社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
人のからだで一番「ウソがつけない」場所とは?
私たちの体でもっとも正直な部位はどこだと思いますか?目、顔、指先などさまざまな意見が飛び交いそうですが、元FBI捜査官で「人間ウソ発見器」の異名を持つジョー・ナヴァロ氏は「足・脚である」と、著書『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』で述べています。言葉以外のコミュニケーション手段であるノンバーバル(非言語)コミュニケーションの研究を重ねたナヴァロ氏は、自身の取調べなどの経験も生かして、さまざまなしぐさのメカニズムを本書で説明しています。
私たちがコントロールできないしぐさは、言葉よりもはるかに素直に私たちの感情を語っています。普段私たちが気にしないしぐさですが、実はさまざまな情報が隠されているのです。今回はいくつかのしぐさと、そのしぐさが意味するものを紹介していきましょう。
無意識に行動してしまう「しぐさ」のメカニズム
しぐさは、私たちの意識しないところで起こるノンバーバル行動のひとつで、このはたらきは人間の脳の一部である大脳辺縁系によるもの。大脳辺縁系は感情を司る役割も持ち、インプットされた情報に対して反射的に反応してしまうため、私たちの思考を介する前に体が勝手に動いてしまうのです。私たちがコントロールできないしぐさは、言葉よりもはるかに素直に私たちの感情を語っています。普段私たちが気にしないしぐさですが、実はさまざまな情報が隠されているのです。今回はいくつかのしぐさと、そのしぐさが意味するものを紹介していきましょう。
しぐさその1:行きたい方向を示す足先
あなたが誰かと話しているとき、きっと相手の顔と体はこちらを向いているでしょう。では足先はどうでしょうか?顔ではウソをつけても、本能に忠実である足・脚ではウソをつくことができません。相手の足先がこちらを向いていればあなたとの会話を楽しんでいますが、もし足先が出口に向かっていたら、相手は何らかの事情でその会話を終わらせたいと思っているのです。しぐさその2:脚を交差させて立つ
もし脅威が訪れることを少しでも想定していたら、こんなバランスの悪い立ち方はしないはずです。咄嗟に脅威から逃げ出す体勢を作ることは出来ないからです。つまり、そういった脅威に怯えなくてすむ状況に置かれているということがわかります。これは、例えば一緒にいる相手を信頼している証拠ともいえます。しぐさその3:首や喉を触る、撫でる
人間はストレスを感じると、自分が落ち着いた状態に戻るために「なだめ行動」をしますが、このしぐさはその代表例です。特に女性は不安や心配事があると首のくぼみに手をあてたり、ネックレスを指先でいじったりします。この行動が起こるということは、その直前にウソをつくとか聞きたくないことを聞くなどといった、ストレスを感じる何かがあったことがうかがえます。しぐさその4:胴体を大きく広げて座る
リラックスしているこの行動は快適であることを示していますが、話し合いの場でこういった態度をとることは縄張りや優位性の主張になります。万が一、会議の場などで自分より立場が上の人の前でこの行動をとると、相手の気分を害する行動になるので気をつけるようにしましょう。しぐさその5:重力に逆らう行動をとる
応援しているチームが勝利したときに高く突き上げる拳、遊園地を楽しみにしている子どもが椅子に座ってぶらつかせる脚など、嬉しいと思う気持ちは、体のどの部位も重力に逆らう動きを見せます。嬉しいことがあるとスキップしたくなるのも、同じ理由からのものです。しぐさはこの行動だとこう、と決めつけてはいけない
いかがでしたか?意識したことはないけれど、「言われてみれば確かにそうかもしれない」と思うものもあったのではないでしょうか。ただし、しぐさから相手の感情を判断するときには短絡的に決めつけるのではなく、前後関係を考える必要があります。足先が出口に向いているのはあなたの話に興味がないのではなく、次の約束の時間に間に合わないだけかもしれないからです。そのように、人間の行動にはさまざまな可能性があることを忘れないようにしましょう。
<参考文献>
『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』(ジョー・ナヴァロ/マーヴィン・カーリンズ著、西田美緒子翻訳)、河出文庫)
『FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学』(ジョー・ナヴァロ/マーヴィン・カーリンズ著、西田美緒子翻訳)、河出文庫)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
ヒラリー・クリントン氏の全盛期は、当時夫のクリントン氏が大統領だった2000年代だったという島田氏。当時、ダボス会議での彼女の発言が全米の喝采を浴びたそうだが、およそ10年後、大統領選挙でトランプ氏と対峙した際、彼女...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/24
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02


