「教養がない」と言われないための3つの方法
「教養」が、ビジネスの現場でも口にされるようになってきました。「教養のある・ない」と「仕事ができる・できない」とはまったく別の軸ですが、「人間力のある・ない」とはどちらも密接にかかわっています。
国際経営コンサルタントとして活躍するかたわら100冊以上の著書を持つ浜口直太氏は、ゆたかな教養を身につけるための「生涯教育」が、「人間力」を作る基礎になるという持論の持ち主。それは20代の大半を過ごしたアメリカでの生活で培われた考え方だと言います。
経営学の講義には、ひときわ目立つスーツ姿の白髪の紳士がいました。毎回熱心に耳を傾け、発言も理路整然。授業の終わりには「今日も大変勉強になりました」と挨拶をして帰られるのです。気になった浜口氏は、紳士と話をしてみようと声をかけてみました。
紳士は長年心理学を教えつつ、臨床カウンセラーとしての職歴も積んできたと言います。その道では権威として多くの著書も持つ方です。ところが言われる言葉は謙虚そのもの、「自分は心理学ではそれなりに知識も経験もあるが、一歩外に出たら子どものように未熟である。どんどん学ぶ必要があるので、先生、なんでも教えてください」というのです。
浜口氏は紳士の姿に、松下幸之助が生涯求めた<素直な心>を重ね合わせ、とても感動したと言います。「我以外皆我師」と言いますが、人はなかなかそこまで素直になれません。知らないことを学ぼうとする「素直な心」は、「教養がない」と言われないための第一条件です。
ビジネスにおいて押しも押されもせぬ経歴の人たちが「日本的経営も学びたいから」と、20代でまだ助手だった浜口氏の経営学のクラスを受講するのです。知っているはずのことでも、「角度を変えて」学んでみようとする姿勢は、「教養がない」と言われないための二つ目の方法です。
教える側の人間力こそ、大いに研鑽される機会だっただろうと思いますが、アメリカでは珍しい例ではないと言います。年齢も性別も経歴も関係なく、何歳になっても大学に戻って学べるアメリカの風習は、日本が今後真似したいモデルとして、各大学のリカレント教育として取り入れられています。
「たった1冊の本が、私の人生を何度も変えてきた」と浜口氏は言います。今では100冊以上の著書を持つ浜口氏ですが、高校を卒業するまでは読書が大嫌いで、読んだ本はたった2冊『小鹿のバンビ』と『野口英世』だけでした。
本を書くためのインプットと始めた読書が身につき、今では週に1~2冊は本を読み、さまざまな人との対話や議論に役立てています。人生はたかだか100年足らずですが、1冊の本の中には何十万年もの人類の体験と記憶が詰まっているのです。
本を読むことが「教養がない」と言われないための三つ目の、そしていつからでもできる方法であることは間違いありません。
国際経営コンサルタントとして活躍するかたわら100冊以上の著書を持つ浜口直太氏は、ゆたかな教養を身につけるための「生涯教育」が、「人間力」を作る基礎になるという持論の持ち主。それは20代の大半を過ごしたアメリカでの生活で培われた考え方だと言います。
知らないことを学ぶ「素直」な心を持つ
浜口氏は日本の大学を卒業後、アメリカの経営大学院でMBAを取得。さらに博士課程で学びを深めながら、ビジネス関連学科を大学院で教えていた時期があります。経営学の講義には、ひときわ目立つスーツ姿の白髪の紳士がいました。毎回熱心に耳を傾け、発言も理路整然。授業の終わりには「今日も大変勉強になりました」と挨拶をして帰られるのです。気になった浜口氏は、紳士と話をしてみようと声をかけてみました。
紳士は長年心理学を教えつつ、臨床カウンセラーとしての職歴も積んできたと言います。その道では権威として多くの著書も持つ方です。ところが言われる言葉は謙虚そのもの、「自分は心理学ではそれなりに知識も経験もあるが、一歩外に出たら子どものように未熟である。どんどん学ぶ必要があるので、先生、なんでも教えてください」というのです。
浜口氏は紳士の姿に、松下幸之助が生涯求めた<素直な心>を重ね合わせ、とても感動したと言います。「我以外皆我師」と言いますが、人はなかなかそこまで素直になれません。知らないことを学ぼうとする「素直な心」は、「教養がない」と言われないための第一条件です。
知っていることも「角度を変えて」学んでみる
「畑違いだからできるのだろう」と思われるかもしれませんが、実は浜口氏の講義には、大企業の幹部なども出席していました。大学院の所在地がテキサス州ダラスだったため、地元企業といってもエクソン(現エクソンモービル)、テキサス・インスツルメンツ、EDS(Electronic Data Systems、現在はヒューレット・パッカード社により買収)など、錚々たる会社の役員や副社長クラスの方々です。ビジネスにおいて押しも押されもせぬ経歴の人たちが「日本的経営も学びたいから」と、20代でまだ助手だった浜口氏の経営学のクラスを受講するのです。知っているはずのことでも、「角度を変えて」学んでみようとする姿勢は、「教養がない」と言われないための二つ目の方法です。
教える側の人間力こそ、大いに研鑽される機会だっただろうと思いますが、アメリカでは珍しい例ではないと言います。年齢も性別も経歴も関係なく、何歳になっても大学に戻って学べるアメリカの風習は、日本が今後真似したいモデルとして、各大学のリカレント教育として取り入れられています。
人類の体験と記憶が詰まった「本」を読んでみる
日々の業務に忙殺されたり、大学まで通う時間が取れない人のために浜口氏が生涯学習の一つとして推奨するのは「読書」です。「たった1冊の本が、私の人生を何度も変えてきた」と浜口氏は言います。今では100冊以上の著書を持つ浜口氏ですが、高校を卒業するまでは読書が大嫌いで、読んだ本はたった2冊『小鹿のバンビ』と『野口英世』だけでした。
本を書くためのインプットと始めた読書が身につき、今では週に1~2冊は本を読み、さまざまな人との対話や議論に役立てています。人生はたかだか100年足らずですが、1冊の本の中には何十万年もの人類の体験と記憶が詰まっているのです。
本を読むことが「教養がない」と言われないための三つ目の、そしていつからでもできる方法であることは間違いありません。