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良い政策をつくるスタートラインは、常に常識を疑うことだ
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(4)常識を疑ってイノベーションを起こす
西山圭太(東京大学未来ビジョン研究センター客員教授/元・経済産業省商務情報政策局長)
「リーダーとは、今自分の目の前にある世界とは違う世界があることを知っている人」。この言葉を耳にした西山氏は経済産業省時代、よく言っていたのは「良い政策をつくるスタートラインは、常に常識を疑うこと」で、イノベーションを起こすには大事な発想だという。実は世界で成功しているビジネスモデルは、日本発のものが少なくない。ファッションではZARAがセゾングループのやり方をモデルに成功した。日本の問題は、そうした知恵を仕組み化してグローバルに展開できないことにある。(全8話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分54秒
収録日:2020年10月28日
追加日:2021年1月17日
≪全文≫

●常に常識を疑うことからイノベーションは始まる


西山 テレビの歴史番組でリーダー論をやっていたのですが、自分の言いたいことと似ている、すごくいい言葉に出会いました。「リーダーとは、今自分の目の前にある世界とは違う世界があることを知っている人」というのです。

 今目に見えている世界があり、その範囲でより細かく物事を見がちですが、そうではない。今ある世界とはガラリと違う世界があるという発想ができる。しかも、それを単に空想ではなく、現実味があることとして思える人です。

 私が役所でよく言っていたのが、「良い政策をつくるスタートラインは、常に常識を疑うことだ」というものです。ある部署に行ってまずやるべきは、その部署で誰も口にしない、議論する必要がないぐらい常識になっていることを疑うことだと。

 最近のことは、まだグラグラしています。土台から積み重なっていく中、新しいものは最後に載ったものだからグラグラしている。「イノベーション(新機軸)」というとき、普通はこれをまた変えようとします。つまり些細なところをいじろうとしますが、これだとイノベーションにほとんど結びつきません。

 やるなら誰も議論しないくらい、あまりに当たり前のこと。「えっ、そこ聞きます?」みたいなところを、「えっ、そうなのか?」というものに変えるのがイノベーション。それは行政でもビジネスでも同じだと思います。


●常識ではない電気料金の「総括原価主義」が常識として考えられていた


西山 例えば私が一番最初に携わった電気事業の規制で当時、一番当たり前のようにいわれていたのが、電気料金における「総括原価主義」です。1990年代前半、自由化が進む前の話で、新聞を見ても「電気事業」と入力すると、自動的に「料金規制」「総括原価主義」と出てくるといった具合でした。

 しかし現実には、当時の電気事業はまったく総括原価主義ではありませんでした。新聞には、総括原価主義とは「総括原価に利益を上乗せして料金を決めること」と書いてあります。日本の電気事業法でそうなっていて、これで毎年儲かっているのはけしからん、というのです。

 でも5分考えれば分かりますが、本当にかかった原価に利益を上乗せするのであれば、料金は毎年変動するはずです。原価は当然、毎年変わりますから、しょっちゅう上がったり下がったりします。

 ところが...

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