現代社会で急増する「心の病」その理由とは?
長時間労働やストレス過多が引き起こすという「心の病」。しかし本音として「心の病気なんて、弱い人間がなるものだ」と考えている方も多いのでは?
では、どうしてここまで「心の病」が目立つようになったのでしょう。本当に打たれ弱い人が増えてしまっただけなのでしょうか。
エネルギーが不足したまま(=休息を取らないまま)身体的な疲れやストレスといったダメージを受け続けると、脳が「もう限界だ」と体へエネルギーを送るのをストップしてしまうのです。
結果、何をするにもエネルギーが足りず疲れてしまい、いつもは普通にできていたことができなくなります。そして最悪の場合、「自分には生きる価値がない」と考え、自ら命を絶ってしまうのです。
「心の病」とはいっても、その多くは体の不調や外部的要因と密接に関わっているということを覚えておきましょう。
そこで若者の自殺について調べたところ、2016(平成28)年の若者の自殺理由トップは「健康問題(うつ病、統合失調症など)」であり、続いて「勤務問題(職場の人間関係、仕事疲れなど)」「経済・生活問題(就職失敗、生活苦など)」と続きました。家庭問題(親子関係、子育てなど)も僅差につけています。
<29歳まで(2803人)の自殺の原因・動機(~19歳・20~29歳)>
健康問題:857人(109・2748)
勤務問題:418人(29・2389)
経済・生活問題:356人(11・2345)
家庭問題:353人(93・2260)
男女問題:287人(45・2242)
学校問題:315人(151・2164)
その他:217人(55・2162)
※原因・動機は自殺者1人につき3つまで計上。
(警察庁『平成28年中における自殺の状況』より)
前述したように、心の病は体の不調、さまざまなストレスが引き金となって発症します。上記データを眺めていれば、心の病から自殺に至った経緯を推し量ることができるはずです。
バブル崩壊前までは、年功序列で出世し、がんばって仕事をすればするほど給料が増えました。「働く=希望を持つ」ことができたのです。
しかしバブル崩壊以後、失われた20年、リーマン・ショック、デフレスパイラル、さらに東日本大震災…と平成の日本は度重なる災難に見舞われ、リストラや派遣切りの嵐がわき起こります。今の若者は、そうした状況下で生まれ育ちました。
多くの企業には若い社員を育てる余裕はないため、個々に能力以上の、キャパシティを越えた労働を強いました。人件費を削るため、残業もサービス扱いです。これがいわゆるブラック企業ですが、真面目な若者ほど、ついていこうとして無理をします。
たとえつらい、苦しい、給料が出ないと思っても、ある程度キャリアがなければ次の就職先を見つけるのは至難の業であり、また「ようやく職につけたのだから」と考え、なかなか転職という選択ができません。
そのためますます追いつめられ、心身ともにオーバーフローを起こしてつぶれてしまい、「もう先がない」と絶望してしまうのです。
心の病が増加すれば、日本の未来に悪影響を及ぼすことは想像に難くないでしょう。働き方改革やメンタルヘルスの取り組み、そして若者が安心して「再チャレンジ」できる仕組みを整えることが、今後ますます必要となっていきそうです。
では、どうしてここまで「心の病」が目立つようになったのでしょう。本当に打たれ弱い人が増えてしまっただけなのでしょうか。
心の病は、体の不調でもある
心の病でもっともメジャーなのがうつ病でしょう。うつ病とは「エネルギーの欠乏により、脳というシステム全体のトラブルが生じてしまっている状態(厚生労働省「こころの耳」より)」をいいます。エネルギーが不足したまま(=休息を取らないまま)身体的な疲れやストレスといったダメージを受け続けると、脳が「もう限界だ」と体へエネルギーを送るのをストップしてしまうのです。
結果、何をするにもエネルギーが足りず疲れてしまい、いつもは普通にできていたことができなくなります。そして最悪の場合、「自分には生きる価値がない」と考え、自ら命を絶ってしまうのです。
「心の病」とはいっても、その多くは体の不調や外部的要因と密接に関わっているということを覚えておきましょう。
心の病から、若者が自殺をする
もともと日本では働き盛りの30~40代が心の病に罹患しやすく自殺率も高いといわれていますが、ここ3年間では特に10~20代の心の病が急激に増加していることが日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」の調査でわかりました。そこで若者の自殺について調べたところ、2016(平成28)年の若者の自殺理由トップは「健康問題(うつ病、統合失調症など)」であり、続いて「勤務問題(職場の人間関係、仕事疲れなど)」「経済・生活問題(就職失敗、生活苦など)」と続きました。家庭問題(親子関係、子育てなど)も僅差につけています。
<29歳まで(2803人)の自殺の原因・動機(~19歳・20~29歳)>
健康問題:857人(109・2748)
勤務問題:418人(29・2389)
経済・生活問題:356人(11・2345)
家庭問題:353人(93・2260)
男女問題:287人(45・2242)
学校問題:315人(151・2164)
その他:217人(55・2162)
※原因・動機は自殺者1人につき3つまで計上。
(警察庁『平成28年中における自殺の状況』より)
前述したように、心の病は体の不調、さまざまなストレスが引き金となって発症します。上記データを眺めていれば、心の病から自殺に至った経緯を推し量ることができるはずです。
希望を持てない環境が、若者を追い込んでいく
ではなぜ、ここまで若者の心の病が増えてしまったのでしょうか。原因はさまざまに考えられますが、「希望を持てない」社会であることも、心の病を蔓延させている一因だと思われます。バブル崩壊前までは、年功序列で出世し、がんばって仕事をすればするほど給料が増えました。「働く=希望を持つ」ことができたのです。
しかしバブル崩壊以後、失われた20年、リーマン・ショック、デフレスパイラル、さらに東日本大震災…と平成の日本は度重なる災難に見舞われ、リストラや派遣切りの嵐がわき起こります。今の若者は、そうした状況下で生まれ育ちました。
多くの企業には若い社員を育てる余裕はないため、個々に能力以上の、キャパシティを越えた労働を強いました。人件費を削るため、残業もサービス扱いです。これがいわゆるブラック企業ですが、真面目な若者ほど、ついていこうとして無理をします。
たとえつらい、苦しい、給料が出ないと思っても、ある程度キャリアがなければ次の就職先を見つけるのは至難の業であり、また「ようやく職につけたのだから」と考え、なかなか転職という選択ができません。
そのためますます追いつめられ、心身ともにオーバーフローを起こしてつぶれてしまい、「もう先がない」と絶望してしまうのです。
若者が安心して「再チャレンジ」できる仕組みを整える
ということで、若い世代を中心に心の病が急増したのは単に打たれ弱くなったのではなく、社会問題が背景にあるということがお分かりいただけたでしょうか。心の病が増加すれば、日本の未来に悪影響を及ぼすことは想像に難くないでしょう。働き方改革やメンタルヘルスの取り組み、そして若者が安心して「再チャレンジ」できる仕組みを整えることが、今後ますます必要となっていきそうです。
<参考サイト>
・厚生労働省:こころの耳 うつ病とは
http://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
・公益財団法人日本生産性本部調査研究:第8回 『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果
http://activity.jpc-net.jp/detail/mhr/activity001523/attached.pdf
・厚生労働省:自殺対策白書(本体)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/17/index.html
・平成28年中における自殺の状況
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/H28/H28_jisatunojoukyou_01.pdf
・厚生労働省:こころの耳 うつ病とは
http://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad001/
・公益財団法人日本生産性本部調査研究:第8回 『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果
http://activity.jpc-net.jp/detail/mhr/activity001523/attached.pdf
・厚生労働省:自殺対策白書(本体)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/17/index.html
・平成28年中における自殺の状況
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/H28/H28_jisatunojoukyou_01.pdf