知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ
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経営資源としての知識、7つの特性
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(3)経営資源としての知識
経営ビジネス
遠山亮子(中央大学 大学院 戦略経営研究科 教授)
ドラッカーが述べたように、高度に発達した資本主義の時代には、知識が富の創造の中心になってくるという。だが、知識はそれまでの富の源泉であった人、物、金とは異なる多くの特徴を持つ。例えば、使っても減らず、生産と使用が分かれておらず、市場取引には不向きである。(全9話中第3話)
時間:14分51秒
収録日:2018年11月24日
追加日:2019年8月22日
≪全文≫

●知識を富の創造過程の中心に据える経済理論が必要だ


 競争のポイントが変化しています。今までは、価格、品質、品揃え、それから流通を抑えれば、いい品物を安く広く販売すれば、大企業としては、それが競争優位の源泉でした。

 ところが今は、そうではありません。生産力が変えられる時代ですから、デザインとかブランドとかビジネスモデルとか技術プラットフォームを握った者が勝つということになるわけです。だから競争のポイントがどんどん変化しています。

 そういう時代になったときに、知識創造の話に戻りますが、ピーター・ドラッカーが「知識は今日、唯一の意義ある資源である」と、1993年に言っています。彼は『ポスト資本主義社会』という本の中で、「今言えることは、知識を富の創造過程の中心に据える経済理論が必要とされているということである。そのような経済理論のみが、今日の経済を説明し、経済成長を説明し、イノベーションを説明することができる」と言っています。

 なぜ知識が重要なのでしょうか。『ポスト資本主義社会』とありますが、要するに高度に発達した資本主義社会はどうなるかということです。資本主義社会とは読んで字のごとく、資本が中心の社会です。つまり旧来の資本主義であれば、資本、お金が一番大事です。お金を持っている資本家が土地を買って、工場を建てて、原材料を買ってきて、人を雇って、何かを生産して、売って、付加価値を得て、さらに資本を大きくするということが資本主義の基本です。

 ところが、ドラッカーは、「資本主義は高度に発達してくると、一人の資本家はもういない」といいます。お金は問題ではなく、誰かいいアイデアがあれば、つまり知識を持っていれば、お金は借りてくることができる。投資家の投資、投資ファンドの投資を受けることができる。この場合、投資ファンドですが、アメリカでいうと、今、年金ファンドがすごく大きい。それは皆、自分の年金を預けているからです。普通の人が自分の年金を集めていて、それが集まると巨額のお金になって、そこからどこかに投資されます。だから、誰か一人がお金を持っているわけではなく、お金はいろいろな人が持っているのです。それをいいアイデア、いい知識さえ持っていれば引っ張ってくることができて、物...

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