テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.07.24

男性更年期に対処する!男性ホルモンをアップさせる方法

 男性のバイタリティとプロダクティビティの根源、男性ホルモン。年齢とともに男性ホルモンテストステロン)が減少することは昔からよく知られていましたが、中年期以降の男性のクオリティ・オブ・ライフを著しく下げていることが分かってきました。いわゆる「男性更年期」です。日本で初めて男性外来であるメンズヘルス外来を開設した経験をお持ちの順天堂大学医学部大学院医学研究科教授・堀江重郎医師のレクチャーから、男性更年期障害の特徴をかいつまんでみました。

「おーい、お茶」テストで分かる男性ホルモン格差

 ユーモラスなお人柄の堀江医師が冗談交じりに勧めるのは「おーい、お茶」テスト。自宅の茶の間で「おーい、お茶」と言ったときの反応を3段階に分けています。

 「おーい、お茶」と呼んで、素直にお茶が出てきたら、夫の男性ホルモン量はまだまだ活発で、妻に負けていません。

 「たまにはあなたも自分で入れたら」と小言と一緒にお茶が出てきたら、夫婦の男性ホルモン量はかなり接近しています。

 「おーい、お茶入れたぞ」と夫が言ってしまう家庭では、妻の男性ホルモン量が逆転して、夫を上回っているというのです。

 これは半分ジョークではありますが、女性が更年期を迎えると男性ホルモンが多くなるのは事実です。男性と女性の「更年期」の違いを見てみましょう。

女性の更年期と男性の更年期の違い

 女性の更年期は月経終了に伴うもので、閉経前後5年と決まっています。更年期の間の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に下がるため、心身の変調をきたし、ほてりや発汗、うつ、不眠などに悩まされます。しかし、現代の女性は平均寿命85歳。更年期が終わっても、平均して30年ほどの人生が残されています。

 エストロゲン周期から解放された女性は、男性ホルモンの影響を受け、より社会的な活動を行ったり、仲間と旅に出たり、何か新しいことを始めたり、活発に行動するようになります。女性にとって「更年期」は、まさに「人生をチェンジする」ための一時期なのです。

 一方男性の「更年期」は、時期が特定されていません。加齢とストレスによる男性ホルモンの減少は、40代以降いつ起こっても不思議ではなく、全く感じない人も多いからです。何となく体の疲れが取れなかったり、だるさを感じるのが初期の自覚症状でしょう。何事もおっくうになりがちで、太る人もいます。筋肉をつくると同時に、脂肪組織の増加を抑える働きも担うのが男性ホルモンだからです。このため、更年期の男性ではお腹が出てくる、骨密度が減る、動脈硬化が進むなど、さまざまな影響が出てきます。

 ほてり、発汗、うつ、不眠など、女性とまったく同様の症状も出現します。女性との違いは、一過性のものではなく、適切な対処をしない限り回復しない点です。不調の原因が男性ホルモンの減少にあるかもしれないと思い当たったら、そのままにしないことが重要だと堀江医師は言います。

まずはホルモン値の測定を、そして行動変容を

 現在は、多くの医療機関で男性ホルモンテストステロン)の測定が可能になっています。まだまだ若いつもりなのに、なぜか調子が悪い、やる気が出ない人、「あなた、男性更年期じゃない?」と妻から言われたことのある人は、ぜひ測ってみてほしい、と堀江医師。「今の自分を知る」ために、また今後をより明るくするために貴重な体験です。

 男性ホルモンをアップさせる方法は、ホルモン補充療法だけではありません。毎日が決まりきった行動パターンに陥っている自覚のある人には、「行動を変える」ことが有効だと堀江医師は言います。例えば長距離通勤をしている人は、週に一度ぐらいは会社の近くに宿を取り、ゆっくり睡眠をとってみるのもそのひとつです。

 また、定期的な運動も効果があります。ジム通いが無理でも、階段の上り下りを1日10分することから始めてはいかがでしょうか。食事で重要なのはブロッコリーやネギ類などの野菜とたんぱく質。炭水化物中心の食事は男性ホルモンを減らすということです。最後に、今日からすぐに重視したいのが睡眠。睡眠アプリなども活用して、7時間の連続睡眠をぜひ確保してください。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
2

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
3

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授
5

ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る

ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え

2016年ノーベル医学・生理学賞の受賞テーマである「オートファジー」とは何か。私たちの体は無数の細胞でできているが、それが日々、どのようなプロセスで新鮮な状態を保っているかを知る機会は少ない。今シリーズでは、細胞が...
収録日:2023/12/15
追加日:2024/03/17
水島昇
東京大学 大学院医学系研究科・医学部 教授