テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.06.12

激安ビールがなくなるってホント?

 2017年6月1日から酒税法などの改正法が施行されました。

 ビールや発泡酒など晩酌をかかせないご家庭では、ニュース報道や店頭の告知などで、5月末までに駆け込みでまとめ買いした人も少なくなかったのではないでしょうか。

酒の安売り規制の目的

 今回の改正酒税法は、量販店やのディスカウント店などによる過剰な安売りから、個人で営んでいる町の酒屋さんを保護するためのものです。議員連盟「街の酒屋さんを守る国会議員の会」が改正案を国会に提出したことで成立しました。

 これまで、大量の商材を扱える量販店やディスカウント店は、メーカーからの販売奨励金(リベート)が得られるので、ビール・発泡酒製品を目玉商品として、販売原価を下回るような原価割れで販売してきました。今後は、仕入れ原価と販売管理費の合計額を下回るような小売価格で販売した場合、処罰されることになり、違反の状態によっては、酒類の製造・販売免許を取り消したり罰金を科したりするというとてもキビシイ内容になっています。

その影響は?

 直接的な予測として、まず、酒類の価格の上昇があげられるでしょう。

 小売店にとって、原価割れの安売り販売は、宣伝費と割り切れる集客効果として成り立っていましたが、今後は差別化できる商材とはならなくなることを意味します。

 消費者にとっては、それほど価格差がつかないのであれば、利便性とブランド力から近所のコンビニで購入するように思います。結果的に、地の利の比較から、町の酒屋さんも苦境にたたされるのではないでしょうか。

 また、価格の上昇感は、近年増加傾向にある「家飲み」需要を鈍らせることも予測され、強いては一般的なアルコール離れにもつながりかねません。メーカーにとっては、リベートを大きく減額できることから、利益への貢献を期待するムードがあるようですが、アルコール離れが進むと、長期で苦しくなることも予測されます。

 酒税は国にとっても貴重な税収です。今回の改正酒税法ははじまったばかりなので、消費者、小売店、メーカーそれぞれにとってプラスとなるかマイナスとなるか、その経過を見守りたいところです。

<参考サイト>
・ビール値上げ一覧を調査!発泡酒だけじゃないの?イオンとセブンで前後を比較
http://borderline.blue/beer-price-increase-list/

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
2

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
3

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
5

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授