知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
暗黙知と形式知とはどのようなものなのか
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(6)暗黙知と形式知
経営ビジネス
遠山亮子(中央大学 大学院 戦略経営研究科 教授)
私たちが生み出すべき知識は、どのようにして成り立っているのだろうか。知識には暗黙知と形式知の二種類があり、それらの相互作用によって知識が生まれるという。両方の知識は共に必要だが、特に暗黙知は競争優位の源泉として重要である。(全9話中第6話)
時間:13分35秒
収録日:2018年11月24日
追加日:2019年8月29日
≪全文≫

●知識には暗黙知と形式知の二種類がある


 さて、先ほどちらっと言いましたが、実は知識には「暗黙知」と「形式知」と呼ばれる二つのタイプの知識があります。形式知というのは言語や文章で表現できる客観的、理性的な知識で、われわれが知識といったときに思い浮かべるのは通常、形式知です。

 本で読むことができるとか、マニュアルに書いてあるとか、データベースに入っているなど、そういうものが形式知です。


●暗黙知には行動スキルと思考スキルがある


 ところが、知識には暗黙知(tacit knowledge)と呼ばれるものもあり、これは言語や文章で表現することが難しい主観的、身体的な知識と定義されています。

 暗黙知にも二種類あって、一つは「行動スキル」というもの、もう一つは「思考スキル」と呼ばれるものです。例えば、自動車の運転を考えると、何冊ドライビングマニュアルを読んでも自動車がすぐに運転できるようにはならないわけです。あるいは、「自動車の運転の仕方を説明してください」といわれて「前に行きたいときにアクセルを踏んで、止まりたかったらブレーキ踏んで」と説明しても、自動車の運転について全て説明したことにはならないのです。自動車の運転という行動スキルは、実際に自分で何度も自動車を運転してみて覚える身体的な知があります。つまり、体の中にその知識を染み込ませて、初めて車が運転できるようになります。だから、自動車を運転するという知識は暗黙知になります。

 一方、自動車を運転していて、右折したいけれども前から車が来るとき、止まって待つべきか、スピードアップして先に右折するべきかという判断をしなければいけません。それも、何冊のドライビングマニュアルを読んでも分からないわけです。それは自分で実際に経験して、例えば後ろからクラクションを鳴らされて「今、行くべきだったな」とか、ちょっとぶつかりそうになって、ひやっとしたので、「今、待つべきだったな」ということを何度も繰り返しながら、初めて自分の中に右折のタイミングという知識が身に付くようになるのです。それは右折のタイミングというものが思考スキルだからです。

 思考スキルと行動スキルには相互作用があり、行動スキルを身に付ける中で思考スキルも身に付いていくし、思考スキルを身に付けると行動スキルが、より増える...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
ビジネス・エコノミクス(1)差別価格から学ぶダイナミックプライシング
差別価格の実例でダイナミックプライシングの真髄がわかる
伊藤元重
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
部下を育てるには、まず佐藤一斎に学べ!
田口佳史
サントリー流「海外M&A」成功術(1)ビーム社買収の裏側
私が直面したビーム社買収の「壁」
新浪剛史

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治