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DATE/ 2018.04.12

日本に「億万長者」はどれくらいいるのか?

 過去にフォーブスが発表した2018年世界長者番付でAmazonのジェフ・ベゾス氏がマイクロソフトのビル・ゲイツ氏を抜いて初の富豪世界一に輝いたことが大きな話題となりました。集計では、資産総額10億ドル以上のビリオネアが、なんと過去最高の2208人に。日本人でよく名前があがるのは孫正義氏ですが、日本に億万長者はどれくらいいると思いますか。

昔なつかし高額納税者番付

 日本にはすこし前まで高額納税者番付というものがありました。正式名称は高額納税者公示制度で、所得税が1000万円を超える高額納税者を税務署が公表していました。実施されていた期間は、1947年から2005年まで。

 公示後の数日はマスコミがこぞってスキャンダラスに長者番付を発表していた光景が懐かしく蘇ります。しかし、プライバシーへの配慮などを理由に廃止されました。

日本の13パーセントのお金持ち

 高額納税者番付は廃止されましたが、国税庁は所得階級別の人数は公表しています。「申告所得税標本調査結果(平成28年分調査)」を見てみましょう。

 高額納税者番付では所得税が1000万円以上の方が公表されていたわけですが、現在、その水準の高額納税者はどのくらいいるのか。納税額が「1千万~2千万円」が8.1%、「2千万~5千万円」が3.6%、「5千万~1億円」が0.7%、「1億円~」が0.3%という結果になっています。合計すると納税額1千万円以上の人はおよそ13%。申告所得税の納税者数は638万人ほどなので、その13%ということは、納税額1千万円以上の人はおよそ83万人ということになります。

 さらに詳しく見ていくと、納税額全体の80%以上がこの13%の人たちによってまかなわれていることが分かります。ちなみに所得金額が1億円超の人は1万8千人ほど、100億円超の人は17人です。

フォーブスの世界長者番付の日本人

 冒頭にお伝えしたフォーブスの世界長者番付では、1位ジェフ・ベゾスが資産額1120億ドル、2位ビル・ゲイツ氏が900億ドル、3位ウォーレン・バフェット氏が840億ドルときて、日本人はというと、39位に孫正義氏が227億ドルで日本人トップとしてランクイン。

 次にユニクロの柳井正氏が195億ドルで55位。さらに滝崎武光氏(キーエンス)が175億ドルで68位。つづいて274位に63億ドルの森章氏(森トラスト)、321位に56億ドルの永守重信氏(日本電産)、334位に55億ドルの三木谷浩史氏(楽天)。

 ちなみに、日本人のトップテンまで名前だけあげると、高原慶一朗氏(ユニ・チャーム)、似鳥昭雄氏(ニトリ)、重田康光氏(光通信)、そして10番目が伊藤雅俊氏(セブン&アイ・ホールディングス)というランキングになります。この10人は、さきほどの統計にあった所得金額100億円超の17人のうちのひとりなのでしょう。だんだんと億万長者の実像が浮かび上がってきました。

 他方、おそろしいのが格差の現実です。統計を見ていると、格差社会の中にいる自分の姿すらもうっすらと見えてきます。ゴシップを楽しむのもアリですが、同時にこれから自分自身がどう生きるのかを突きつけられていることも忘れてはなりません。

<参考サイト>
・国税庁:平成28年分調査 申告所得税標本調査結果
https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/shinkokuhyohon2016/hyouhon.htm
・Forbes JAPAN:ジェフ・ベゾスが初の首位に フォーブス世界長者番付2018
https://forbesjapan.com/articles/detail/20057/2/1/1
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