本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人種的差別撤廃を国際会議で初めて提案したのは日本だった
本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った(4)人種平等案否決が大東亜戦争の遠因
渡部昇一(上智大学名誉教授)
第一次世界大戦後のパリ講和会議で、日本は人種差別撤廃の提案を行っている。実は、国際会議でこういったことを訴えたのは日本が初めてであった。だが、この案は反対され、流されることになる。当時、植民地を抱えていた主要国からすれば、人種差別撤廃など、とても呑めない話であった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第六章・第4回。
※本項には該当映像がありません。
時間:9秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月14日
≪全文≫
 人種差別といえば、第一次世界大戦後のパリ講和会議で新しく国際連盟をつくるための委員会において、日本が「人種的差別撤廃提案」をしたことは知る人も多いだろう。日本は、「各国均等の主義は国際連盟の基本的綱領なるに依り締約国は成るべく速に連盟員たる国家に於る一切の外国人に対し、均等公正の待遇を与え、人種或いは国籍如何に依り法律上或いは事実上何等差別を設けざることを約す」という内容を規約に盛り込もうとしたのである。

 国際会議において、人種差別の撤廃を訴えたのは日本が初めてであった。このことは、ぜひ強調しておくべきことである。

 しかも日本は無理な主張をしてはいない。アメリカの国内事情なども斟酌して、期限など設けずに「なるべく速やかに」と書いているのである。現在から見れば崇高な意義のあることを、真っ正面から、しかし控えめに打ち出したのだ。

 この提案に賛意を寄せる心ある人々も多かった。だが、この案には反対が出されて、流されることになる。当時、植民地を抱えていた主要国からすれば、人種差別撤廃など、とても呑めない話であった。人種差別の国・アメリカでは上院で「人種差別撤廃提案が採択されたならば、アメリカは国際連盟に参加しない」という決議まで行なわれていた。当時の国際社会では、「日本は白人を中心とする世界秩序を混乱させるために、あえてこんな提案をしているのではないか」という疑心暗鬼さえ持たれたのである。

 それでも日本は食い下がった。国際連盟委員会の最終会合で日本は、連盟規約前文に「国家平等の原則と国民の公正な処遇を約す」という文言を入れる修正案を提案したのである。この場でも反対意見が出されたが、日本は「これは理念を謳っているもので内政干渉ではない。これに反対するのは他国を平等と見ていない証左だ」と主張して採択を求めた。

 その結果、賛成したのは日本、フランス、イタリア、ギリシャ、セルビア、クロアチア、チェコスロバキア、ポルトガル、中華民国。反対はアメリカ、イギリス、ブラジル、ポーランド、ルーマニアであった。条文に規定がない内容を前文に入れるのはおかしいという理由での反対もあったが、それでも賛成票が反対票を上回ったのであった。

 だが、議長だったアメリカのウィルソン大統領が、こう述べる。

 「全会一致でないので、本修正案は否決された」

 日本は「多数決で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦