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月60時間以上残業する人は幸福度が高い?
現在、「働き方改革」が推進されています。日本は、長らく「勤勉」な国民性と言われてきました。もちろんこれまでの日本は、その勤勉さによって作り上げられてきたのでしょう。ですが、最近では日本の労働形態は「生産性が低い」というデータが出ています。技術の変化と共に、労働を取り巻く環境は大きく変化しています。ただ勤勉に長い時間働くことと、利益をあげることは繋がらなくなりました。では残業は減ったでしょうか。
総合人材サービス、パーソルグループの総合研究機関、株式会社パーソル総合研究所と東京大学の中原淳准教授(現在は立教大学教授)との共同研究「希望の残業学プロジェクト」による興味深い調査が行われています。2017年9月に行われたもので、調査対象は会社員(正社員)6000人です。
これによると、月60時間を超えると逆に上昇することが明らかになったとのこと。もちろん一般的に残業時間が長くなると「幸福度」は徐々に低下します。しかし60時間を越えると反転するのです。これはいわゆる「ランナーズハイ」や「ナチュラルハイ」というものに近いのでしょうか。徹夜するとおかしなテンションになったりするので、それとも近いのかもしれません。
また、その一方で、60時間以上残業している人のうち、強いストレスを感じている人の割合は残業しない人の1.6倍、重篤な病気や疾患がある人は1.9倍と、実際はたいへん高い健康リスクにさらされていることが判明しています。長時間労働は、感覚を麻痺させて病気にいたらしめるといっても過言ではないかもしれません。
では、どのような業種がどのくらい残業しているのでしょうか。同調査によると業種別、メンバー層で残業時間が多い順に5位までは以下の通りです。カッコの中は30時間以上の残業割合です。
1位 運輸業・郵便業(37.7%)
2位 情報通信業(32.1%)
3位 電気・ガス・熱供給・水道業(32.1%)
4位 不動産業、物品賃貸業(31.8%)
5位 製造業(29.8%)
上位には、私たちの生活や企業活動に欠かせない業種やインフラ関係が来ていることが分かります。このあたりは月平均30時間以上残業する従業員がほぼ3割を越えています。次に上司層(主任・リーダー層以上)でみてみます。残業時間が多い順に5位までは以下の業種です。カッコの中は30時間以上の残業割合です。
1位 建設業(54.2%)
2位 製造業(51.7%)
3位 運輸業、郵便業(50.0%)
4位 情報通信業(45.9%)
5位 卸売業・小売業(43.1%)
上司層の方が長時間労働をしている人が多いようです。業種は先に挙げたものと少し変わってきます。つまり、上司により負担がかかる業種があるようです。また、同調査では特に「上司層」の方が「メンバー層」よりも残業時間が多い、つまり上司層とメンバー層のギャップが大きい業種5業種を挙げています。
1位 建設業
2位 製造業
3位 不動産業、物品賃貸業
4位 卸売業、小売業
5位 金融業、保険業
ここに上がっている業種は特に突発的な業務が発生する、自分の仕事が進まなければ他の人の仕事が終わらない(仕事の相互依存性)、外部とのやりとりの多さといった要素があるようです。つまり、急な顧客とのリクエストややりとり、チームでの連鎖的な残業といったことが問題としてあるようです。資料では、こういった「職種別職務特性」の観点からの分析も行われています。
紹介した調査を行い分析している「希望の残業学」プロジェクトは、単に現状での長時間労働の実態を明らかにするというものではありません。中原教授は、現在の「働き方改革」は「根本的な原因の放置」があると指摘します。原因を放置して時間数だけを削減しようとすれば、「現場への無茶ぶり」や「管理職への労働強化」が発生してしまうのではないか、と危惧しています。こういった結果を踏まえ、プロジェクトでは、科学的なアプローチから「働き方改革」の未来を描き出したいとのこと。
もちろん働き方改革を大胆に進めることは大事なことだと思います。立案に向けて多くの人間が議論することで、私たちの生活はよりよい方向に向かうでしょう。しかし、上からの改革だけに任せると、現場にしわ寄せがくることは世の常です。だからこそ、状況を客観的に把握した研究が行われ、積極的にその情報があらゆる層に共有されることが非常に意義深いと考えられます。今後の研究の発展に要注目です。
総合人材サービス、パーソルグループの総合研究機関、株式会社パーソル総合研究所と東京大学の中原淳准教授(現在は立教大学教授)との共同研究「希望の残業学プロジェクト」による興味深い調査が行われています。2017年9月に行われたもので、調査対象は会社員(正社員)6000人です。
これによると、月60時間を超えると逆に上昇することが明らかになったとのこと。もちろん一般的に残業時間が長くなると「幸福度」は徐々に低下します。しかし60時間を越えると反転するのです。これはいわゆる「ランナーズハイ」や「ナチュラルハイ」というものに近いのでしょうか。徹夜するとおかしなテンションになったりするので、それとも近いのかもしれません。
また、その一方で、60時間以上残業している人のうち、強いストレスを感じている人の割合は残業しない人の1.6倍、重篤な病気や疾患がある人は1.9倍と、実際はたいへん高い健康リスクにさらされていることが判明しています。長時間労働は、感覚を麻痺させて病気にいたらしめるといっても過言ではないかもしれません。
では、どのような業種がどのくらい残業しているのでしょうか。同調査によると業種別、メンバー層で残業時間が多い順に5位までは以下の通りです。カッコの中は30時間以上の残業割合です。
1位 運輸業・郵便業(37.7%)
2位 情報通信業(32.1%)
3位 電気・ガス・熱供給・水道業(32.1%)
4位 不動産業、物品賃貸業(31.8%)
5位 製造業(29.8%)
上位には、私たちの生活や企業活動に欠かせない業種やインフラ関係が来ていることが分かります。このあたりは月平均30時間以上残業する従業員がほぼ3割を越えています。次に上司層(主任・リーダー層以上)でみてみます。残業時間が多い順に5位までは以下の業種です。カッコの中は30時間以上の残業割合です。
1位 建設業(54.2%)
2位 製造業(51.7%)
3位 運輸業、郵便業(50.0%)
4位 情報通信業(45.9%)
5位 卸売業・小売業(43.1%)
上司層の方が長時間労働をしている人が多いようです。業種は先に挙げたものと少し変わってきます。つまり、上司により負担がかかる業種があるようです。また、同調査では特に「上司層」の方が「メンバー層」よりも残業時間が多い、つまり上司層とメンバー層のギャップが大きい業種5業種を挙げています。
1位 建設業
2位 製造業
3位 不動産業、物品賃貸業
4位 卸売業、小売業
5位 金融業、保険業
ここに上がっている業種は特に突発的な業務が発生する、自分の仕事が進まなければ他の人の仕事が終わらない(仕事の相互依存性)、外部とのやりとりの多さといった要素があるようです。つまり、急な顧客とのリクエストややりとり、チームでの連鎖的な残業といったことが問題としてあるようです。資料では、こういった「職種別職務特性」の観点からの分析も行われています。
紹介した調査を行い分析している「希望の残業学」プロジェクトは、単に現状での長時間労働の実態を明らかにするというものではありません。中原教授は、現在の「働き方改革」は「根本的な原因の放置」があると指摘します。原因を放置して時間数だけを削減しようとすれば、「現場への無茶ぶり」や「管理職への労働強化」が発生してしまうのではないか、と危惧しています。こういった結果を踏まえ、プロジェクトでは、科学的なアプローチから「働き方改革」の未来を描き出したいとのこと。
もちろん働き方改革を大胆に進めることは大事なことだと思います。立案に向けて多くの人間が議論することで、私たちの生活はよりよい方向に向かうでしょう。しかし、上からの改革だけに任せると、現場にしわ寄せがくることは世の常です。だからこそ、状況を客観的に把握した研究が行われ、積極的にその情報があらゆる層に共有されることが非常に意義深いと考えられます。今後の研究の発展に要注目です。
<参考サイト>
・BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-162146
・パーソル総合研究所
https://rc.persol-group.co.jp/news/201802081000.html
https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201803121000.html
https://rc.persol-group.co.jp/zangyo/
・BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-162146
・パーソル総合研究所
https://rc.persol-group.co.jp/news/201802081000.html
https://rc.persol-group.co.jp/column-report/201803121000.html
https://rc.persol-group.co.jp/zangyo/
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