社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.11.30

困った「上司・部下」の特徴は?

 職場ストレスの第一は、昔も今も「人間関係」だと言われます。とくに休日明けは、困った上司、困った部下と顔を付き合わせると思うと、朝からドンヨリ…してしまうのも無理ありません。では一体、どんな上司や部下に、みんなは困らされているのか。また、その対処法はあるのか? 転職サイトの「エン転職」では、1万人以上から集めたアンケート結果を発表しています。

「人によって態度を変える」上司が困りもの

 これまで「困った上司」のもとで働いたことが「ある」と答えた人は、全体の85%。5人に4人以上の人が上司に困った経験を持っていますが、どんなところが困るのか。ワースト5をのぞいてみましょう。

・人によって態度を変える:65%
・いざというときに部下を守ってくれない:55%
・指示・指導が曖昧:54% ・チームを引っ張る能力が低い:47%
・部下の失敗に厳しい:41%

 部下として一番困るのは、「人によって態度を変える」上司(65%)です。お気に入りの部下とそうでもない人とで対応が違うのは本当に困ります。筆者の昔所属した会社では、「男女で態度が全く違う」体育会系出身の上司がいました。令和の時代には絶滅したでしょうが、「男同士でないと本音は言えない」といった態度には、同じ仕事をしているチームのメンバーとして、実に情けない思いをしたものです。これに似た上司像は、「セクハラ・パワハラがひどい」(38%)に含まれているでしょうか。

 二番目に多いのは「いざというときに部下を守ってくれない」上司(55%)です。自分の保身に精いっぱいの姿を、部下は冷静に見極めているものですから、こういう人は、一瞬で信頼を失っちゃいますね。コメント欄では、「逆に『こいつの面倒見てる俺って大変』な感じを(さらに)上司に訴える態度をとる」上司もいるとか。したっぱ臭プンプンの振る舞いですね。似たような上司像として、「部下の失敗に厳しい」(41%)が挙げられています。こちらも「自分の査定に響くから」だと、あからさまに分かるようではウンザリします。

 三番目にランクインしたのは「指示・指導が曖昧」(54%)という指摘です。「チームを引っ張る能力が低い」(47%)や「上からの命令をそのまま部下に伝える」(32%)、「明確な目標を設定しない」(28%)、「根性論・精神論で仕事を進めようとする」(28%)、「仕事への意欲やビジョンがない」(22%)なども似たような上司ではないでしょうか。マネジメント力が低いのか、コミュニケーションが苦手なのか、上司によって違いはあるでしょうが、指示を受けて働く部下が能力アップの機会にすることを祈るばかりです。

困った部下は「言い訳が多い」

 では、上司から見た「困った部下」はどうでしょうか。部下に対して「困った」と感じたことについて、やはりワースト5を見てみましょう。

・言い訳が多い:53%
・報告・連絡・相談を怠る:51%
・上司からの指示待ち:37%
・基本的なルールを守らない:36%
・謙虚さがない:32%

 こちらのランキング、一見なるほどという感じもしますが、「言い訳」や「報告・連絡・相談」が半数を超えているのは、逆に考えると、そのぐらいしか文句のつけようのない部下が増えているということかもしれません。下の方の順位には、もっと根本的な問題を抱えた「遅刻・欠勤など勤怠状況が悪い」(27%)「挨拶をしない」(23%)なども並んでいるからです。

 それにしても、「言い訳」と「報告」や「相談」との境界はどの辺にあるのでしょうか。昭和の時代には、何か言いたそうで言えない顔をしている部下を上司が飲みに誘う、というお定まりのパターンがありました。実際に飲むかどうかは別として、一言で報告や連絡にしてしまうと抜け落ちるニュアンスを、世間話や噂とごちゃまぜにして伝えられる雰囲気があった点、悪くはなかったと思います。部下の側には、シラフでは言いにくい泣き言や言い訳、弱音や強がりなども話の端々に混ぜられる安心感があり、それを聞く上司の側には「仕方がないなぁ、こういうヤツなんだ」と支える度量が養われていったからです。

ホンネ満載の見方を知って、余裕を取り戻す

 フォーマット通りでは片付かないのが、人間関係。そして、やがてはAIが代替すると言われる時代になっても、仕事を支える意欲の多くもまた、人間関係に負っています。上司と部下という役割を離れた人間同士として認め合えることも大切だし、互いの立場を思いやることにも大きな意味があります。

 ホンネ満載のランキングやコメントを見ると、上司の方は部下の見方を、部下の人は上司の悩みがどこにあるのかを知ることができます。少しガス抜きをすることで互いに歩み寄り、職場での余裕ができてくるといいですね。

<参考サイト>
・エン転職:第57回 テーマ「上司と部下」について
https://employment.en-japan.com/enquete/report-57/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍

習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴

国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
小原雅博
東京大学名誉教授
2

ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは

ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは

歴史の探り方、活かし方(3)古書店巡りからネット書店へ

古本のインターネット書店が充実し、史料探しはずいぶん楽になった現在だが、地方にある書店の地元出版コーナーも見逃せない。新書などの文献目録を参考にするという手もあると中村氏は言う。ではそうして歴史を調べ、たどって...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/21
3

密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」

密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観

岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
4

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か

アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
5

島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本

島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本

編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは

ある国について、あるいはその社会についての詳細な実状は、なかなか外側からではわからないところがあります。やはり、その国についてよくよく知るためには、そこに住んでみるのがいちばんでしょう。さらにいえば、たんに住む...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/20