インテリジェンス・ヒストリー入門
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
どの国にも民族のプロトタイプのような政治家がいる
インテリジェンス・ヒストリー入門(9)国民性の研究
中西輝政(京都大学名誉教授/歴史学者/国際政治学者)
それぞれの国には、それぞれの国の国民性を代表するような政治家がいる。たとえばイギリスにおけるハリファックス卿などは典型的な事例といえる。インテリジェンスにとって重要なことは、そうした国民性を理解することである。(全11話中第9話)
時間:9分27秒
収録日:2017年11月14日
追加日:2018年6月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●どこの国にも民族のプロトタイプみたいな政治家がいる


中西 1930年代のイギリス保守党の政治家に、ハリファックス卿という人物がいました。ネヴィル・チェンバレン後の総理大臣になるとまで言われた人ですが、結局総理の座をウィンストン・チャーチルに譲って、自分はアメリカ大使になりました。宥和政策派として有名で、アドルフ・ヒットラーと手を結び、ヒットラーとスターリンに戦争させるのが一番だという路線でした。チェンバレンの宥和政策を共有していたのですが、チャーチルが頭角を現すと彼に譲ったのです。

 イギリスの政治貴族の世界は、そういういわゆる腹芸の世界です。何代も前にさかのぼると、名誉革命を実行した家系につながっています。自分たち貴族の階級支配を続けるためには、王様でも売り飛ばすという、それぐらいの国家観の持ち主なのです。融通無碍というのか、平気でいろんな取引ができる人でした。

 ヒットラーともすごく良い相性でした。何度も会いにいって、肝胆相照らしましたし、ヒットラーは話の分かる人物だからミュンヘンに行けとチェンバレンに勧めたのも、みんなハリファックスです。政治を裏で動かすというほどの辣腕(らつわん)ではなかったかもしれませんが、そういう哲学の持ち主でした。

 しかも、相手を説き伏せたり、引き付けたりする力がものすごくあります。チャーチルがハリファックスをアメリカ大使としてワシントンに送りましたが、フランクリン・ルーズベルトは当初、ものすごい不信感を抱いていました。こんな宥和政策派を送ってきて、どういうつもりだと感じていたのです。しかし、あっと言う間にハリファックスのとりこになってしまいました。

 アメリカのマスコミ、メディアも、最初は悪名高い人物だと評していたのに、いつの間にかすぐにハリファックスファンになっていたのです。アメリカにおけるイギリス諜報部であったBSC(ブリティッシュ・セキュリティー・コーディネーション)が活躍できたのも、ハリファックスがその地盤づくりに貢献したからです。

 確かにハリファックスは得体の知れない人間ですが、18世紀ぐらいからイギリス政治史を見てくると、大貴族の政治家にはこういったパターンが必ず登場します。二階氏のような政治家も、日本政治では典型的なパターンの一つとして、ずっと存在してきました。例えば、大野伴睦などはそうでしょう。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
編集部ラジオ2026(27)昭和の名将・根本博
【10min解説】根本博…戦後の内蒙古での激闘と台湾での義戦
テンミニッツ・アカデミー編集部
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(5)1人の力で歴史を変えた男たち
大義にもとづく「個人の決断と行動」が歴史を動かす…名将の教訓
門田隆将
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
イラン戦争と終末論(2)終末論とトランプ政権への影響
イラン戦争で反ユダヤ主義が加速!?トランプ政権へのリスク
東秀敏