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DATE/ 2017.09.21

年収トップは三井住友銀行!銀行員の平均年収

 かつては安定したエリートの代名詞だった銀行員ですが、金融再編の大波で様子は一変しました。外面と内面の違う業界ですが、給与面はどうなのでしょう。

 東京商工リサーチの調べでは、国内銀行92行の平均年収は615万円(2017年3月期)。これが高いのか低いのか、その実態を調べてみました。

トップは三井住友銀行

 平均年間給与のトップ3は、三井住友銀行=814.8万円、東京スター銀行=812.2万円、スルガ銀行=810.6万円です。順位は2016年と変わりませんが、伸びているのは3位のスルガ銀行のみで上位2行は減少傾向にあります。

 調査対象となった92行の内訳は、大手行7行、地方銀行54行、第二地銀31行。大手行の平均が742.8万円であるのに比べ、地銀632.2万円、第二地銀556.8万円と差は歴然です。従業員の平均年齢別で見ても、三菱東京UFJ銀行(40.9歳、1132万円)に対して北海道の北洋銀行(40.9歳、654万円)と、倍近い差がついています。

銀行マンのピークは40代1000万円?

 厚生労働省の統計データをもとに、銀行マンの生涯年収を追っていくと、20代:400万円、30代:600万円、40代:1000万円、50代:700万円、60代:500万円と言われています。

 30代半ばまでは年功序列的にじりじり昇給されるが、以降はそれまでの実績と肩書きに応じた推移。いったんミスをするとふるい落とされるのは、金融機関の厳しさにほかなりません。

 有価証券報告書によると、平均勤続年数は、三井住友フィナンシャルグループが約15年、三菱東京UFJフィナンシャル・グループが約16.6年。メガバンクで定年まで勤め上げる人は少なく、支店長1200~1500万円、執行役員1500万円以上、頭取3000万円の年収に達する確率はとても低いのです。

女子一般事務職の平均年収は400万円台

 ここまでの統計データはすべて男女を合わせたものですが、大手銀行の行員数の4割以上は女子一般事務職が占めています。彼女たちの平均年収400万円を差し引いて考えると、男子の平均は45歳で年収約1600万円。「高給取り」と呼んでも差し支えないでしょう。

出向と転勤に明け暮れる行員人生

 銀行は、転勤が2~3年のペースであり、銀行マン人生の半分以上を単身赴任で過ごす人も。社宅が充実していて、首都圏の一等地にあっても家賃が相場の6分の1ほど、賃貸暮らしの人には家賃の8割が補助されるなど、一般から見ると恵まれた側面も享受しているのです。

 一方、関連会社や融資先への出向も、20代・30代は「修行」の意味合いもありますが、50歳の声を聞く頃になると「片道切符」になります。こうなると実質年収がほぼ半減するケースもめずらしくありません。

 運良く片道切符は免れても、55歳には「職位定年」といって昇進・昇格が止まってしまう現実を迎えます。これが多くの銀行マンにとって経済的には実質的な定年といってもよいでしょう。

<参考サイト>
・国内銀行92行『平均年間給与』調査(2017年3月期)
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170720_01.html
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