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「ずる賢い考え方」をしたがる人類に科学や民主主義は無理

電脳社会の未来(8)やはり最後の記念碑は芸術である

執行草舟
実業家/著述家/歌人
概要・テキスト
「法の前の平等」は、人間が裁判官をやっている限り絶対に達成できない。人間は平等、正義、科学を標榜しているのに、例えば、縁故とずる賢さと自分だけうまいことをしたいという、さもしい根性を捨てないからだ。AIに、全面的に判断を任せれば素晴しい法律社会ができあがるだろう。一方、われわれ人類の魂の躍動の最大の記念碑となるのが芸術である。たとえば、画家・戸嶋靖昌氏の最後の生きざまは、人類にしかできない魂であった(全9話中第8話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10:14
収録日:2023/08/02
追加日:2023/11/03
カテゴリー:
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≪全文≫

●「法の前の平等」は人間がやっている限り絶対に達成できない


執行 よく「AIと人間とどちらが犯罪を犯す可能性があるでしょう」などと聞かれます。あるいは「裁判官などをAIが代替するのはどう思われますか」と。回答を言うと、全法律を今すぐAI化したら、素晴らしい社会がやってきます。

 裁判官が人間であることで、今はものすごい不平等と差別が行われています。平等と科学が好きなはずなのに、なぜ人間が人間に法律を扱わせているのか。法の前で平等ということは今、大前提で宣言されています。憲法もそうだけれども、本当なら全部AI化したほうが全く正しい。そう思いませんか。

―― 延々と停滞している、裁判システムは、ものすごく遅いですよね、特に日本の場合。

執行 そうでしょう。あれは人間がいるからです。

 法律に則って全部決めるAIシステムにしたら、裁判なんて1時間で回答が出ます。そして正確。平等も科学も、人間がやっている限りは絶対に達成できません。

―― おっしゃる通りでしょうね。

執行 (人間が)それをやって悪いという意味ではありません。ただ人情などを入れたいなら、「法の前の平等」を、憲法から何から全部、改正しなければならない。要するに人情とえこひいきだけでやる。強い者が勝つ。頭のいい者が勝つ。勉強しなければ落ちる。そんな昔の社会みたいならいいのです。

 何の力もない人はすぐに死刑。有名人や金持ちは特別待遇。(それを)悪いと言っているのではありません。中世までの社会はそうですから。庶民なんて、その場で叩き切られる。でも貴族や僧侶なら、何を犯してもほとんど許してもらえる。それはそういう社会だからです。

 でも、それがダメということで、(別の社会になって)現代が来たわけです。それで、やれ平等だ、科学だ、法律だ、法の前には全員平等だと言っているのだから、今日現在で裁判所に裁判官は一人も要らないと言っているのです。

 技術的には全部AIとロボットでできるので、素晴らしい法律社会になるでしょう、これは。

―― 結論が速いですよね。

執行 そうです。そこで出る反対意見は、みんな人情論です。人情論を出してきて、「法の前の平等」はおかしいでしょう。

 法律は今、最もAI化しやすい分野です。法律をAI化してロボット化する。この決断を人類ができるかできないかに、AI社会の未来はかかっているように...
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