テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.04.22

結局、最も「住みたい街」はどこなのか?

 不動産ポータルサイトのSUUMOやLIFULL HOME'S、雑誌やテレビで頻繁に発表される住みたい街ランキングですが、それぞれのメディアごとに調査結果が相当異なります。結局のところ、最も「住みたい街」はどこなのでしょうか。

住みたい街ランキングベスト5

 住みたい街ランキングといえば、SUUMOとLIFULL HOME'S。でも、ランキング結果はかなり違います。実際にみてみると、SUUMOの2018年版では、1位から順に横浜、恵比寿、吉祥寺、品川、池袋。

 他方、LIFULL HOME'Sの2018年版は、「借りて住みたい」と「買って住みたい」に分かれていて、「買って住みたい」が戸塚、目黒、八王子、流山おおたかの森、ひばりヶ丘。「借りて住みたい」が池袋、川崎、中野、高円寺、大宮の順になっています。

いま、注目されている埼玉

 SUUMOは常連の恵比寿や吉祥寺がランクイン、池袋はSUUMOでもLIFULL HOME'Sでもベスト5に入っています。ベスト10まで見ていくと、恵比寿と吉祥寺はLIFULL HOME'Sの「借りて住みたい」にもベスト10入りしています。

 意外にも埼玉県勢が力を伸ばしていて、大宮はSUUMOとLIFULL HOME'Sの「借りて住みたい」と「買って住みたい」のすべてにランクイン。また、浦和はSUUMOとLIFULL HOME'Sの「買って住みたい」にランクインしました。

 総合的に見て、恵比寿、吉祥寺、池袋、大宮、浦和がいま人気の街なのでしょう。

なぜランキング結果は異なるのか

 それにしても二つのランキングはなぜこれほどに異なるのでしょうか。その理由は、調査方法の違いにあります。

 SUUMOはシンプルに住みたい街をアンケートで集計しているのに対して、LIFULL HOME'Sは当サイトのユーザーを対象にサイトに掲載された物件のなかで問い合わせが多かったものを集計しているのです。

 つまり、SUUMOのほうは個人の理想が大きく反映されます。そのぶん、ランキングがイメージや知名度に影響されやすいことを「SUUMOジャーナル」は自発的に発信しています。

 一方、LIFULL HOME'Sは問い合わせの件数なのでわりと現実的な欲望を反映していると言えます。どちらが正しいとは言えませんが、こうした違いがあることは認識しておくと良いでしょう。

本当に住みやすい街大賞

 ランキングを発表しているのはSUUMOとLIFULL HOME'Sだけではありません。たとえば、アルヒ株式会社は「本当に住みやすい街大賞」を発表しています。2017年12月に発表された結果は、1位から順に、南阿佐ケ谷、勝どき、赤羽、三郷中央、戸塚、南千住というようなランキングになっています。

 戸塚はLIFULL HOME'Sの「買って住みたい」にランクインしていましたが、その他はかなり異色のメンツが揃いました。こうした結果になったのには、やはり調査方法に特徴があるからです。「本当に住みやすい街大賞」はユーザーではなく不動産の専門家が選定しているのです。

 ただ、ランキングはあくまでランキング。どうやって活用するかがポイントです。活用する目的を決めて、ランキングの調査方法を確認し、できたら他のランキングと比較してみると、自分なりの活用方法が見つかるのではないでしょうか。

<参考サイト>
・LIFULL HOME’S:住みたい街ランキング
https://www.homes.co.jp/cont/s_ranking/shutoken/
・suumoジャーナル:2018年「住みたい街ランキング」1位は、東京都ではないあの街に!?
http://suumo.jp/journal/2018/02/28/150139/
・ARUHI:本当に住みやすい街大賞
https://www.aruhi-corp.co.jp/cp/town_ranking/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い

日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い

続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担

国民の税負担を増やすか、政府の財政支出を増やすか。前回の講義《日本人の「所得の謎」徹底分析》に続き、見解の分かれる日本の財政に関する議論を今一度整理し、見通しを与える当講義。まずは日本の財政と国民の負担の現在地...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
養田功一郎
元三井住友DSアセットマネジメント執行役員 YODA LAB代表 金融・経済・歴史研究者
2

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力

人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
3

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ

海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
沖野郷子
東京大学大気海洋研究所教授 理学博士
4

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に

世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
5

外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか

外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか

外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い

外交とは国益を最大化しなければいけないのだが……。35年にもわたる外交官経験を持つ小原氏が8年がかりで書き上げた著書『外交とは何か 不戦不敗の要諦』(中公新書)。小原氏曰く、外交とは「つかみどころのないほど裾野が広い...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/05
小原雅博
東京大学名誉教授