジして、さらに前髪を長く垂らした彼らのヘアスタイルは、男女を問わず真似されたのです。

まだまだあるファッション死語

 死語となったファッション用語はまだまだあります。そのなかで、色落ちするダメージ加工を施したジーンズを指す「ケミカルウォッシュ」、薄い色の入った大きなサングラスを指す「トンボめがね」などは、流行が去るとともにアイテムそのものが姿を消し、死語になっていった言葉ともいえます。

 今回挙げた言葉が流行ったあの頃、青春時代を過ごしたという方は、当時を思い出して、なつかしく感じたのではないでしょうか。また、当時を知らないという方で気になる言葉があったならば、一度そのファッション、デザインに触れてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
YKK:ファスナーのなるほど
https://www.ykk.co.jp/japanese/ykk/mame/fas_01.html
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