本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
早熟度と才能を誤解しないような社会・教育システムが重要
本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った(8)早熟度がはげるとき
渡部昇一(上智大学名誉教授)
「頭がいい子供を育てる」という受験勉強主体の教育風土においては、「早熟」という問題点が現われざるをえない。官僚は減点主義だから、ミスを犯さなければ出世する。ところがそのうちの少なからぬ人たちが、出世の途中で早熟度がはげてくるはずだ。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第六章・第8回。
時間:7分49秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月17日
≪全文≫
 「頭がいい子供を育てる」という受験勉強主体の教育風土においては、私はそこに「早熟」という問題点が現われざるをえないように思う。

 私の恩師である佐藤順太先生が、「秀才と呼ばれる人の大部分は早熟であり、世間では早熟のことを秀才といっているのです」と、よく話しておられた。デュモランの『Anglo-Saxon Superiority』を私に勧めてくださったのも、佐藤先生である。

 たしかに考えてみると思い当たるふしがある。私は田舎町のさらに田舎の端の生まれで、幼稚園がないところに育ち、小学校に入るまでは、ドジョウをとったり、木に登ったり、そんなことばかりして遊んでいた。

 一方、江戸時代に高級武士だった家の子弟は、田舎町ではあるが幼稚園のある中央部に住んでいて、優等生は小学校に入る前に幼稚園に行ったり、武士の躾などを受けていた。先生はだいたい高級武士の出身である。

 彼らに比べると、私などは事前に何の訓練も受けずに小学校に入ったから、当初はその差は天と地ほどに思われた。ところが小学校の五年、六年生になると、めっきがはげてくるように、優等生たちの早熟度がだんだんはげてくる。私が学んだ小学校は藩校で、早熟の優等生がたくさんいたが、旧制中学に入ってみると、かつての優等生は一人ぐらいしかいない。みんな入学試験に落ちていて、彼らはどこに行ってしまったのだろうと不思議に思った。

 旧制中学で一番成績の良かった人は、陸軍幼年学校に行ったが、彼らの多くは戦争が終わって帰ってきてから大学に入っている。私の大学時代に仲の良かった友人が陸軍幼年学校の出身で、「お前、優秀だなあ」とよくいったものだが、彼は大学を落第してしまった。遊んでいて落第ではなく、勉強して落第しているのだ。佐藤順太先生がおっしゃっていたように、早熟度がはげたのだなと私は思った。

 陸軍幼年学校を出て将校になっても優秀な人はいるし、将校になったあたりで早熟度がはげてしまった人もいるだろう。その早熟度が、いつ頃にはげるかが問題なのであり、早熟度と才能を誤解しないようなシステムが重要ではないかと私は思う。

 たとえば、家庭が裕福で親にも教養があり、いい塾とかいい先生が付いた子供は、日本の大学では一番難しいとされる東大に行き、公務員でも一番難しいところに入るだろう。聞くところによると、官僚は減点主義だから、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ