●「人間の健康にとって何がいいか」の答えが「読書」
執行 (キリスト教の狂信的な信者とゲルマン兵は)今流に言えば、魂を持っていた。では魂を持っていた人間が何をつかさどったかというと、ローマ帝国の常識で言うと「悪いこと」です。
―― 確かにそうですね。
執行 ローマ帝国の人たちが言う「いいこと」とは遊びであり、教養であり、みんなで楽しく時間を過ごすことや、うまいものを食うことです。それが善で、これは歴史的事実です。ローマ帝国は極端なところまで行ったのですが、それが一度に崩壊して、ヨーロッパ全部が田舎になった。都会は一つもなく、今で言えば喧嘩が一番強い人を中心とする村落共同体があっただけ。それが中世です。
―― それは分かりやすいですね。
執行 あとは、学問的で高度な文明を維持した修道院だけです。修道院は山の中にぽつんと1軒だけあって、信仰だけで皆が生きて、文明をつないで死んでいった。あの中世が800年以上、1000年ほど続いたのです。
―― 確かにそうですね。800年以上、1000年、山の中にある教会がつないでいったわけですね。
執行 全部そうです。今われわれはそれが美しい思い出になっていますが、出た頃は悪の権化で野蛮で、くだらないことだったのです。
―― 確かにそうでしょうね。
執行 そうなのです、ローマ人から見たら。だから、それがもう少し大きい形で来るのだから、われわれは、魂を保持しようと思ったら、人間が持つ悪いものを受け持つことになるのです。
愛でも多分、愛のいいものはコンピュータになる。(つまり)AIが保持して、(それが)正しい人類になる。でも、愛には「恨み」など、どうしても悪いというところもいろいろあるでしょう。そちらをわれわれはやることになるのです。
―― なるほど。
執行 これは形としては、悪くなるわけではない。欲目でなく、科学的に見て言うのですが、私は絶対、武士道的、騎士道的な時代に戻っていくと思います。その武士道を主導するのが、今度はロボットになるということです。
―― 面白いですね。ロボットになるのですね。
執行 今はっきりしたことを言えるのは、もうAIしかないですから。NHKの番組か何かで見たのですが、何か情報を入れて答えを聞くと、AIが答えを出す。その答えをのみ込める人間はいませんでした。私があの番組を見たのは5年ぐらい前かな。例えば「人間...