本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
交渉にはヤクザなガッツが必要…ハリマン協定と小村寿太郎
本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った(6)ハリマン提案を蹴った「深みのなさ」
渡部昇一(上智大学名誉教授)
アメリカの鉄道王エドワード・ハリマンは、日露戦争後、南満洲鉄道の共同経営を日本側に申し入れ、桂首相と仮協定を結んだ。だが、小村寿太郎はこれに反対し、協定を解消させている。あのとき南満洲鉄道を共同経営していたら、その後の歴史は大きく変わっていただろう。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第六章・第6回。
時間:5分23秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月14日
≪全文≫
 その点でいうと、「国のかたち」を悪いほうに左右してしまった一人として挙げられるのが、本書で何度も取り上げてきた幣原喜重郎であろう。

 幣原は豪農の家に生まれ、東京帝大をいい成績で卒業し、三菱財閥三代目総帥の岩崎久弥の妹と結婚している。人の悪いところを疑わない、素直な人物に育ったのではないかという気がする。素直に育つことは悪いことではない。だが、素直に育つことの怖さもある。そのことを、もしかすると現代の日本人は理解できないのではないだろうか。

 明治維新の元勲たちは、下級武士からのし上がってきて、いつ斬り殺されてもおかしくない状況で生きてきたから、どこかに煮ても焼いても食えない部分があった。たとえば日清戦争までの日本外交を手がけた陸奥宗光は、西南戦争で西郷隆盛の挙兵に呼応して政府転覆を謀った立志社事件に関与して捕まり、投獄された。下手をしたら文字通りクビが飛んだ人物だったが、有能だったから外交官として復活し、日清講和条約の調印を成功させた。

 ところが、日露戦争後のポーツマス講和会議の全権を務めた小村寿太郎の世代は、もはや維新の白刃の下をくぐっていない。彼は大変な秀才で、現在の東大法学部にあたる開成学校(大学南校より改組)の法学部で学んだあと、ハーバード大学で法律学を専攻し出世している。

 もちろん、ポーツマス講和会議での小村寿太郎の貢献はきわめて大きなものであった。だが、その一方で小村寿太郎は、自分が講和会議で不在中に仮締結された南満洲鉄道経営に関する桂・ハリマン協定(明治38年〈1905〉)に反対し、協定を解消させている。

 アメリカの鉄道王とも呼ばれるエドワード・ハリマンは、日露戦争の折に、有名なジェイコブ・シフなどと並んで日本が発行した戦時公債に巨費を投じて日本を助けた人物であるが、日露戦争後、南満洲鉄道の共同経営を日本側に申し入れてきたのであった。資金不足の日本からすれば、これはけっして悪い話ではなく、伊藤博文、井上馨、渋沢栄一、それに桂首相といった維新の元勲や財界人たちはみな賛成したが、ポーツマス条約締結から帰ってきた小村寿太郎は、「そんなのはけしからん、自分に相談もなしに何だ」と言い出したのだ。小村の言い分は「満洲の権益は日本軍が血を流して得たものだ。それをアメリカと一緒にやる必要はない」ということで、誰も当時反対できない議論だっ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(1)危機の台湾への密航
「国共内戦」危機の台湾…根本博の密航と涙で迎えた中国人将軍
門田隆将
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
ギリシア神話の基本を知る(2) 5つの時代と歴史観
ヘシオドスの『労働と日々』で描かれた「5つの時代」とは
鎌田東二
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(6)漢字と理性と想像力
漢字と理性と想像力…いま日本人が考えるべきこととは?
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉