社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
あの「広告代理店」は一体何をしているのか?
「広告業界」と聞いたとき、まず誰もが思い浮かべるのが「電通」ではないでしょうか。業界2位の博報堂、3位のアサツーディ・ケイを知らなくても電通のことは誰もが知っているはずです。
電通が有名なのは、さまざまな噂話やスキャンダルのためだけではないでしょう。広告業界では国内ダントツのトップ、海外でも業界5位の実績があり、近年は海外展開をいっそう加速させています。
一昨年、電通の女性社員の過労自殺が大きく報じられましたが、彼女の所属はデジタル・アカウント部というインターネット広告を扱う部署でした。この過労自殺報道が発覚する直前には、インターネット広告の過大請求問題が取りざたされました。
このような事件が続出することから予想できますが、電通はネット広告では少々苦戦しているようです。
なぜなら、海外では電通ほど不祥事を報道される日本企業は他に見当たらないのだそうです。ただし、電通に限らず、アメリカの広告業界でも不透明な広告リベートの横行などブラックな慣習は見られるとも述べています。
とはいえ、「電通のスケールには及ばない」とも付け加えています。
電通のスゴいところはダイナミックさにあります。おそらくオリンピックとワールドカップをきちんと仕切れるのは、電通以外にはありえません。
ところが、こうした電通や博報堂など既存の大手代理店にしかにできないダイナミックな仕事が減っているのが現状です。さらには電通や博報堂はネット広告に対して長らく本気で取り組んではきませんでした。それがいま苦戦している大きな理由です。
電通は、「断らないこと」をモットーにどこまでもクライアントに忠義を尽くします。それに対して博報堂はちょっと八方美人なところがあり、けれどもアーティスティックで独立志向が強いとのこと。ちなみに、給料はだいたい「電通×70%=博報堂」ほどの違いがあるそうです。
広告業界で働く人の実態を知りたい方は、漫画『気まぐれコンセプト』(ホイチョイ・プロダクションズ著、小学館)を読めば大体わかるとも述べています。『気まぐれコンセプト』は、広告業界の「チャラい」「社畜」「大げさ」なところをデフォルメして描いています。
広告業界で働く当事者によると、それが「80%は当たっている」そうです。未読の方はぜひ一度手に取ってみてください。読んでいただければ分かると思いますが、これが「80%は当たっている」のはいろんな意味で驚きです。
電通が有名なのは、さまざまな噂話やスキャンダルのためだけではないでしょう。広告業界では国内ダントツのトップ、海外でも業界5位の実績があり、近年は海外展開をいっそう加速させています。
電通も苦戦するデジタル広告
いま、広告業界は激動の時代を迎えています。インターネット広告の急速な拡大がその背景にあります。業界の売上高ランキングにインターネット広告会社を含めると、2015年の時点でも、既存の大手をおさえて、トップ5に2社のインターネット広告会社が食い込んできます。一昨年、電通の女性社員の過労自殺が大きく報じられましたが、彼女の所属はデジタル・アカウント部というインターネット広告を扱う部署でした。この過労自殺報道が発覚する直前には、インターネット広告の過大請求問題が取りざたされました。
このような事件が続出することから予想できますが、電通はネット広告では少々苦戦しているようです。
世界でもブラック企業で有名?
ネット広告の過大請求の事件は、英国紙の「フィナンシャル・タイムズ」がすっぱ抜きました。米国人ジャーナリストのJ.アデルシュタイン氏は「日本の広告業界では今なお”天下の電通”かもしれないが、一部の外国特派員の間では、いまや”ブラック企業”の代名詞になっている」と指摘しています。なぜなら、海外では電通ほど不祥事を報道される日本企業は他に見当たらないのだそうです。ただし、電通に限らず、アメリカの広告業界でも不透明な広告リベートの横行などブラックな慣習は見られるとも述べています。
とはいえ、「電通のスケールには及ばない」とも付け加えています。
電通にしかできないこと
社外からは悪者扱いされることの多い電通ですが、『電通と博報堂は何をしているのか』の著者である中川淳一郎氏は、長時間労働であることは否めないが、給料もステータスも高い電通の社員のほとんどはブラック企業だと思っていないのではないだろうかと述べています。電通のスゴいところはダイナミックさにあります。おそらくオリンピックとワールドカップをきちんと仕切れるのは、電通以外にはありえません。
ところが、こうした電通や博報堂など既存の大手代理店にしかにできないダイナミックな仕事が減っているのが現状です。さらには電通や博報堂はネット広告に対して長らく本気で取り組んではきませんでした。それがいま苦戦している大きな理由です。
『気まぐれコンセプト』は80%当たっている
余談になりますが、中川さんの電通と博報堂の比較が興味深いので、少しご紹介します。2社の社風の違いは、「忠義の電通」と「ビジネスの博報堂」で表せるそうです。電通は、「断らないこと」をモットーにどこまでもクライアントに忠義を尽くします。それに対して博報堂はちょっと八方美人なところがあり、けれどもアーティスティックで独立志向が強いとのこと。ちなみに、給料はだいたい「電通×70%=博報堂」ほどの違いがあるそうです。
広告業界で働く人の実態を知りたい方は、漫画『気まぐれコンセプト』(ホイチョイ・プロダクションズ著、小学館)を読めば大体わかるとも述べています。『気まぐれコンセプト』は、広告業界の「チャラい」「社畜」「大げさ」なところをデフォルメして描いています。
広告業界で働く当事者によると、それが「80%は当たっている」そうです。未読の方はぜひ一度手に取ってみてください。読んでいただければ分かると思いますが、これが「80%は当たっている」のはいろんな意味で驚きです。
<参考文献>
・『広告〈2018年度版〉( 産業と会社研究シリーズ)』(西正監修、産学社)
・『ZAITEN 2016年12月号』(財界展望新社)
・『電通と博報堂は何をしているのか』(中川淳一郎著、星海社新書)
・『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(田崎健太著、光文社新書)
・『広告〈2018年度版〉( 産業と会社研究シリーズ)』(西正監修、産学社)
・『ZAITEN 2016年12月号』(財界展望新社)
・『電通と博報堂は何をしているのか』(中川淳一郎著、星海社新書)
・『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(田崎健太著、光文社新書)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
グローバル主義が全ての元凶…トランプ政権がめざすのは?
米国システムの逆襲~解放の日と新世界秩序(1)米国システム「解放の日」
第二次トランプ政権は、その関税政策を発動させた日、4月2日を「解放の日」と称した。そこには、アメリカが各国の面倒を見るという第二次世界大戦以降の構図が、アメリカに損害をもたらしているという問題意識がある。「解放の...
収録日:2025/04/25
追加日:2025/05/20
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「政治経済」と一口にいっても、両者を結びつけて思考することは簡単ではない。政治と経済を架橋するためには、その土台にある歴史や哲学、また実証的なデータを同時に検討する必要がある。これからの公共性を考えるための多角...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/23
トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える
編集部ラジオ2025(9)デモクラシーの危機と「哲学」
いま、世界各国で「デモクラシーの危機」が高まっています。これまでの常識を超えたドラスティックな政策を次々と打ち出す第2次トランプ政権はもちろん、欧州各国の政治状況もポピュリズム的な面を強くしています。また、ロシア...
収録日:2025/04/03
追加日:2025/05/22
日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然
医療から考える国家安全保障上の脅威(4)国家インテリジェンスの課題
「日本のインテリジェンスは大丈夫なのか」という声が海外から聞かれるという。例えば北朝鮮のミサイルに搭載されている化学剤について、「エイジング」と呼ばれる拮抗薬投与までの制限時間の観点からはまったく見当違いの神経...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/22
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10