本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
激しい対空砲火の中、着陸に成功した「義烈空挺隊」の最期
本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った(10)華々しく勇敢だった若者に去来した思いとは
渡部昇一(上智大学名誉教授)
先の大戦では、国のため、家族や愛する人たちのためには死んでも構わないという青年たちが、日本にいくらでもいた。昭和20年、義烈空挺隊員を乗せた爆撃機十二機は、米軍の激しい対空砲火で次々と撃墜されるが、一機だけが沖縄の北飛行場への強行着陸に成功。飛行機や航空燃料などを破壊したのち全員戦死している。隊長以下、みな二十代、十代の若者だった彼らの胸に去来した思いは、どのようなものだっただろうか。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第六章・第10回。
時間:2分23秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月17日
≪全文≫
 いま、ガッツを育むために必要な教育はどのようなものであるかについて、いささかならずわき道に逸れることも恐れずに考察してきた。だが、あくまで大切なのは、心の「核心」に何を育むかであることは、忘れてはならないことであろう。強いガッツを心に持つためには、心の「核心」に、より情念的な部分が必要だということである。

 言い方を換えるならば、先ほど「早熟がはげる」という話をしたが、それは早熟な人間の場合、城の本丸にあたる「核心」を育まないまま、早期教育で「城の堀や城壁」ばかりつくってしまった結果ではないか、とも思う。その核心こそ、「負けてたまるかという人間としての誇り」であり、「命を懸けても守らなくてはならない正義・理念」であり、「愛国心」などといったものであろう。

 そういう意味では、先の大戦では、その「核心」の部分を強固に培っている日本人が多かった。特攻隊の例を見てもわかるように、国のため、家族や愛する人たちのためには死んでも構わないという青年たちが、日本にいくらでもいた。そのような方々を数多く失ってしまったことが、実に惜しくてたまらない。

 たとえば、パレンバン空挺作戦(昭和17年〈1942〉)を成功させた落下傘部隊(空挺部隊)だ。彼らは「空の神兵」とも呼ばれた。

 それまで落下傘部隊が飛行機からパラシュートで降下して行なう空挺作戦で大戦果を上げるのは、どの国にとっても困難極まることであった。世界でも、日本陸軍航空隊によるパレンバン空挺作戦と、海軍航空隊のメナド攻略戦(昭和17年〈1942〉)がほぼ唯一の成功例だといってよい。

 なかでもロイヤル・ダッチ・シェルの大規模な油田と精油所を有するインドネシア・スマトラ島のパレンバンでは、施設が破壊されないように作戦を進める必要があったため、落下傘部隊が降下して奇襲し、ほぼ無傷で占領を行なった。彼らは、占領された側であるオランダ人が「こんなに勇ましい連中がいたのか」と驚嘆して書くほど、勇敢だった。

 かくまでに華々しく、勇敢だった幼顔の若者たちは、その後どうなったか。

 パレンバン空挺作戦を行なった陸軍の落下傘部隊が所属していたのが、陸軍挺進団の第一挺進団という部隊である。同部隊から、大東亜戦争末期に義烈空挺隊が出ている。米軍に占領された沖縄の飛行場に強行着陸して斬り込みをかけ、敵機を破壊すべく最期の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
中国共産党と人権問題(5)そもそも人権思想と憲法とは?
中華人民共和国憲法は人権型ではない
橋爪大三郎