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DATE/ 2017.11.25

人に話すと嫌われる「武勇伝」を利用する方法

 つまらない武勇伝ほど聞いていて苦痛なことはありません。しかも、武勇伝語りが好きな人に限って、同じ話を何度も繰り返します。そのシチュエーションを思い浮かべるだけでも頭が痛くなります。

 なぜ、人は武勇伝を語りたがるのか。また、武勇伝語りの対処法はあるのか、リサーチしました。

人はなぜ自分のことばかり話すのか

 「JAPAN SKEPTICS」のコラムでは、なぜ人が自分のことばかり話すかを科学的に解明したという米国の科学雑誌「Scientific American」の記事を紹介しています

 記事によると、「セックス、コカイン、おいしい食物などの刺激による快感」と同様に「自分のことを話す」のは脳にとって快感なのだそうです。そして、「自分のことを話すと脳は活発化する」のです。

 武勇伝を含めた自分語りがその本人にとっては快感であり利益があることが分かりました。それなら、自分にとって大切な人のためなら、たとえいくら退屈でも武勇伝を聞いてあげるのはいいことだと言えます。もちろん、目的は話の内容ではなく、相手の脳の健康と幸福のために。

「武勇伝」は利用できる

 人は誰でも自分のことを語りたいわけです。逆に言えば、他人のことにそんなに興味がない。だからこそ、武勇伝を語ると嫌われるのです。よほどためになる話でなければ、聞きたいと思う人はまずいないはずです。

 発想を変えると、みんな武勇伝を語りたいのに、それをちゃんと聞いてくれる人がなかなかいないというわけです。これをチャンスと捉えることもできます。

 同様のことを「ダイヤモンド オンライン」では「上司の心をつかむには『武勇伝』を聞けばいい」という記事で紹介しています。

 言ってしまえば、武勇伝の内容はさて置き、相手を気持ちよくさせるために、「さすが」「そうなんですか」「すごい」「なるほど」などと関心ありげに相槌を打って聞いてあげるのです。飲み会の席などで、嫌々巻き込まれるくらいなら、むしろ積極的に利用しましょう、というわけです。

 「プレジデントオンライン」には「目上の人の『長話』を一発で打ち切る方法」というスゴイ記事が掲載されています。

 上司は隙あらば武勇伝を話したがる生物だと考え、ともかく話を打ち切ることだけど、大事なのは「嫌われないように」ということです。その方法として報告はすべてメールでするようにすべきと執筆者の作家・架神恭介氏は述べています。会話は「メールしました」の7文字でなるべく済ませようというわけです。

 また、相手が話しかけにくいように、できるだけいつも「忙しいアピール」することを勧めています。もちろん単に「忙しいアピール」だけしてもダメで、ちゃんとそれに合わせた実績を残さなければいけません。

 なかなか、実際にこれを実践するのは容易ではないでしょう。「目上の人の長話を一発で打ち切る方法」は、仕事がテキパキ、そしてバリバリできるビジネスパーソン向けのアドバイスと考えたほうがよさそうです。

 武勇伝と聞くと誰でも避けたくなります。しかし、見方を変えれば活用もできることが分かりました。過剰にアレルギー反応を起こしてストレスを貯めるよりも、割り切って利用するという手もあるのです。器用な人であれば、「忙しい」モード全開にして上手に逃げることも可能でしょう。なにより大事なのは、武勇伝語りの人との自分なりの付き合い方を見つけることではないでしょうか。


<参考サイト>
・JAPAN SKEPTICS:「人はなぜ自分のことばかり話すのか」
http://www.skeptics.jp/column/62-130721-matsuda.html
・ダイヤモンド オンライン:上司の心をつかむには「武勇伝」を聞けばいい
http://diamond.jp/articles/-/136708
・プレジデントオンライン:目上の人の「長話」を一発で打ち切る方法
http://president.jp/articles/-/23085
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青山学院大学 経営学部経営学科 教授