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非アウタルキー国家といわれた日本。アウタルキーとは?

本当のことがわかる昭和史《6》人種差別を打破せんと日本人は奮い立った(13)アジア独立こそ日本の生きる道だった

渡部昇一
上智大学名誉教授
概要・テキスト
アメリカやイギリス、ソ連など自給自足国家は、他国との貿易を制限して自国経済を守るために、どんどん関税障壁を高め、ブロック経済化を推し進めた。しかも、日独伊三国同盟やシナ事変などによって態度を硬化させた英米は対日禁輸策を打ち出してきていた。これを打開するため、日本はアジア諸国を独立させることによって自由貿易を進め、資源を確保しようと考えた。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第六章・第13回。
※本項には該当映像がありません。
時間:00:09
収録日:2015/02/02
追加日:2015/09/17
≪全文≫
 ちなみに、共同宣言の最後の条目に「進んで資源を開放し、以て世界の進運に貢献す」とあるのも、このときの日本の思いをよく象徴している。

 当時、アウタルキーという言葉があった。これは「自給自足国家」「自己完結経済」というほどの意味である。つまり、他国から輸出入をしなくてもやっていける国ということを意味する。

 イギリスやオランダ、フランスなどは多くの植民地を抱えていたから、もちろんアウタルキーである。アメリカやソ連も広大な領土に資源がたくさんあるからアウタルキーだ。一方で問題なのは、非アウタルキー国家の日本やドイツ、イタリアであった。

 ホーリー・スムート法が成立したために世界貿易が縮減し、景気が急激に冷え込んでくると、アウタルキーの国々は他国との貿易を制限して自国経済を守るために、どんどん関税障壁を高め、ブロック経済化を推し進めた。こうなると、非アウタルキー国家はたまったものではない。

 しかも、日独伊三国同盟やシナ事変などによって態度を硬化させた英米は対日禁輸策を打ち出してきていた。

 これを打開するには日本はアジアに資源を求めざるをえない。だが日本は、アジア侵略によって資源を入手しようと考えていたのではなかった。アジアを解放して、アジア諸国を独立させることによって自由貿易を進め、資源を確保しようと考えたのである。その思いが、共同宣言の最後の条目に込められているのである。

 アジアの独立こそが、日本の生きる道であったことは、きちんと踏まえておかねばならぬ点である。
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