社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
延びる寿命…人はいずれ死ななくなる?
世界経済フォーラム(WEF)では、世界平均寿命ランキングを発表しています。2017年12月26日に発表されたランキングでは、1位サンマリノ85.42歳。2位香港84.23歳、3位日本83.98歳、4位マカオ83.85歳と続きます。
多くの国で寿命が延び、世界平均は72.04歳となっている一方、米国やメキシコ、サウジアラビア、ブルガリア、エジプト、インドネシアでは近年の寿命が前年よりも短くなっています。特にアメリカでは、2年連続で平均寿命が短くなり、薬物関連の死亡者が増えていることが懸念されています。
そんなアメリカで気を吐いているのが、発明家で未来学者のレイ・カーツワイル氏。日本でも「シンギュラリティ(技術的特異点)の提唱者として著名な氏は、著書では何度も「人類の不老不死」の可能性を語っています。
『スピリチュアル・マシーン』では、2009年の時代で普及していると予言された遠隔医療の幅広い利用が、現状ではまだまだ達成されていません。患者の生涯の記録でさえ、コンピュータのデータベースに保存されるにいたっていません。一方、2019年に達成される予定だった「コンピュータ処理によるヘルス・モニター」は、スマホのアプリやアップルウォッチなどで、かなり実現されてきています。
氏の予測では、2029年頃にはDNA鎖からつくられる血球サイズの極小ロボット(「ナノボット」)が何百万と体内を駆け巡り、血流内の偵察・修復機として機能するとのこと。骨や筋肉、血管、脳細胞を修復してくれるため、人類は永遠に若さを保つことが可能になるといいます。また、改良された遺伝子コードをインターネットからダウンロードできるといいます。
2030年代になると、人間の脳はクラウドに接続可能になり、メールや写真を直接脳に送信したり、思考や記憶のバックアップを行ったりできるようになると予測します。脳を拡張させることは、私たちの祖先が道具を使用することを学習したのと同様、「人類の進化の次なるステップ」だと彼はとらえているのです。
この仮説を生命工学に当てはめると、すべての人の平均余命が1年経過するごとに1年以上伸びていく「特異点」がやがて到来します。その年まで生存していられれば不慮の事故がない限り望むだけ長く生きていられるようになる「実質的な不老不死」を、氏は「寿命の脱出速度」とも名付けました。
残念ながら、「1年間に平均余命が1年以上伸びていく」現象は現在のところ観察できていません。しかし、英国ケンブリッジ大学のオーブリー・デ・グレイ氏は「老化は病気であり、治療が可能だ」との主張をTED TALKSなどで発表。ジョナサン・ワイナー氏の取材に応えた結果が『寿命1000年』という桁違いの説として書籍化されています。時代は「アンチ・エイジング」から「エンド・エイジング」に向かっているようです。
多くの国で寿命が延び、世界平均は72.04歳となっている一方、米国やメキシコ、サウジアラビア、ブルガリア、エジプト、インドネシアでは近年の寿命が前年よりも短くなっています。特にアメリカでは、2年連続で平均寿命が短くなり、薬物関連の死亡者が増えていることが懸念されています。
そんなアメリカで気を吐いているのが、発明家で未来学者のレイ・カーツワイル氏。日本でも「シンギュラリティ(技術的特異点)の提唱者として著名な氏は、著書では何度も「人類の不老不死」の可能性を語っています。
2019年平均寿命100歳は実現するか?
カーツワイル氏が宇宙誕生から2099年の未来までを展望したのは、少し古いですが1999年に執筆し2001年邦訳出版された『スピリチュアル・マシーン』という著書でした。この中で「20年後(2019年)には人類の平均寿命は100歳を超え、30年後(2029年)には120歳前後になる」との予測がなされています。『スピリチュアル・マシーン』では、2009年の時代で普及していると予言された遠隔医療の幅広い利用が、現状ではまだまだ達成されていません。患者の生涯の記録でさえ、コンピュータのデータベースに保存されるにいたっていません。一方、2019年に達成される予定だった「コンピュータ処理によるヘルス・モニター」は、スマホのアプリやアップルウォッチなどで、かなり実現されてきています。
氏の予測では、2029年頃にはDNA鎖からつくられる血球サイズの極小ロボット(「ナノボット」)が何百万と体内を駆け巡り、血流内の偵察・修復機として機能するとのこと。骨や筋肉、血管、脳細胞を修復してくれるため、人類は永遠に若さを保つことが可能になるといいます。また、改良された遺伝子コードをインターネットからダウンロードできるといいます。
2030年代になると、人間の脳はクラウドに接続可能になり、メールや写真を直接脳に送信したり、思考や記憶のバックアップを行ったりできるようになると予測します。脳を拡張させることは、私たちの祖先が道具を使用することを学習したのと同様、「人類の進化の次なるステップ」だと彼はとらえているのです。
収穫加速の法則で、人類は不老不死を迎える?
氏の大胆な仮説は、「収穫加速の法則」というもので、シンギュラリティ到来の根拠にもなっています。一つの重要な発明は他の発明と結びつくため、次の重要な発明が登場するまでの期間を短縮します。すなわち、イノベーションの速度が進化するため、テクノロジーは直線グラフではなく指数関数グラフで表されるとするものです。この仮説を生命工学に当てはめると、すべての人の平均余命が1年経過するごとに1年以上伸びていく「特異点」がやがて到来します。その年まで生存していられれば不慮の事故がない限り望むだけ長く生きていられるようになる「実質的な不老不死」を、氏は「寿命の脱出速度」とも名付けました。
残念ながら、「1年間に平均余命が1年以上伸びていく」現象は現在のところ観察できていません。しかし、英国ケンブリッジ大学のオーブリー・デ・グレイ氏は「老化は病気であり、治療が可能だ」との主張をTED TALKSなどで発表。ジョナサン・ワイナー氏の取材に応えた結果が『寿命1000年』という桁違いの説として書籍化されています。時代は「アンチ・エイジング」から「エンド・エイジング」に向かっているようです。
<参考文献・参考サイト>
・GLOBAL NOTE:世界の平均寿命 国別ランキング・推移
https://www.globalnote.jp/post-3764.html
・『スピリチュアル・マシーン』(レイ・カーツワイル著、翔泳社)
・『寿命1000年』(ジョナサン・ワイナー著、早川書房)
・GLOBAL NOTE:世界の平均寿命 国別ランキング・推移
https://www.globalnote.jp/post-3764.html
・『スピリチュアル・マシーン』(レイ・カーツワイル著、翔泳社)
・『寿命1000年』(ジョナサン・ワイナー著、早川書房)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験
独立と在野を支える中間団体(6)慶應義塾大学「三田会」の起源
中間集団として象徴的な存在である慶應義塾大学「三田会」について考える今回。三田会は単に同窓会組織として存在しているわけではなく、「公」に頼れない場合に重要な役割を果たすものだった。その三田会の起源について解説す...
収録日:2024/06/08
追加日:2024/11/22
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
大転換期の真っ只中にいるわれわれにとって、日本の特性を強みとして生かしていくために忘れてはいけないことが二つある。一つは日本が森林山岳海洋島国国家であるというその地理的特性。もう一つは、日本文化の根源としての縄...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/16
謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像
日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学
日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14
対談 | 林望/ロバート キャンベル
次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂
今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点
猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19