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自然災害の多い日本、とるべき災害対策は?
自然災害のニュースを見ると、防災リュックの中身や懐中電灯の電池は大丈夫だろうかと頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。関東大震災より100年経った今日ですが、「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉が皮肉に聞こえるほど、日本列島は天災が続いています。
地震、台風、火山の噴火、豪雪など災害が報道されない年はない……そんな日本に住む私たちにできる防災とはどのようなものでしょうか。
防災の常識は日々新しくなっています。まずは自治体から配布される防災マニュアルや、市販の出版物を、御自身の家族構成にマッチしたものを読むことをお勧めします。ハザードマップや避難地図などを片手に、自宅から避難場所まで実際に歩いてみると良いでしょう。お子さんと一緒に通学路の危険なポイントをチェックしたり、大水の時に河川を迂回するルートを考えたりしておくのも大切です。
また、東北の震災時は広範囲で電話回線がパンクし、連絡が取り合えない事態が発生しました。被災時にも使える「災害用伝言ダイヤル」は毎月1日・15日に体験日が設定されています。その他、身近な人の電話番号などは手帳に控え、公衆電話などからもかけられるようにしておくのも有効です。
2、防ぐ 「家具の固定しっかりと」
震度7を記録した阪神大震災では、死傷者の原因のトップは、転倒した家具の下敷きになるという痛ましいものでした。寝室や避難経路の妨げになる場所に転倒する恐れのある家具を置かず、きっちり壁や天井に固定することが防災の第一歩です。
3、蓄える 「あらゆる災害に応用できる備蓄を」
先述した通り、日本は様々な災害が発生する国です。地震対策の防災用品に加えて、雪かき用のスコップや、噴火で巻き上がる火山灰や粉塵を防ぐ密閉性の高いマスクとゴーグルなど、多岐にわたって対応できるツールが必要となります。
また、通勤通学、車での移動中、旅先などで災害が発生することも考慮して、自宅用、外出用、車用などの防災セットを用意しておくと安心です。
4、つなげる 「近所同士の助け合い」
2017年、九州北部を襲った豪雨は記録的なものでした。しかし、犠牲者を出さずにすんだのは地域のコミュニティがしっかりしていたことの賜物であると報告されています。近所の人とお互いに助け合えるよう、日頃から関係性を保っておくことも防災の基盤作りと言えるのではないでしょうか。
5、心がける 「ブレーカーを落として火事を防ぐ/日頃から溜め水をする」
地震の時に被害を拡大してしまうのが火災です。火災発生の原因には、一度切れていた電気が再び通電する際に、ブレーカーが火を吹いたためというケースが多く報告されています。避難の際にはブレーカーを落とすという心がけを家族の共通認識にしておきましょう。
激しい災害の後、ライフラインの復旧に時間がかかるのはよく知られている通りです。中でも問題になるのは生活用水の確保でしょう。先の東北大震災で被災した友人は、「とにかく風呂の水は捨てずにとっておくべき」と話してくれました。用を足した後のトイレを流すのにはバケツ2杯の水が必要だとか。
住宅環境によっては、水はすぐにストップするわけではないそうです。水が出る間になるべく確保しておけるよう、空きのペットボトルやバケツなどを用意しておきましょう。断水後に給水場まで行く際も役に立ちます。
近年、避難が遅れた理由を、「(行政から)避難勧告がこなかったから」と述べる人も多々出ているそうです。残念ながら現在、すべての人のその場その時のベストを指示する防災ツールは存在していません。東北の震災では防波堤を上回る「想定外」の高さの津波がやってきたのは御存知の通りです。また、ハザードマップはあくまでも過去の事例に基づいたひとつのシミュレーションで、確実な安全を保証するものではありません。
防災の根本に求められているのは、行政やアプリからの指示を待つ受け身の姿勢ではなく、自分の命は自分で守るという主体性です。自らを助けるのは自分という意識を持ち、行政と市民一丸となって災害に立ち向かう社会を築き上げていくことこそ、真の防災と言えるのではないでしょうか。
地震、台風、火山の噴火、豪雪など災害が報道されない年はない……そんな日本に住む私たちにできる防災とはどのようなものでしょうか。
防災の五つの基本「備える」「防ぐ」「蓄える」「つなげる」「心がける」
1、備える 「ツールを活用していざという時に備える」防災の常識は日々新しくなっています。まずは自治体から配布される防災マニュアルや、市販の出版物を、御自身の家族構成にマッチしたものを読むことをお勧めします。ハザードマップや避難地図などを片手に、自宅から避難場所まで実際に歩いてみると良いでしょう。お子さんと一緒に通学路の危険なポイントをチェックしたり、大水の時に河川を迂回するルートを考えたりしておくのも大切です。
また、東北の震災時は広範囲で電話回線がパンクし、連絡が取り合えない事態が発生しました。被災時にも使える「災害用伝言ダイヤル」は毎月1日・15日に体験日が設定されています。その他、身近な人の電話番号などは手帳に控え、公衆電話などからもかけられるようにしておくのも有効です。
2、防ぐ 「家具の固定しっかりと」
震度7を記録した阪神大震災では、死傷者の原因のトップは、転倒した家具の下敷きになるという痛ましいものでした。寝室や避難経路の妨げになる場所に転倒する恐れのある家具を置かず、きっちり壁や天井に固定することが防災の第一歩です。
3、蓄える 「あらゆる災害に応用できる備蓄を」
先述した通り、日本は様々な災害が発生する国です。地震対策の防災用品に加えて、雪かき用のスコップや、噴火で巻き上がる火山灰や粉塵を防ぐ密閉性の高いマスクとゴーグルなど、多岐にわたって対応できるツールが必要となります。
また、通勤通学、車での移動中、旅先などで災害が発生することも考慮して、自宅用、外出用、車用などの防災セットを用意しておくと安心です。
4、つなげる 「近所同士の助け合い」
2017年、九州北部を襲った豪雨は記録的なものでした。しかし、犠牲者を出さずにすんだのは地域のコミュニティがしっかりしていたことの賜物であると報告されています。近所の人とお互いに助け合えるよう、日頃から関係性を保っておくことも防災の基盤作りと言えるのではないでしょうか。
5、心がける 「ブレーカーを落として火事を防ぐ/日頃から溜め水をする」
地震の時に被害を拡大してしまうのが火災です。火災発生の原因には、一度切れていた電気が再び通電する際に、ブレーカーが火を吹いたためというケースが多く報告されています。避難の際にはブレーカーを落とすという心がけを家族の共通認識にしておきましょう。
激しい災害の後、ライフラインの復旧に時間がかかるのはよく知られている通りです。中でも問題になるのは生活用水の確保でしょう。先の東北大震災で被災した友人は、「とにかく風呂の水は捨てずにとっておくべき」と話してくれました。用を足した後のトイレを流すのにはバケツ2杯の水が必要だとか。
住宅環境によっては、水はすぐにストップするわけではないそうです。水が出る間になるべく確保しておけるよう、空きのペットボトルやバケツなどを用意しておきましょう。断水後に給水場まで行く際も役に立ちます。
主体性を持った防災意識を
日本は数千人以上の死者の出た伊勢湾台風以降、防災に対するインフラ整備を推し進めてきました。防波堤などの物理的インフラをはじめとして、ハザードマップ、地震や台風などの発生を報せてくれるアプリも開発されました。けれども、専門家からはそれらに依存することの危険性も警告されています。近年、避難が遅れた理由を、「(行政から)避難勧告がこなかったから」と述べる人も多々出ているそうです。残念ながら現在、すべての人のその場その時のベストを指示する防災ツールは存在していません。東北の震災では防波堤を上回る「想定外」の高さの津波がやってきたのは御存知の通りです。また、ハザードマップはあくまでも過去の事例に基づいたひとつのシミュレーションで、確実な安全を保証するものではありません。
防災の根本に求められているのは、行政やアプリからの指示を待つ受け身の姿勢ではなく、自分の命は自分で守るという主体性です。自らを助けるのは自分という意識を持ち、行政と市民一丸となって災害に立ち向かう社会を築き上げていくことこそ、真の防災と言えるのではないでしょうか。
<参考文献・参考サイト>
・『東京防災』(東京都総務局総合防災部防災管理課著、東京都著、かわぐち かいじ寄稿、東京都総務局総合防災部防災管理課)
・『東京防災』(東京都総務局総合防災部防災管理課著、東京都著、かわぐち かいじ寄稿、東京都総務局総合防災部防災管理課)
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