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DATE/ 2020.06.25

世界の空港&航空会社ランキング

 住みたい町ランキングや国の幸福度、ミシュランガイド、毎年恒例の人気番組「芸能人格付けチェック」(ABCテレビ)のように、航空業界にも格付けがあるのを知っていますか。世界の空港や航空会社にもいくつかのランキングがあるのです。

 どこの空港や航空会社の評価が高いのか。また、日本の空港や航空会社は上位にランクインしているのか。そもそも、どのように格付けを行っているのか。近年の航空業界の動向を、格付けというフィルターを通してご案内いたします。

トップ10のうち7空港が東アジア勢

 まずは世界の空港ランキングから見ていきましょう。イギリスの航空サービス調査会社スカイトラックスは、2020年版の世界の空港ランキングを発表しました。このランキングは、世界の100カ国ほどの550空港を対象に、昨年2019年9月から今年2020年2月にかけて、空港利用者に実施した満足度調査をもとに作成されました。

 ちなみに、2020年4月1日にフランスのパリで発表イベントが予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響ため中止になり、その代わりに発表は5月10日にYouTubeで生中継されることになりました。

 では、さっそくランキングを見ていきましょう。

1位:シンガポール・チャンギ空港(シンガポール)
2位:東京国際空港(羽田空港・東京都)
3位:ハマド国際空港(カタール)
4位:仁川国際空港(韓国)
5位:ミュンヘン空港(ドイツ)
6位:香港国際空港(香港)
7位:成田国際空港(千葉県)
8位:中部国際空港セントレア(愛知県)
9位:アムステルダム・スキポール空港(オランダ)
10位:関西国際空港(大阪府)

 なんと、日本の空港がトップ10に4つもがランクインしています。2位の東京国際空港(羽田空港・東京都)、7位の成田国際空港(千葉県)、8位の中部国際空港セントレア(愛知県)、10位の関西国際空港(大阪府)です。

 また、1位のシンガポール・チャンギ空港、4位の仁川国際空港、6位の香港国際空港に日本の4空港を合わせると、トップ10のうち7空港がアジア勢です。

日本といえば「おもてなし」

 内容をすこし詳しく見ていると、まず1位のチャンギ空港は、空港直結の複合施設ジュエル・チャンギ・エアポートが2019年4月に開業し、それが高く評価されたようです。羽田空港は部門別ランキングでは、国内空港部門と清潔度部門でトップを獲得しています。また、関西国際空港が空港スタッフサービス部門、中部国際空港セントレアは地域空港部門、成田国際空港は空港ダイニング部門でそれぞれ1位を獲得しました。

 清潔度やスタッフサービスから連想するのは、やはり日本の「おもてなし」の力ですね。「おもてなし」と言えば、小泉進次郎さんとのでき婚で世間をあっと驚かせた滝川クリステルさんの東京五輪誘致スピーチの効果が、もしかするといまだに残響しているのかもしれません。あのプレゼンによって、世界中に「日本といえば、お・も・て・な・し」という印象を植え付けました。

エアライン・オブ・ザ・イヤー2019

 次に航空会社のランキングを見てみましょう。こちらも航空会社の格付け調査を行なうスカイトラックスによるもので、その名もエアライン・オブ・ザ・イヤー2019です。ワールド・ベストエアラインのトップ10を紹介します。カッコ内は前年の順位です。

1位:カタール航空(2)
2位:シンガポール航空(1)
3位:全日空(ANA)(3)
4位:キャセイパシフィック航空(6)
5位:エミレーツ航空(4)
6位:エバー航空(5)
7位:海南航空(8)
8位:カンタス航空(11)
9位:ルフトハンザ航空(7)
10位:タイ国際航空(10)

 首位のカタール航空は、「ワールド・ベストビジネスクラス」でも1位を獲得しています。シンガポール航空は、「ベストエアライン・イン・アジア」「ワールド・ベストキャビンスタッフ」「ワールド・ベストファーストクラス」でも1位でした。シンガポールは空港も首位だったことを考えると、航空業界の強さが伺えます。

 日本の航空会社はというと、ANAが前年に続き3位で、JALは惜しくもトップ10は逃しましたが、11位と大健闘。前年は13だったのでランクアップしています。「ベストエアライン・イン・アジア」ではANA2位、JAL7位。「ワールド・ベストキャビンスタッフ」ではANA3位、JAL8位。さらに、「ワールド・ベストエコノミークラス」ではJALはトップでした。

ANAが1位のインデックス

 別の指標もあります。データ・インテリジェンス・カンパニーのCollibraの「エアライン・トラスト・インデックス」です。2020年4月29日(水)に発表されました。世界の航空会社80社を対象に、定時運航率、顧客体験、顧客サービス、給与、一般の人々からの航空会社へのブランド・エンゲージメントなどの調査・分析をもとに作成されました。

1位:全日空
2位:カタール航空
3位:日本航空
4位:サウスウェスト航空
5位:ガルーダ・インドネシア航空
6位:シンガポール航空
7位:スカイマーク
8位:カンタス航空
9位:コパ航空
10位:ビスタラ

 こちらではANAが1位、JALが3位、さらにスカイマークが7位に選ばれています。ANAは、「定時運航率」「顧客レビュー」「スタッフサービス」「座席指定」で満点の5点を獲得し、30点満点中27点。また、無料で普通席を座席指定できるサービスが評価されているそうです。

 こうしてランキングを見てみると、あらためて日本の航空がシンガポールやカタールと同様に、世界から高く評価されていることがわかります。あなたのベスト空港やベスト航空会社はどこですか。

 それにしても、人はどうしてこれほどに格付け好きなのでしょうか。たしかにランキングは眺めているだけでも面白いし、何かを選択するときの参考にもなりますね。ただし、大事な選択をするときはあくまで参考程度にとどめておく方が良いでしょう。

 なんであれ、人がつくっている以上、その作成者の意図や主観が混ざり込んでしまうものです。やはり、完全にフェアな格付けというものはありえません。百聞は一見にしかず。急がば回れ。面倒でも、自分の目で確かめた方が、より良いチョイスを選択することができるのではないでしょうか。

<参考サイト>
・世界空港ランキング チャンギ首位、日本の4空港がトップ10入り │CNN co.jp
https://www.cnn.co.jp/travel/35153588.html
・格付け会社の航空会社ランキング2019、世界1位はカタール航空、日系2社も高評価、LCC部門トップはエアアジアに ―スカイトラックス | トラベルボイス
https://www.travelvoice.jp/20190619-133005
・Airline Trust Index: These are the most and least trusted airlines in the world
https://www.colibra.io/most-trusted-airlines/
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