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知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ
暗黙知と形式知とはどのようなものなのか
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(6)暗黙知と形式知
経営ビジネス
遠山亮子(中央大学 大学院 戦略経営研究科 教授)
私たちが生み出すべき知識は、どのようにして成り立っているのだろうか。知識には暗黙知と形式知の二種類があり、それらの相互作用によって知識が生まれるという。両方の知識は共に必要だが、特に暗黙知は競争優位の源泉として重要である。(全9話中第6話)
時間:13分35秒
収録日:2018年11月24日
追加日:2019年8月29日
収録日:2018年11月24日
追加日:2019年8月29日
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≪全文≫
●知識には暗黙知と形式知の二種類がある
さて、先ほどちらっと言いましたが、実は知識には「暗黙知」と「形式知」と呼ばれる二つのタイプの知識があります。形式知というのは言語や文章で表現できる客観的、理性的な知識で、われわれが知識といったときに思い浮かべるのは通常、形式知です。
本で読むことができるとか、マニュアルに書いてあるとか、データベースに入っているなど、そういうものが形式知です。
●暗黙知には行動スキルと思考スキルがある
ところが、知識には暗黙知(tacit knowledge)と呼ばれるものもあり、これは言語や文章で表現することが難しい主観的、身体的な知識と定義されています。
暗黙知にも二種類あって、一つは「行動スキル」というもの、もう一つは「思考スキル」と呼ばれるものです。例えば、自動車の運転を考えると、何冊ドライビングマニュアルを読んでも自動車がすぐに運転できるようにはならないわけです。あるいは、「自動車の運転の仕方を説明してください」といわれて「前に行きたいときにアクセルを踏んで、止まりたかったらブレーキ踏んで」と説明しても、自動車の運転について全て説明したことにはならないのです。自動車の運転という行動スキルは、実際に自分で何度も自動車を運転してみて覚える身体的な知があります。つまり、体の中にその知識を染み込ませて、初めて車が運転できるようになります。だから、自動車を運転するという知識は暗黙知になります。
一方、自動車を運転していて、右折したいけれども前から車が来るとき、止まって待つべきか、スピードアップして先に右折するべきかという判断をしなければいけません。それも、何冊のドライビングマニュアルを読んでも分からないわけです。それは自分で実際に経験して、例えば後ろからクラクションを鳴らされて「今、行くべきだったな」とか、ちょっとぶつかりそうになって、ひやっとしたので、「今、待つべきだったな」ということを何度も繰り返しながら、初めて自分の中に右折のタイミングという知識が身に付くようになるのです。それは右折のタイミングというものが思考スキルだからです。
思考スキルと行動スキルには相互作用があり、行動スキルを身に付ける中で思考スキルも身に付いていくし、思考スキルを身に付けると行動スキルが、より増える...
●知識には暗黙知と形式知の二種類がある
さて、先ほどちらっと言いましたが、実は知識には「暗黙知」と「形式知」と呼ばれる二つのタイプの知識があります。形式知というのは言語や文章で表現できる客観的、理性的な知識で、われわれが知識といったときに思い浮かべるのは通常、形式知です。
本で読むことができるとか、マニュアルに書いてあるとか、データベースに入っているなど、そういうものが形式知です。
●暗黙知には行動スキルと思考スキルがある
ところが、知識には暗黙知(tacit knowledge)と呼ばれるものもあり、これは言語や文章で表現することが難しい主観的、身体的な知識と定義されています。
暗黙知にも二種類あって、一つは「行動スキル」というもの、もう一つは「思考スキル」と呼ばれるものです。例えば、自動車の運転を考えると、何冊ドライビングマニュアルを読んでも自動車がすぐに運転できるようにはならないわけです。あるいは、「自動車の運転の仕方を説明してください」といわれて「前に行きたいときにアクセルを踏んで、止まりたかったらブレーキ踏んで」と説明しても、自動車の運転について全て説明したことにはならないのです。自動車の運転という行動スキルは、実際に自分で何度も自動車を運転してみて覚える身体的な知があります。つまり、体の中にその知識を染み込ませて、初めて車が運転できるようになります。だから、自動車を運転するという知識は暗黙知になります。
一方、自動車を運転していて、右折したいけれども前から車が来るとき、止まって待つべきか、スピードアップして先に右折するべきかという判断をしなければいけません。それも、何冊のドライビングマニュアルを読んでも分からないわけです。それは自分で実際に経験して、例えば後ろからクラクションを鳴らされて「今、行くべきだったな」とか、ちょっとぶつかりそうになって、ひやっとしたので、「今、待つべきだったな」ということを何度も繰り返しながら、初めて自分の中に右折のタイミングという知識が身に付くようになるのです。それは右折のタイミングというものが思考スキルだからです。
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