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意外に安い?中小企業の社長の年収は?
日本の企業の99%以上が中小企業であることをご存じでしたか。2014年の調査では、日本の企業382万社のうち、約381万社が中小企業・小規模事業者に該当します。そこで働く従業員は2667万人。つまり、中小企業の世界では、7人に1人が「社長」です。今回は、日本の経済を支えているとも言える、中小企業の社長の年収について、調べてみました。
今度は国税庁の調査結果から「役員報酬」を調べてみます。資本金2,000万円未満の株式会社の男性役員の平均年収額は、611.8万円(うち賞与17.3万円)、女性役員の平均年収額は、358.7万円(うち賞与6.9万円)。男女合計で平均をとると、534.2万円(うち賞与14.1万円)となります。モード値で見ると、100万円~200万円が最多(32.6万人)です。
従業員5人以下の小規模事業者レベルでは、夫が社長、妻が専務となっていることも多いでしょう。実際に働いているかいないかは別として、役員報酬は妻にも会社から支払われるケースが多く、世帯年収ととらえるのが実態に近いはずです。
さらに企業規模を追っていくと、資本金2,000万円以上の会社では役員平均年収が748.4万円(うち賞与47.5万円)、資本金5,000万円以上の会社では1,035.2万円(うち賞与68.7万円)、資本金1億円以上では平均が1,201.5万円(うち賞与179.4万円)。会社の規模が大きくなるにつれ、庶民が夢見る「社長の給料」に近づいてきます。
企業規模を問わず、会社経営に必要なのは運転資金ですから、その見通しを立てた上で、会社の利益に対する法人税を払うのか、個人の所得税を払うのかのバランスを考えて役員報酬を定めます。しかも一旦決めたら1年間は動かせません。現在のように会社の法人税が下がってくると、役員報酬を抑え、会社の利益から臨時ボーナスをもらったり、「経費で落とす」ほうが得なのです。
先に挙げた1社あたり386万円の黒字を、運転資金や設備投資に回すか、自分のボーナスにするかは社長の考え次第ということです。
1. 仕事に使うことが証明・説明できる
2. 会社の売り上げに関係する出費である
3. 妥当な範囲の出費である
この3つの条件を満たせば、「経費で落とす」ことが可能になります。たとえば飲食代なら、取引先の人や社員と一緒に食事をすると、5,000円以下が会議費、5,000円超が交際費として処理できます。会議費は全額非課税、交際費は年間800万円まで非課税です。
出張などの旅費交通費はもちろんですが、取引先と行ったスポーツ観戦や旅行の費用、コンサートのチケット代なども交際費として計上することができます。
自宅を会社名義にすると、家賃の50~80%を経費に計上できます(会社役員が家賃の20~50%を支払っている場合)。自家用車やパソコン、新聞・書籍・雑誌など、仕事で使う名目があれば、経費に計上できます。
ただし、スーツやカバン、靴、メガネなどの身だしなみにかかる費用はあらかじめ「給与所得控除」とされているため、経費とは認められません。
粗利をきちんと出してさえいれば、中小企業の社長はその範囲内で給料とは別のポケットがあり、そのメリットが比較的大きいと考えてよいでしょう。
資本金2000万未満の社長は年収100万円台?
2017年に中小企業庁が発表した「中小企業実態基本調査」によると、中小企業の売上高は平成27年度で485兆円。うち営業費用が450兆円で、経常利益は14兆7千億円ほど。ごく単純に計算すると1社あたり386万円の黒字を計上しています。もちろん社長の給料は人件費の一部として営業費用の中に入っています。今度は国税庁の調査結果から「役員報酬」を調べてみます。資本金2,000万円未満の株式会社の男性役員の平均年収額は、611.8万円(うち賞与17.3万円)、女性役員の平均年収額は、358.7万円(うち賞与6.9万円)。男女合計で平均をとると、534.2万円(うち賞与14.1万円)となります。モード値で見ると、100万円~200万円が最多(32.6万人)です。
従業員5人以下の小規模事業者レベルでは、夫が社長、妻が専務となっていることも多いでしょう。実際に働いているかいないかは別として、役員報酬は妻にも会社から支払われるケースが多く、世帯年収ととらえるのが実態に近いはずです。
さらに企業規模を追っていくと、資本金2,000万円以上の会社では役員平均年収が748.4万円(うち賞与47.5万円)、資本金5,000万円以上の会社では1,035.2万円(うち賞与68.7万円)、資本金1億円以上では平均が1,201.5万円(うち賞与179.4万円)。会社の規模が大きくなるにつれ、庶民が夢見る「社長の給料」に近づいてきます。
役員報酬は、税金とのバランスで決まる!
統計に出ている役員報酬だけで見ると、「中小企業の社長」は割の合わない仕事と言えそうですが、実態は必ずしもそうではありません。経営者にとって、一番の心配はもちろん「売上」ですが、それと同じぐらい「税金はどうなるか」が大問題だからです。企業規模を問わず、会社経営に必要なのは運転資金ですから、その見通しを立てた上で、会社の利益に対する法人税を払うのか、個人の所得税を払うのかのバランスを考えて役員報酬を定めます。しかも一旦決めたら1年間は動かせません。現在のように会社の法人税が下がってくると、役員報酬を抑え、会社の利益から臨時ボーナスをもらったり、「経費で落とす」ほうが得なのです。
先に挙げた1社あたり386万円の黒字を、運転資金や設備投資に回すか、自分のボーナスにするかは社長の考え次第ということです。
社長には、給料以外の「ポケット」がある!
さらに中小企業では、大企業に比べて経営基盤が弱いため、経費として認められる費用の範囲が広くなっています。1. 仕事に使うことが証明・説明できる
2. 会社の売り上げに関係する出費である
3. 妥当な範囲の出費である
この3つの条件を満たせば、「経費で落とす」ことが可能になります。たとえば飲食代なら、取引先の人や社員と一緒に食事をすると、5,000円以下が会議費、5,000円超が交際費として処理できます。会議費は全額非課税、交際費は年間800万円まで非課税です。
出張などの旅費交通費はもちろんですが、取引先と行ったスポーツ観戦や旅行の費用、コンサートのチケット代なども交際費として計上することができます。
自宅を会社名義にすると、家賃の50~80%を経費に計上できます(会社役員が家賃の20~50%を支払っている場合)。自家用車やパソコン、新聞・書籍・雑誌など、仕事で使う名目があれば、経費に計上できます。
ただし、スーツやカバン、靴、メガネなどの身だしなみにかかる費用はあらかじめ「給与所得控除」とされているため、経費とは認められません。
粗利をきちんと出してさえいれば、中小企業の社長はその範囲内で給料とは別のポケットがあり、そのメリットが比較的大きいと考えてよいでしょう。
<参考サイト>
・e-Stat:中小企業実態基本調査
http://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&tstat=000001019842&cycle=7&tclass1=000001104315&tclass2=000001104316&second2=1
・国税庁:民間給与実態統計調査結果(平成28年)
https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2016/pdf/07.pdf
・e-Stat:中小企業実態基本調査
http://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&tstat=000001019842&cycle=7&tclass1=000001104315&tclass2=000001104316&second2=1
・国税庁:民間給与実態統計調査結果(平成28年)
https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2016/pdf/07.pdf
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