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現行人類の限界を考えれば電脳社会への見る目も変わる

電脳社会の未来(1)人類唯一の希望

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
執行草舟が「AIの発展は人類唯一の希望」だというのは、われわれが人類は自分たちを「よいもの」と考えている、その前提がそもそも間違っているという考えから電脳社会の未来を語るシリーズの第一回。人間にはよいところもあれば悪いところもあるように、AIについても同じである。欲望と物質にまみれ、破綻するしかないところまで来てしまった人類が生き残る唯一の可能性は、AIとの共存ではないか。まずはそれを認めることが大事なのである。(全9話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:31
収録日:2023/08/02
追加日:2023/09/15
カテゴリー:
キーワード:
≪全文≫

●現行人類もいいところもあれば、悪いところもある


―― では先生、よろしくお願いいたします。

執行 はい、よろしく。

―― 先生に今回お聞きしたいのは、現代のAIの議論や発想……。

執行 電脳化社会ということですね。

―― そうですね。この辺りからお聞かせください。先生は独自の考え方を持っていらっしゃいますから(そこをお聞きできればと思います)。

執行 独自というほどではないですが、AIのこれからのあり方というか……。

―― ずいぶん早い段階から注目されていましたね。

執行 自分自身が好きか嫌いかは別途として、私の考えですが、AIの発展は人類唯一の希望だと思っています。

―― 唯一の希望ですか。

執行 嫌な言い方を最初にしておくと、われわれ現行人類つまりホモ・サピエンスは、量子コンピュータに結びつくAIの技術やそのロボット化を生み出すため地球上に生存していたのではないか。そう思うぐらいAIは最終的な人類の、良くも悪くも希望だと思います。

―― 良くも悪くも希望だと。

執行 悪いほうもあります、今の人類から見れば。そこで、議論の最初に私が言っておきたいのですが、今の人には「現行人類が絶対にいいものだ」という前提があります。誰と話してもそうです。みんな自分が現行人類ですから。

―― はい。

執行 でも、それは間違いだと思います。現行人類もいいところもあれば、悪いところもあり、悪魔に近いところもある。AIもそうです。

―― なるほど。AIも同じなのですね。

執行 悪魔になる場合は悪魔にもなるし、いいほうになる可能性もある。現行人類もそうだった。AIもそう。それで私の直感なり経験知で言うと、現行人類は現行人類だけで生きていくとしたら、よいほうの希望はなくなったように思います。

 もう悪いほうしかない。歴史的に言うと原子爆弾ができた20世紀中頃からです。科学文明が頂点に達し、悪い言い方をすると自分を神だと思い、もう止めるものがなくなってしまった。

―― 神だと思ったのですね。

執行 そこからはもう悪いほうしか出ていません。

―― なるほど。私が執行先生に絶対お聞きしたかったのは、学者によるAIの技術的な解説やAIを経営的にどう使うとかといった話でなく、先生のような歴史やある種の文明論的な話です。ものすごく楽しみにしていました。

執行 まず最初に言いたいのは、現代人がAIを...
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