社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
六本木ヒルズも採用!地産地消エネがスゴい
中小水力発電は、再エネ優等生
降り注ぐ太陽の恵みをエネルギーに変える再生可能エネルギー。なかでも中小水力発電は、安定した良質の供給源として、また地域の雇用を開くシステムとして、地域での普及に期待がかかっている。株式会社三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏が推進する中小水力発電は、再生可能エネルギーの優等生であるだけでなく、「地産地消」型エネルギーとしても極めて優秀なのだ。六本木ヒルズも地産地消していた!
地産地消といえば、もともと野菜などの食品に使われる言葉。その土地で獲れたものを使うことを言う。輸送にかかるエネルギーをカットできるため、新鮮なものが比較的安く手に入る。地球にもやさしく、おいしい消費として注目されるようになった。さらにその先をいくトレンドとして注目されるのが、エネルギーの地産地消だ。水力・火力・原子力を問わず、「大きな発電所で集中的につくり、遠くまで電線を伸ばして使う」のが電気だと思い込んでいないだろうか。
実は、21世紀の日本では「使う場所で必要な分だけつくる」設備が広まっている。例えば、ガスタービンによる発電。その発電時に発生する「排熱」エネルギーの再利用に加えて、太陽光発電などを併用した六本木ヒルズでは環境・省エネに配慮している。そればかりか2011年の東日本大震災直後には、東京電力へのエネルギー供給を行い話題を集めた。
「長江哀歌」の悲劇を繰り返さないためにも
中小水力発電の原理は、川の流れに水車を設置し、タービンを入れて熱を取り出すというシンプルなもの。ただ、アメリカやヨーロッパのようなゆったり流れる川には向いておらず、日本やアジアのように「高低差があり、流れの速い川に向いている」と小宮山氏は言う。105万人が故郷を失った三峡ダムの悲劇は、映画「長江哀歌」でも訴えられたが、中小水力発電には、巨大ダムのもたらすデメリットはない。地球の生態系への影響を考えても、ダムから中小水力への流れは時代の必然と言えそうだ。
日本からアジアへ創造型需要を開く
中小水力発電を実際に動かすには装置だけではなく、全体を管理する情報システムや現場でのメンテナンスが必要になる。このことが、日本からアジアへの創造型需要として、大きな意味を持ってくる。地球にやさしく、地域雇用を増やすエネルギーの救世主である中小水力発電を、日本からアジアへと輸出できれば、そのメリットは計り知れない。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/16
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪において...
収録日:2025/08/04
追加日:2025/09/13