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菓子パンはNG?トランス脂肪酸の危険性
菓子パンの成分表などで見かける「トランス脂肪酸」。言葉の響きから、なんとなく体に悪いものというイメージですよね。それでは実際にどんな成分なのでしょうか? トランス脂肪酸とは何か、体への影響も含めて解説します。
通常、脂肪酸(厳密には不飽和脂肪酸)にはシス型、トランス型の2種類があります。天然の不飽和脂肪酸のほとんどがシス型であるのに対し、特定の条件下で生まれるのがトランス型です。特にマーガリンやサラダ油、あるいはそれを原材料に使った菓子パンやケーキの製造において、植物油独特の臭いを取り除く工程上で発生します。
また天然上でも、牛や羊のように「反芻する生き物」の肉や乳製品の中に微量のトランス脂肪酸が生じることも。胃の中にいる微生物の働きによるものだそうです。
農林水産省や厚労省の見解によると、トランス脂肪酸の摂りすぎによって心臓病や肥満、アレルギー性疾患のリスクが高まる可能性があるとしています。いっぽうで、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、認知症との関連性は不明とのことです。
しかしこうしたトランス脂肪酸の研究結果は、もともと脂質を多量に摂る欧米人を対象にしたもの。欧米人に比べ脂質を摂る量が少ない日本人にも同様の影響があるかどうかは、はっきりとしていないようです。
アメリカの神経学会誌によれば、認知症状の自覚のない日本人の男女約1600人を対象に10年間追跡調査を行ったところ、トランス脂肪酸の血中濃度の高い人は低い人にくらべ、認知症やアルツハイマー病の発症リスクが50~75%高くなるという研究結果が出たそうです。
トランス脂肪酸の摂りすぎは肥満や心血系の病気だけでなく、脳の認知機能低下の原因にもなりえると考えられます。
WHO(世界保健機関)が勧告するトランス脂肪酸の摂取量は、総エネルギー摂取量の1%未満。日本人の平均エネルギー量を約1,900 kcalとすると、トランス脂肪酸の量は約2gという計算になります。
農水省の調査(2005~2007年)によると、日本人1人が1日で摂るトランス脂肪酸の平均摂取量は0.92~0.96g(推定)、総エネルギー摂取量の0.44~0.47%程度であるとしています。さらに最新の結果として2012年に食品安全委員会が行った調査では、日本人のトランス脂肪酸摂取量は総エネルギー量の約0.3%程度であると推定。WHOが勧告する摂取量より大幅に下回ることから、通常の食生活であればほぼ問題はないと結論づけました。
こうした背景から日本ではまだ規制の対象にはなっていないトランス脂肪酸ですが、油脂業界ではすでに1998年ごろから加工油脂製品のトランス脂肪酸の低減化の取り組みがなされています。トランス脂肪酸といえば「菓子パンに多く含まれている」と考えられがちですが、現在はマーガリンやドーナツ用のフライオイルをはじめ、パンやデニッシュ、ホイップクリームまで、大幅なトランス脂肪酸の低減化が実現しているそうです。
「トランス脂肪酸の摂りすぎが怖い」と、菓子パンを敬遠する必要はないといえるかもしれません。
ほとんどの日本人はトランス脂肪酸の量はさほど気にしなくてもいいとはいえ、健康へのリスクが判明している以上、注意するに越したことはないでしょう。しかしトランス脂肪酸のことばかりでなく、塩分や糖分を多く含む食べ物ばかり好むなど、普段から偏った食生活をしていては、健康を損ねる危険性があります。
脂質、糖質、塩分などの総摂取量を考えて、バランスの良い食生活を心がけていきましょう。
よく耳にするけど…トランス脂肪酸って?
ごく簡単に言うと、トランス脂肪酸の「脂肪酸」は油脂(脂質)の構成要素のひとつで、「トランス」とは脂肪酸の型のことです。つまりトランス脂肪酸とは「トランス型をした脂肪酸」という意味になります。通常、脂肪酸(厳密には不飽和脂肪酸)にはシス型、トランス型の2種類があります。天然の不飽和脂肪酸のほとんどがシス型であるのに対し、特定の条件下で生まれるのがトランス型です。特にマーガリンやサラダ油、あるいはそれを原材料に使った菓子パンやケーキの製造において、植物油独特の臭いを取り除く工程上で発生します。
また天然上でも、牛や羊のように「反芻する生き物」の肉や乳製品の中に微量のトランス脂肪酸が生じることも。胃の中にいる微生物の働きによるものだそうです。
トランス脂肪酸は健康に良くないってホント?
ではトランス脂肪酸は具体的に、体にどのような影響を与えるのでしょうか?農林水産省や厚労省の見解によると、トランス脂肪酸の摂りすぎによって心臓病や肥満、アレルギー性疾患のリスクが高まる可能性があるとしています。いっぽうで、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、認知症との関連性は不明とのことです。
しかしこうしたトランス脂肪酸の研究結果は、もともと脂質を多量に摂る欧米人を対象にしたもの。欧米人に比べ脂質を摂る量が少ない日本人にも同様の影響があるかどうかは、はっきりとしていないようです。
トランス脂肪酸の血中濃度が高い人は、認知症のリスクも
とはいえ、日本人のトランス脂肪酸の摂取量に関しては、こんな最新データも。アメリカの神経学会誌によれば、認知症状の自覚のない日本人の男女約1600人を対象に10年間追跡調査を行ったところ、トランス脂肪酸の血中濃度の高い人は低い人にくらべ、認知症やアルツハイマー病の発症リスクが50~75%高くなるという研究結果が出たそうです。
トランス脂肪酸の摂りすぎは肥満や心血系の病気だけでなく、脳の認知機能低下の原因にもなりえると考えられます。
どれくらい摂っても大丈夫?
それでは、どの程度の量のトランス脂肪酸を摂ると影響が出るのでしょうか。WHO(世界保健機関)が勧告するトランス脂肪酸の摂取量は、総エネルギー摂取量の1%未満。日本人の平均エネルギー量を約1,900 kcalとすると、トランス脂肪酸の量は約2gという計算になります。
農水省の調査(2005~2007年)によると、日本人1人が1日で摂るトランス脂肪酸の平均摂取量は0.92~0.96g(推定)、総エネルギー摂取量の0.44~0.47%程度であるとしています。さらに最新の結果として2012年に食品安全委員会が行った調査では、日本人のトランス脂肪酸摂取量は総エネルギー量の約0.3%程度であると推定。WHOが勧告する摂取量より大幅に下回ることから、通常の食生活であればほぼ問題はないと結論づけました。
こうした背景から日本ではまだ規制の対象にはなっていないトランス脂肪酸ですが、油脂業界ではすでに1998年ごろから加工油脂製品のトランス脂肪酸の低減化の取り組みがなされています。トランス脂肪酸といえば「菓子パンに多く含まれている」と考えられがちですが、現在はマーガリンやドーナツ用のフライオイルをはじめ、パンやデニッシュ、ホイップクリームまで、大幅なトランス脂肪酸の低減化が実現しているそうです。
「トランス脂肪酸の摂りすぎが怖い」と、菓子パンを敬遠する必要はないといえるかもしれません。
バランスの良い食事を基本に、摂りすぎに注意しよう
トランス脂肪酸と、その健康への影響について解説しました。いかがでしたか?ほとんどの日本人はトランス脂肪酸の量はさほど気にしなくてもいいとはいえ、健康へのリスクが判明している以上、注意するに越したことはないでしょう。しかしトランス脂肪酸のことばかりでなく、塩分や糖分を多く含む食べ物ばかり好むなど、普段から偏った食生活をしていては、健康を損ねる危険性があります。
脂質、糖質、塩分などの総摂取量を考えて、バランスの良い食生活を心がけていきましょう。
<参考サイト>
・すぐにわかるトランス脂肪酸(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/
・トランス脂肪酸に関するQ&A(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091319.html
・アルツハイマーのリスク、トランス脂肪酸含む食品で75%増大も(CNN.co.jp)
https://www.cnn.co.jp/fringe/35144380.html
・トランス脂肪酸等の低減化に関する取組みについて(山崎製パン)
https://www.yamazakipan.co.jp/company/trans_fat/index2.html#q01_5
・すぐにわかるトランス脂肪酸(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/
・トランス脂肪酸に関するQ&A(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091319.html
・アルツハイマーのリスク、トランス脂肪酸含む食品で75%増大も(CNN.co.jp)
https://www.cnn.co.jp/fringe/35144380.html
・トランス脂肪酸等の低減化に関する取組みについて(山崎製パン)
https://www.yamazakipan.co.jp/company/trans_fat/index2.html#q01_5
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