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現行人類に残された部分は混沌、不合理、魂の野蛮さ

電脳社会の未来(7)魂の野蛮な部分が人間の特質

執行草舟
実業家
概要・テキスト
人に感化を与えるのは、真の教養を持っている人である。同時に、人間は危険な存在でもある。「希望」があると思って、「悪」をやめないからである。だからこそ、悪意に満ちた人類性善説、機械性悪説を打ち砕かなければいけない。人間が得意な部分こそ、魂の野蛮な部分である。そして、武士道や騎士道が、人類が持つ野蛮性と高貴性が婚姻してできた巨大な文化なのだ。(全9話中第7話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11:59
収録日:2023/08/02
追加日:2023/10/27
カテゴリー:
キーワード:
≪全文≫

●人に感化を与えるのは、真の教養を持っている人


執行 希望論にしても「希望がなければダメだ」と言いますが、人類の希望こそが一番悪いのです。希望があると思っているから、人類は悪さをやめない。本当にダメだと思ったら、やめています。

―― そうでしょうね。

執行 それを知らず、希望を生み出してしまったのです。今AIとロボットが希望になっているのは、知らずにやっているからです。その希望であるAIやロボットを、われわれは「危険だ」などと言っている。危険というなら、人類のほうがよほど危険です。

―― 全くその通りですね。

執行 歴史が証明しています。

 現代は、(例えば)大工場(トヨタの大工場など)、全部ロボットになっています。医療の現場も全部AI、ロボット的医療器具というのかな。

―― 手術ロボットとか、みんなそうですね。

執行 機械もそうです。手足はありませんが、ある種のロボットです。中に入っているのはAIですから。すでに全部がAI化していることが、なぜわからないかが私の疑問の主力です。

―― やはり行くところまで行きついていることを前提で議論しないと(いけませんね)。

執行 だから、今日のAI議論は、技術論よりもAIを議論する前提をわかってもらうための議論なのです。

―― そのほうが大事ですね。

執行 そうしなければAIを本当の意味で考えられません。みんな「AIは怖い」「人間は優しい」「人間には人情がある」と捉えていますが、その中でロボットやAIを議論してもダメなのです。

―― おっしゃる通りです。

執行 今、私がしゃべってきたことは、すでにAIのほうがずっと安全で、人情もあり、物がわかり、誤診もない、(つまり)「人間よりもまし」という話です。人間は今、ものすごくバカになったのです。そのことがわかっていない。

 私が若い頃お世話になった教養のある、村松剛、森有正、小林秀雄、三島由紀夫といった方々は、本当に頭のいい人でした。

―― ずば抜けていますね。

執行 (そういう人は今)一人もいない。今はよくて専門分野に片づいているのですが、今挙げた人たちをはじめ、昔の教養人は何でも知っていました。村松剛も森有正も、世話になっていますが知らないことがこの世にない…。

―― かつ感化を人に与えるのですね。

執行 そういう印象です。小林秀雄もそうです。私は20歳の時に小林秀雄と知...
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