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DATE/ 2015.04.10

六本木ヒルズも採用!地産地消エネがスゴい

中小水力発電は、再エネ優等生

 降り注ぐ太陽の恵みをエネルギーに変える再生可能エネルギー。なかでも中小水力発電は、安定した良質の供給源として、また地域の雇用を開くシステムとして、地域での普及に期待がかかっている。株式会社三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏が推進する中小水力発電は、再生可能エネルギーの優等生であるだけでなく、「地産地消」型エネルギーとしても極めて優秀なのだ。

六本木ヒルズも地産地消していた!

 地産地消といえば、もともと野菜などの食品に使われる言葉。その土地で獲れたものを使うことを言う。輸送にかかるエネルギーをカットできるため、新鮮なものが比較的安く手に入る。地球にもやさしく、おいしい消費として注目されるようになった。

 さらにその先をいくトレンドとして注目されるのが、エネルギーの地産地消だ。水力・火力・原子力を問わず、「大きな発電所で集中的につくり、遠くまで電線を伸ばして使う」のが電気だと思い込んでいないだろうか。

 実は、21世紀の日本では「使う場所で必要な分だけつくる」設備が広まっている。例えば、ガスタービンによる発電。その発電時に発生する「排熱」エネルギーの再利用に加えて、太陽光発電などを併用した六本木ヒルズでは環境・省エネに配慮している。そればかりか2011年の東日本大震災直後には、東京電力へのエネルギー供給を行い話題を集めた。

「長江哀歌」の悲劇を繰り返さないためにも

 中小水力発電の原理は、川の流れに水車を設置し、タービンを入れて熱を取り出すというシンプルなもの。ただ、アメリカやヨーロッパのようなゆったり流れる川には向いておらず、日本やアジアのように「高低差があり、流れの速い川に向いている」と小宮山氏は言う。

 105万人が故郷を失った三峡ダムの悲劇は、映画「長江哀歌」でも訴えられたが、中小水力発電には、巨大ダムのもたらすデメリットはない。地球の生態系への影響を考えても、ダムから中小水力への流れは時代の必然と言えそうだ。

日本からアジアへ創造型需要を開く

 中小水力発電を実際に動かすには装置だけではなく、全体を管理する情報システムや現場でのメンテナンスが必要になる。このことが、日本からアジアへの創造型需要として、大きな意味を持ってくる。

 地球にやさしく、地域雇用を増やすエネルギーの救世主である中小水力発電を、日本からアジアへと輸出できれば、そのメリットは計り知れない。

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