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DATE/ 2017.09.20

Jアラートで炎上…賛否両論のネットの意見

 2017年9月15日朝、北朝鮮から日本上空を越える弾道ミサイルが再び発射されました。8月29日同様、北海道上空を通過し、太平洋上に落下。二度のミサイル発射に伴い、政府から発動された全国瞬時警報システム(Jアラート)もまた、話題を集めています。

「鳴らない」クレームと、「起こすな」炎上と

 二度のJアラートを通じて避難が呼びかけられた地域は、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県の12道県。

 対象地域外にいたり、スマホの通知設定をオフにしていたため「鳴らなかった」ことでかえって不安を覚えた人もいれば、実業家の堀江貴文氏のように「こんなんで起こすなクソ」とTwitterに投稿、炎上状態を引き起こす人も。

 堀江氏の場合、一度目は滞在していたホテル自体にJアラートの警報が作動して起こされたようですが、二度目は海外の滞在先からわざわざ「あのクソJアラート鳴らなくてよかった」とつぶやいて、賛否両論を引き起こしました。

「会社には行かなければならない」無力感

 最初の「起こすなクソ」投稿の全文は、「マジでこんなんで起こすなクソ。こんなんで一々出すシステムを入れるクソ政府」。

 政府がJアラートを利用して北朝鮮との緊張状態をあおり、政権への求心力を高めようとしているというコメントも若干は見られますが、「矛先間違えんなクソ」「充分に重大やろクソ」「お前がクソだろ」というクソ返しのつぶやきが大半。

 比較的冷静なコメントは「北朝鮮がわるいだろ」「軌道計算できるまでは着弾地点なんてわからないんだから、注意喚起のために警報出すのは理にかなってると思いますが」「Jアラートオフにしといたらええやん」の3パターンに分かれました。

 ちなみに、この日に数万件のリツイートやいいねを集めたツイートは、「今日わかったこと」として「ミサイル発射から日本に来るまでの時間が数分しかないこと」「日本上空を通過しそうになってもそれを撃ち落とすことはしないこと」「JアラートでもみんなはTwitterに集合すること」「そんなことがあっても会社には行かなければならないこと」の4点を挙げたものでした。

「たかが数分」でできること、「ゼロリスク」はないこと

 Jアラートの第一報は、ミサイル発射時に避難を呼びかけるものですが、8月29日に「頑丈な建物や地下に避難して下さい」だったのが、「頑丈な」が省かれ「建物の中、または地下に避難して下さい」となりました。これは、「家の中にいてもより頑丈な建物に移らないといけないのか」などの不安の声が寄せられたためです。

 実際にJアラートが鳴ってから避難することに意味があるのか、ないのか。それは、北朝鮮の意図や状況(本気で狙っているのか、誤って落ちる可能性もあるのか、弾頭はどんな種類なのか等)によって変わります。「たかが数分で何ができる」という声もありますが、知らなければ「備える」こともできません。

 今の段階でのヒステリックな警告に対して「怖いのは、『オオカミ少年』現象が起こり、人々がJアラートに反応しなくなる恐れ」と発言するブロガー氏の意見も、ごもっとも。堀江氏が言うように「この世の中にゼロリスクはありません。」である以上、自身の判断を素早くするしかないようです。ミサイル発射を知らせるJアラート以上に、事前の発射動向や予測からの避難準備をしておくことが肝要となります。

<参考サイト>
・堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) | Twitter
https://twitter.com/takapon_jp
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授