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DATE/ 2019.10.17

定年間近の60代、そのボーナス事情とは?

 ボーナスシーズン到来ということで、ここ数年、前年比越えで順調に推移していることから額面への期待に胸が膨らむところです。今回は、サラリーマンにとっての終盤、60代におけるボーナス事情を調べてみました。

平均値としてボーナスは一気に下降

 60代ともなれば、役職定年を迎えた後の、リアルな定年退職もあることから極めて変化の大きい年代になります。

 年金の支給までに数年あることから、働くことを希望する人は再雇用制度や勤務延長制度で仕事を続けることになります。再雇用制度を採用する企業では正社員からパートや嘱託社員などに雇用形態が変わることから、ボーナス面では大きく減額されます。

 平成30年の賃金構造基本統計調査で具体的な数値を見ていくと、

・45~49歳:119.3万円
・50~54歳:128.7万円(+9.4万円)
・55~59歳:122.3万円(-6.4万円)
・60~64歳:64.3万円(-58.0万円)
・65~69歳:33.3万円(-31.0万円)
・70歳~:25.6万円(-7.7万円)

 このように、50代前半をピークに下降し、60代前半に大きな減額となります。さらに、男性と女性を比較すると、

・60~64歳:72.1万円(男性)/44.7万円(女性)
・65~69歳:34.1万円(男性)/31.4万円(女性)
・70歳~:23.9万円(男性)/30.4万円(女性)

 加齢とともに、差が縮まり女性が男性を上回ることも興味深いところ。

60代でボーナス支給の多い産業、少ない産業は?

 厚生省の分類による16の産業種別で、60代がどのくらいのボーナスをもらえるのかを調べてみました(額面は60代平均年間支給額)。

[60代で多くのボーナスがもらえる産業]
1位:教育,学習支援業:167.0万円
2位:金融業,保険業:82.8万円
3位:電気・ガス・熱供給・水道業:79.6万円
4位:学術研究,専門・技術サービス業:75.7万円
5位:建設業:58.6万円

[60代のボーナス支給が少ない産業]
1位:宿泊業,飲食サービス業:17.1万円
2位:生活関連サービス業,娯楽業:19.8万円
3位:運輸業,郵便業:23.9万円
4位:サービス業(他に分類されないもの):24.7万円
5位:複合サービス事業:32.3万円

 やはり、知識、情報系産業においては60代でも十分な雇用価値があることを裏付けているランキングとなりました。

60代は人生のボーナス期

 子どもが独立し、終活に向かう60代。消費欲と可処分所得のバランスが安定するこの世代においては、健康を維持し、働きつづけられることが、人生にとってのボーナス期とも言えるのではないでしょうか。人生100年のライフシフト、60代からの経済的な充実にむけて、しっかりとした資産管理を目指したいところです。

<参考サイト>
・厚生労働省:平成30年賃金構造基本統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001113395&tclass2=000001113397&tclass3=000001113412
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授