●「法の前の平等」は人間がやっている限り絶対に達成できない
執行 よく「AIと人間とどちらが犯罪を犯す可能性があるでしょう」などと聞かれます。あるいは「裁判官などをAIが代替するのはどう思われますか」と。回答を言うと、全法律を今すぐAI化したら、素晴らしい社会がやってきます。
裁判官が人間であることで、今はものすごい不平等と差別が行われています。平等と科学が好きなはずなのに、なぜ人間が人間に法律を扱わせているのか。法の前で平等ということは今、大前提で宣言されています。憲法もそうだけれども、本当なら全部AI化したほうが全く正しい。そう思いませんか。
―― 延々と停滞している、裁判システムは、ものすごく遅いですよね、特に日本の場合。
執行 そうでしょう。あれは人間がいるからです。
法律に則って全部決めるAIシステムにしたら、裁判なんて1時間で回答が出ます。そして正確。平等も科学も、人間がやっている限りは絶対に達成できません。
―― おっしゃる通りでしょうね。
執行 (人間が)それをやって悪いという意味ではありません。ただ人情などを入れたいなら、「法の前の平等」を、憲法から何から全部、改正しなければならない。要するに人情とえこひいきだけでやる。強い者が勝つ。頭のいい者が勝つ。勉強しなければ落ちる。そんな昔の社会みたいならいいのです。
何の力もない人はすぐに死刑。有名人や金持ちは特別待遇。(それを)悪いと言っているのではありません。中世までの社会はそうですから。庶民なんて、その場で叩き切られる。でも貴族や僧侶なら、何を犯してもほとんど許してもらえる。それはそういう社会だからです。
でも、それがダメということで、(別の社会になって)現代が来たわけです。それで、やれ平等だ、科学だ、法律だ、法の前には全員平等だと言っているのだから、今日現在で裁判所に裁判官は一人も要らないと言っているのです。
技術的には全部AIとロボットでできるので、素晴らしい法律社会になるでしょう、これは。
―― 結論が速いですよね。
執行 そうです。そこで出る反対意見は、みんな人情論です。人情論を出してきて、「法の前の平等」はおかしいでしょう。
法律は今、最もAI化しやすい分野です。法律をAI化してロボット化する。この決断を人類ができるかできないかに、AI社会の未来はかかっているように...