テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.11.10

若い世代ほど他人の視線にストレスを感じてる?

 他人の視線って何かと気になるものですよね。人に見られても恥ずかしくない服を着よう、でも「服を買いに行く服がない」、なんて笑い話(?)もあるほどです。このたび、人に見られる「視線耐性」について、ヘアスタイリング商品などで知られるメーカー「マンダム」が調査したところ、世代によって大きな差があることがわかりました。

平成世代の6割は「他者の視線が怖い」

 15歳から59歳の男女1091人に対しアンケートを取ったところ、全世代の半数以上となる56.5%が「他者の視線にストレスを感じたことがある」と回答。中でも20代以下の「平成世代」は67.6%がそう感じているそうで、若い世代ほど他者の視線が気になってしまうようです。「ストレスを感じる」どころか「他者の視線が怖いと感じたことがある」にイエスと答えたのは、全世代で47.4%、平成世代が61.8%。こちらも若者の方がより恐怖を感じているという結果でした。

 他者の視線が気になることと因果関係がありそうですが、「相手の目を見て話すことが苦手」という回答も、全世代の43.8%に対し平成世代が53.5%。昭和生まれの筆者は「話を聞くときは人の目を見なさい」と習ったものですが、若者相手にそれをやるとプレッシャーをかけてしまうことになるのかもしれないですね。

 「恋愛学」の講義などで知られる早稲田大学国際教養学部の森川友義教授は、視線耐性が高いか低いかを決定する要因として「デジタル依存度(=デジタルメディア接触時間)」「対人経験度(=人と話す経験値)」「自信(=持って生まれた自信と成功経験の積み重ねによる自信)」の3つを挙げています。昔に比べ、デジタル依存度が高く、対人経験が低い現代っ子は、視線耐性が低くなりがちになるのもむべなるかな、ということなのでしょう。

他者は思っているほど自分のことを見ていない?

 米国の大学では他者からの視線と自意識に関する興味深い実験をしています。『図解 モチベーション大百科』が紹介している実験の内容はこうです。被験者はダサいTシャツを着て学生グループの輪に加わり、1分後にその輪から外れます。学生グループの何%がそのTシャツに気づいたと思うかと被験者に質問したら、被験者本人は約50%と答えたものの、実際に気づいた割合は21%でした。つまり、自分が思っているほど他者は自分のことを見ていない、ということが示されたわけです。

 一方で、単なる気の持ちようではなく、「対人恐怖症」という病気も存在します。明確な因果関係が証明されているわけではありませんが、小さい頃の体験や環境などの影響もあると言われています。他者の視線が辛すぎるという場合は病院で診察を受けてみるというのも一つの手でしょう。

<参考文献・参考サイト>
・視線耐性とデジタルコミュニケーションに関する調査
https://www.mandom.co.jp/release/2018/src/2018100301.pdf
・『図解 モチベーション大百科』(池田貴将著、サンクチュアリ出版)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「見せかけの相関」か否か…コロナ禍の補助金と病院の関係

「見せかけの相関」か否か…コロナ禍の補助金と病院の関係

会計検査から見えてくる日本政治の実態(2)病床確保と補助金の現実

コロナ禍において一つの大きな課題となっていたのが、感染者のための病床確保だ。そのための補助金がコロナ患者の受け入れ病院に支給されていたが、はたしてその額や運用は適正だったのか。事後的な分析で明らかになるその実態...
収録日:2025/04/14
追加日:2025/07/18
田中弥生
東京大学客員教授
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

胆のう結石、胆のうポリープ…胆のうの仕組みと治療の実際

胆のう結石、胆のうポリープ…胆のうの仕組みと治療の実際

胆のうの病気~続・がんと治療の基礎知識(1)胆のうの役割と胆石治療

消化にとって重要な臓器「胆のう」。この胆のうにはどのような仕組みがあり、どのような病気になる可能性があるのだろうか。その機能、役割についてあまり知る機会のない胆のう。「サイレントストーン」とも呼ばれる、見つけづ...
収録日:2024/07/19
追加日:2025/07/14
糸井隆夫
東京医科大学病院 消化器内科 主任教授
4

3300万票も獲得した民主党政権がなぜ失敗?…その理由

3300万票も獲得した民主党政権がなぜ失敗?…その理由

政治学講座~選挙をどう見るべきか(5)政権交代と民主党

民主党は、2009年の衆議院選挙で過半数の議席を獲得し、政権交代に成功した。しかし、その後の政権運営に失敗してしまった。その理由についてはいまだ十分な反省が行われていないという。ではなぜ民主党は失敗してしまったのか...
収録日:2019/08/23
追加日:2020/02/12
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
5

印象派を世に広めたモネ《印象、日の出》、当時の評価額は

印象派を世に広めたモネ《印象、日の出》、当時の評価額は

作風と評論からみた印象派の画期性と発展(2)モネ《印象、日の出》の価値

第1回印象派展で話題となっていたセザンヌ。そのセザンヌと双璧をなすインパクトを与えた作品があった。それがモネの《印象、日の出》である。印象派の発展において重要な役割を果たした本作品をめぐる歴史的議論や当時の市況を...
収録日:2023/12/28
追加日:2025/07/17
安井裕雄
三菱一号館美術館 上席学芸員