テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.09.05

年収に見合った「家賃」はいくらなのか?

 生活する上で最も大きな固定費といえば、家賃ではないでしょうか。昔はおよそ収入の3割(33%程度)が目処とされてきました。しかし、これはもはや昔の話。現在はもう少しシビアになっている様子です。ここでは、実際どれくらいが妥当なのか、年収別に見てみましょう。

収入の20%から30%程度が目安

 最近は一般的に家賃の目安は20から30%とされることが多いようです。3割ということが言われていた時代は、日本の経済が上向いていくという予想がされていた時代です。つまり、未来の自分や国のお金に託せる時代の考えだったと言えるでしょう。しかし、現代の様相は異なります。

 現代では以前に比べてさまざまな働き方が選べるようになったと同時に、年功賃金制といった時間に任せれば給与が上がる仕組みは期待できません。雇用が維持される保証もないという状況も増えています。つまり、私たちは以前よりもリスクの高い社会に生きています。この社会ではリスクに備えて一定額を蓄えておく必要があります。

 また今後、老後資金を年金だけでは賄えないことも明らかです。この点でもお金を蓄えておく必要性があります。しかし、現在では貯蓄しておくだけではお金は増えません。ゆとりを得るにはある程度を投資に回す必要もあります。国もiDeCoやNISAといった貯蓄を投資にシフトする方策を積極的に広めていますが、貯蓄を全額投資に回すのは危険です。投資にお金を回すには、ある程度の貯蓄があることを前提としなければなりません。つまり、一定額の貯蓄の上に老後資金としての投資が必要です。

 さらに以前よりも消費税は上がっています。また、細かく考えればインターネットやスマホは、現在ではなくてはならない社会インフラです。これを維持するのにも毎月1万円程度は必要です。このように考えれば、2000年代以前よりも、現代では固定費が増え、自分の自由に使えるお金は減っていると考えられます。この時、一番に見直されるべき固定費は家賃です。

年収別の家賃シミュレーション

 実際に年収別にシミューレーションしてみましょう。それぞれの年収で、月々20%、25%、30%でそれぞれおおよその金額を出してみます。

<年収(月割り額)20%:25%:30%>
200万円(約16.7万円/月):3.3万円:4.2万円:5.0万円
300万円(約25万円/月):5万円:6.3万円:7.5万円  
400万円(約33.3万円/月):6.7万円:8.3万円:10万円
500万円(約41.7万円/月):8.3万円:10.4万円:12.5万円
600万円(約50万円/月):10万円:12.5万円:15万円
700万円(約58.3万円/月):11.7万円:14.6万円:17.5万円
800万円(約66.7万円/月):13.3万円:16.7万円:20.0万円

 もちろん、一人で暮らすか、夫婦で暮らすか、また子供がいるかどうか、福利厚生の充実した会社勤めかフリーランスかといった様々な状況によって、家賃にあてることのできる金額は大きく変わります。しかし、節約できれば大きな違いが生まれることは確かです。例えば年収500万円の場合をとりだしてみましょう。30%だった場合の家賃は12.5万円、これが20%だった場合は8.3万円となります。つまり、毎月4.2万円の差が生まれるのです。これは見過ごせない金額だと言えます。

 収入が少ないほどこういった固定費がシビアになることは想像に難くありません。また、夫婦2人の世帯でまだ子供がいない場合、貯蓄は手取りの20%が目安といった記事もあります。節約や貯金は習慣づけが大事です。一概に「家賃は収入の何割」と言えない部分はありますが、固定費に対する意識を持っておけば、あとで生き方に余裕が生まれることは間違いないでしょう。

<参考サイト>
・これが「年収別適性家賃」|ライフルホームズ
https://www.homes.co.jp/cont/rent/rent_00002/
・「家賃は収入の30%」は時代遅れ?手取りから逆算する"理想の家賃"をお金のプロが解説|オウチーノニュース
https://o-uccino.com/front/articles/55627
・夫婦の生活費の内訳はいくら?理想の割合や上手な分担方法も解説!|家計見直しナビ
https://www.kakeinavi.jp/559/

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

単なる不況に非ず…破壊規模は「台風か気候変動か?」

単なる不況に非ず…破壊規模は「台風か気候変動か?」

[深掘り]世界を壊すトランプ関税(2)米国の自爆と中国の思惑

トランプ政権が発表した関税政策は、世界を大きな混乱に落とし込んでいる。はたして、トランプ大統領の「動機」や「思考」の淵源とはいかなるものなのか。そして世界はどうなってしまうのか。

島田晴雄先生には、...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/04/26
2

危機の10年…2つのサイクルが初交差する2020年代の意味

危機の10年…2つのサイクルが初交差する2020年代の意味

トランプ2.0~アメリカ第一主義の逆襲(2)交差する2つのサイクル

アメリカには、80年周期の制度サイクルと50年周期の社会経済サイクルがあり、その2つの周期が初めて重なるのが2020年代なのだ。「危機の10年」ともいわれており、そのタイミングで始動したトランプ第二次政権。その動きの舵取り...
収録日:2025/03/21
追加日:2025/04/26
東秀敏
米国安全保障企画研究員
3

共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」

共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」

危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性

フェイクが含まれた情報や陰謀論が跋扈する一方、多様性が尊重されるようになり多元化する人々の価値観。そうした現代社会で、いかにして私たちはともに公共性を保って生きていけるのか。多様でありながらいかに共存・共生でき...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/04/25
齋藤純一
早稲田大学政治経済学術院政治経済学部教授
4

『風と共に去りぬ』で表現されたアイルランド移民の精神史

『風と共に去りぬ』で表現されたアイルランド移民の精神史

アメリカの理念と本質(5)アメリカのアイルランド問題

アイルランド本国で始まったアングロ・サクソンからの差別は大西洋を越えても消えず、逆にアメリカへ移民するアイルランド人たちに不撓不屈の精神を植え付けた。名作『風と共に去りぬ』には、その姿がビビッドに描かれている。...
収録日:2024/06/14
追加日:2024/09/17
中西輝政
京都大学名誉教授
5

水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性

水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性

水から考える「持続可能」な未来(8)人材育成と水道事業の課題

日本企業の水資源に関するリスク開示の現状はどうなっているか。革新的な「超越人材」を生み育てるために必要な心構えとは何か。老朽化する水道インフラの更新について、海外のように日本も水道事業に民間資本が入る可能性はあ...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/04/24
沖大幹
東京大学大学院工学系研究科 教授