本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「有色人種は厨房以外では使わない」と書いた米国人の真意
本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った(2)名実ともに人種差別国家だったアメリカ
渡部昇一(上智大学名誉教授)
1950年代から60年代に燃え盛った公民権運動を経る前のアメリカは、名実ともに「人種差別国家」であった。アジア系で最初に迫害されたのは19世紀中頃に移民してきたシナ人であった。シナ人の次にやってきたのは日本人だが、日清戦争に勝利した日本人にはシナ人たちに対するような無法な実力行使を重ねるわけにはいかなかった。そこで排日移民法成立へと進んでいく。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第六章・第2回。
※本項には該当映像がありません。
時間:9秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月14日
≪全文≫
 話がだいぶ逸れたが、少なくとも1950年代から60年代に燃え盛った公民権運動を経る前のアメリカは、名実ともに「人種差別国家」であったといってよい。

 スプルーアンス太平洋艦隊司令長官は、その自叙伝で、アジア系や黒人などの有色人種は厨房以外では使わないと書いている。もし、他の部署で使って、彼らが功績を上げたら出世させざるをえなくなる。そうなったら、その有色人種の部下につかなくてはならなくなる白人が出ることになるが、そんなことを当時の白人が我慢できるはずがない、という理屈である。まことに、あけすけな人種差別である。

 このような感覚は日本人には、なかなか理解できないものであろう。もちろん、日本人の中には、朝鮮人を低く見るような人もいただろう。だが、朝鮮人が上官になって従わないなどということはなかった。げんに、有名な例としても、洪思翊中将や金錫源大佐(日本名は金山錫源)らがいるし、後の韓国大統領・朴正煕や、朝鮮戦争の英雄・白善燁は満洲国軍の中尉だった。

 私はよく、当時のアメリカの人種差別を少しでも実感したいなら、映画『ジャイアンツ(Giant)』を見るといい、と勧めている。エドナ・ファーバーの小説を原作とし、ジョージ・スティーヴンスが監督、ジェームズ・ディーン、ロック・ハドソン、エリザベス・テイラーが主演した1956年制作の映画だ。

 この映画の話の背景として描かれるのが、ヒスパニック系に対する差別である。テキサスの富豪の息子がヒスパニック系の娘と結婚したためにさまざまな人間模様が起きるのだが、見目麗しい俳優・女優たちが演じていることもあって、正直なところ日本人からすると白人とヒスパニック系の区別がなかなかつかず、どうして差別されているのか理解に苦しむことになる。

 こんなシーンもある。あるとき富豪の息子の嫁が美容院に行くと、ヒスパニックであることを理由にサービスが受けられない。富豪の父は怒り心頭に発し、「われわれはサービスを拒否する権利を持ちます」と書かれた看板を掲げた店に入ったときに店主と殴り合いの大ゲンカをするのである。また、ヒスパニックであるという理由で白人の医者が患者を診たがらないというシーンもある。

 こんな映画を見ると、ヒスパニックでこれだけの差別をされていたのだから、黒人やアジア系はさぞや酷い目に遭っていただろうことが、たちまち...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
大人の学び~発展しつづける人生のために(1)「Unlearn(アンラーン)」とは何か
見方を変える!生き方を変える!そのためのアンラーン
為末大
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓