日本企業の弱点と人材不足の克服へ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「デジタル人材の不足」は知識ではなく「気づき」の問題
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(3)「デジタル人材」に対する誤解
西山圭太(東京大学未来ビジョン研究センター客員教授/元・経済産業省商務情報政策局長)
日本人が「横に切る」のが苦手なのは、日本企業の流動性の少なさにも要因がある。同じ業界の同じような発想の人たちしか知らないと、深く掘る方向にばかり向かってしまいがちだ。デジタル化が喧伝されて久しいが、大事なのはプログラミング言語をたくさん覚えることではなく、デジタル化の構造や原理を理解することだ。よって、デジタル人材といった場合に重要なのはデジタル的な世界に慣れ親しめる考え方や発想を持つことで、そこは「気づき」の問題であると西山氏は言う。(全8話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:8分05秒
収録日:2020年10月28日
追加日:2021年1月10日
≪全文≫

●プログラミング用語を知っているのが「デジタル人材」ではない


西山 おそらくもう一つあるのは、完全にアメリカのような社会になるのがいいかどうかは置いておいて、日本の会社の流動性が非常に少ないことです。基本的に会社に勤めれば、少なくとも大企業の場合は、その会社にずっといます。

「横に見る」という作業は、自分が本来接しているのとは違う世界をイメージできないとできません。例えば、やや乱暴な意見ですが、日本の多くの企業は業界紙を読んでいて、その業界紙に書かれた情報は、その業種でほぼ同じビジネスをしている別会社が、何をやっているかの情報です。それは縦に極める場合は意味のある情報ですが、横に切ろうとすると、まったく意味のない情報になってしまうのです。自分と同じようなことをやっている人が、同じようなことをやっていると確認するだけですから。

 同じようなことをやっている人は、同じようなことをやっているに決まっているので、(「横に見る」という作業の場合、)そんなことはどうでもいい。それよりも、同じようなことをやっていない人と自分との共通点は何かを知る。先ほどの言葉を使えば、「抽象化」する発想を持つ。

 これを相当トレーニングしないと、経営リーダーとして経営判断はおそらくできないし、現場にいても新しいプロダクトやサービスを考えたり組織を変えたりするのは、難しいと思います。

 例えば本屋の「情報化」というコーナーに行くと、山ほど本が並んでいます。プログラム言語ごとにさまざまな本があり、これらを見ると、おそらく情報化やデジタルとは、細かい技術・知識の総体のように思います。その結果、細かいことをたくさん理解しようとしてしまう。

 もちろん、ある分野のエキスパートになるにはそれも必要ですが、一番大事なのは、デジタルとは先ほど言ったような原理、発想の上に成り立っていると、まず理解することです。さもないと先ほどのチューリングの話を「部品の組み合わせ」と理解したのと同じです。

 つまりデジタル化とは、たくさんあるプログラム言語を覚えることで、「たくさん覚えてチャンピオンになる」というような発想になってしまう。その理解はおそらく間違っているので、まずはデジタル化の構造や原理を理解することが大事。

 それも難しい表現ではなく、それぞれの人が実感を持てるように理解することが非常に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦