社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
1000億円をばらまく?中国のユーザー獲得戦争
昨年12月、かつてない規模のキャッシュバックを行ったペイペイ「100億円あげちゃうキャンペーン」。全額キャッシュバックされた!という報告が相次いだ他、値崩れしにくい家電を購入して転売するユーザーが物議をかもすなどいろいろな面で話題を呼んだキャンペーンでした。冒頭で「かつてない規模」と書きましたが、実はこれ、中国ではよくある戦術なんです。
ペイペイと同じ分野で大きく先行する中国のAlipayとWeChatPay。両サービスも「焼銭」では負けていません。文春オンラインの記事「PayPay“100億円祭り”は中国・アリババのモノマネである」によると、ユーザーに「お年玉」を配ったり、新商品や新機能に紐づけたキャッシュバックなどが繰り返されているそうで、Alipayがユーザー向け、事業者向けに投じた金額は1000億円を超えるという推測もあるようです。
消費税増税に伴い、キャッシュレス決済をするとポイント還元する仕組みが導入される予定もあり、2019年はかつてないほどキャッシュレス決済が浸透することでしょう。サービスのスタートでは他社に遅れを取ったペイペイが100億円効果で一気にまくることができるのか、その争いにも注目です。
中国の「焼銭大戦」がペイペイの先輩?
中国ではユーザー獲得のために目先の採算は度外視して先行投資することを「焼銭」「焼銭大戦」などと言います。かなり直接的な表現ですね。例えば少し前に評判となったシェアサイクル事業もそうです。2016年頃から中国で盛り上がったシェアサイクル事業は参入が容易なことから次々とサービスが始まりましたが、内容は大同小異。2018年には過当競争に耐えかねて撤退が相次ぎ、最大手のofoは経営危機が報じられ、CEOがビジネスモデルの限界を口にすることすらありました。つまり、「焼銭」をしたものの、着地点が見つからなかったわけです。ペイペイと同じ分野で大きく先行する中国のAlipayとWeChatPay。両サービスも「焼銭」では負けていません。文春オンラインの記事「PayPay“100億円祭り”は中国・アリババのモノマネである」によると、ユーザーに「お年玉」を配ったり、新商品や新機能に紐づけたキャッシュバックなどが繰り返されているそうで、Alipayがユーザー向け、事業者向けに投じた金額は1000億円を超えるという推測もあるようです。
ペイペイは100億円の元を取るには
中国流の「焼銭」をしたペイペイは、100億円の元を取ることはできるのでしょうか?その答えはまだ出ていませんが、狙いは見えてきます。LINE Pay、d払い、楽天ペイなど今はQRコード決済を手掛けるサービスが乱立した状態。こうしたサービスは淘汰され小数の事業者によって寡占状態になるのが一般的で、先行してスタンダードになることが非常に重要です。ペイペイは今回のキャンペーンにより10日間で190万人の利用者を獲得したとされており、100億円を190万人で割ると、ユーザー1人当たりの獲得コストは5000円強。Yahoo! JAPANカードや楽天カードなどが入会特典として1万ポイント近いプレゼントを用意していることを考えると、5000円強という数字は決して高くないと見ることもできそうです。消費税増税に伴い、キャッシュレス決済をするとポイント還元する仕組みが導入される予定もあり、2019年はかつてないほどキャッシュレス決済が浸透することでしょう。サービスのスタートでは他社に遅れを取ったペイペイが100億円効果で一気にまくることができるのか、その争いにも注目です。
<参考サイト>
・PayPay“100億円祭り”は中国・アリババのモノマネである | 文春オンライン
http://bunshun.jp/articles/-/9914
・PayPay“100億円祭り”は中国・アリババのモノマネである | 文春オンライン
http://bunshun.jp/articles/-/9914
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
アメリカの大転換はトランプ政権以前に起こっていた。1980~1990年代、情報機器と金融手法の発達、それに伴う法問題の煩雑化により、アメリカは「ラストベルト化」に向かう変貌を果たしていた。そこにトランプの誤解の背景があ...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/11
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
半世紀ほど前、松下幸之助に経営者の条件について尋ねた田口氏は、「運と徳」、そして「人間の把握」と「宇宙の理法」という命題を受けた。その後50年間、その本質を東洋思想の観点から探究し続けてきた。その中で後藤新平の思...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/24


