日本企業の弱点と人材不足の克服へ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
良い政策をつくるスタートラインは、常に常識を疑うことだ
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(4)常識を疑ってイノベーションを起こす
西山圭太(東京大学未来ビジョン研究センター客員教授/元・経済産業省商務情報政策局長)
「リーダーとは、今自分の目の前にある世界とは違う世界があることを知っている人」。この言葉を耳にした西山氏は経済産業省時代、よく言っていたのは「良い政策をつくるスタートラインは、常に常識を疑うこと」で、イノベーションを起こすには大事な発想だという。実は世界で成功しているビジネスモデルは、日本発のものが少なくない。ファッションではZARAがセゾングループのやり方をモデルに成功した。日本の問題は、そうした知恵を仕組み化してグローバルに展開できないことにある。(全8話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分54秒
収録日:2020年10月28日
追加日:2021年1月17日
≪全文≫

●常に常識を疑うことからイノベーションは始まる


西山 テレビの歴史番組でリーダー論をやっていたのですが、自分の言いたいことと似ている、すごくいい言葉に出会いました。「リーダーとは、今自分の目の前にある世界とは違う世界があることを知っている人」というのです。

 今目に見えている世界があり、その範囲でより細かく物事を見がちですが、そうではない。今ある世界とはガラリと違う世界があるという発想ができる。しかも、それを単に空想ではなく、現実味があることとして思える人です。

 私が役所でよく言っていたのが、「良い政策をつくるスタートラインは、常に常識を疑うことだ」というものです。ある部署に行ってまずやるべきは、その部署で誰も口にしない、議論する必要がないぐらい常識になっていることを疑うことだと。

 最近のことは、まだグラグラしています。土台から積み重なっていく中、新しいものは最後に載ったものだからグラグラしている。「イノベーション(新機軸)」というとき、普通はこれをまた変えようとします。つまり些細なところをいじろうとしますが、これだとイノベーションにほとんど結びつきません。

 やるなら誰も議論しないくらい、あまりに当たり前のこと。「えっ、そこ聞きます?」みたいなところを、「えっ、そうなのか?」というものに変えるのがイノベーション。それは行政でもビジネスでも同じだと思います。


●常識ではない電気料金の「総括原価主義」が常識として考えられていた


西山 例えば私が一番最初に携わった電気事業の規制で当時、一番当たり前のようにいわれていたのが、電気料金における「総括原価主義」です。1990年代前半、自由化が進む前の話で、新聞を見ても「電気事業」と入力すると、自動的に「料金規制」「総括原価主義」と出てくるといった具合でした。

 しかし現実には、当時の電気事業はまったく総括原価主義ではありませんでした。新聞には、総括原価主義とは「総括原価に利益を上乗せして料金を決めること」と書いてあります。日本の電気事業法でそうなっていて、これで毎年儲かっているのはけしからん、というのです。

 でも5分考えれば分かりますが、本当にかかった原価に利益を上乗せするのであれば、料金は毎年変動するはずです。原価は当然、毎年変わりますから、しょっちゅう上がったり下がったりします。

 ところが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留