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DATE/ 2017.12.22

牛丼に天丼…外食の値上げラッシュの理由とは?

 探せばそこそこ地域限定で見つかる500円ランチですが、全国標準でそれなりのクオリティでいただける牛丼や天丼を提供する丼系外食チェーンはとても助かる存在です。

 ところが、そんなワンコイン丼系外食チェーンにも異変が!先月(2017年11月29日)の牛丼「すき家」に続いて、今月(2017年12月11日)天丼「てんや」において価格改定が発表されました。

 今回は、その背景を探ってみたいと思います。

丼もの値上げの要因

 「すき家」では、牛丼大盛が税込470円から税込480円へ10円の値上げ。「てんや」では2018年1月11日より、天丼税込500円から税込540円となり、ワンコインではおさまらなくなる価格改定となります。

 それぞれの価格改定のプレスリリースでは、食原材料費、人件費、物流費などコストの上昇などを値上げの理由としています。その中で、注目したいのが、丼ものに欠かせないお米の原材料費です。

 外食チェーンのみならず、スーパーなどで売られているパック入りご飯の値上げも発表されました。

 東洋水産では、「マルちゃん」シリーズのパック入りご飯43品目の希望小売価格を2018年3月1日出荷分から改定。包装米飯としては希望小売価格で1パックあたり10~15円くらいの値上げとなります。

コメの値上がり傾向、その背景

 お米は、主食用と業務用、そして、飼料用といった用途に合わせて生産されています。米価の値上がり傾向は、お米全体の収穫高の不足というよりは、業務用米の不足であり、用途別消費動向の応対する国の政策が大きく影響した結果なのです。

 2016年度の主食用コメの1人当たり消費量は約54キロでした。1962年度の118キロをピークとしてその半分以下に落ち込んでいる状況から、国と農家は消費減退への対応に苦慮し、減反を含め用途別作付け決めてきました。

 そして、売れるコメづくりとして、主食用として高価格の新品種作付けを増やす一方、国は飼料用米への転作を推進しました。生産者への補助金を1000平方メートル当たり最大10万5000円に引き上げたため、飼料用米の作付けが急増。結果、その影響で作付けが減少したため、業務用米が品薄となっているのです。

 国内でお米をつくるのは年に1回。状況を改善するためには、作付けを変更し来年まで待たなければなりません。業務用米が不足している現状から、価格を安定させるためにも、家庭用、業務用、飼育用をそれぞれバランスよく、国策としては輸入に頼ることなく生産してもらうことがより重要な課題といえそうです。

<参考サイト>
・すき家:価格改定のお知らせ
http://www.sukiya.jp/news/2017/11/20171122_1.html
・てんや:価格改定のお知らせ
http://www.tenya.co.jp/release/pdf/info_171211_2.pdf
・東洋水産:「マルちゃん 包装米飯」商品 価格改定のお知らせ
http://www.maruchan.co.jp/news_topics/entry/2017/12/post_1470.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授