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世界の「報道自由度」ランキング…日本の順位は?
「国境なき記者団(RSF)」をはじめとする国際ジャーナリスト組織では、毎年世界各国の報道自由度ランキングを発表しています。果たして日本の順位は?その変遷は何を意味しているのでしょうか。
国境なき記者団は、言論の自由や報道の自由の擁護を目的とした、ジャーナリストによる非政府組織。1985年、フランスの元ラジオ局記者によってパリで設立されました。当初の設立目的は、戦争地域などで活動するジャーナリストの金銭的・物的支援や、拘束されたジャーナリストの救出、メディア攻撃に対する非難声明、情報の自由に対する攻撃の監視などの活動を行うことでした。
2002年からは年14の団体と130人の特派員、ジャーナリスト、調査員、法律専門家、人権活動家らが、それぞれの国の報道の自由のレベルを評価するため、50の質問に回答する形式で指標が作成されます。それに基づいて発行されるリストが世界報道自由度ランキング(World Press Freedom Index)です。
質問の内容は「メディア所有者の『利害の衝突』がジャーナリストに自己検閲させる原因となることがよくありますか?」「ジャーナリストの情報源の機密を保護する法的メカニズムはありますか?」など、すべてHPで公表されています。
2006年から2014年にかけてはネット検閲などの情報統制を行っている国を調査・公表し、13か国を「インターネットの敵」と名指すなどの活動も行なっています。
逆に報道の自由がなく、情報統制が敷かれている国は黒色で表示されます。2020年のブラックリストは、紛争地域を主とする23か国・地域。東アジアでは中国(177位)・北朝鮮(180位)がブラックリストに入っています。
近隣国で日本より「報道の自由が保障されている」と評価されたのは韓国(42位)と台湾(43位)。メディアと大統領の対立が顕著なアメリカは世界45位で、G7では6位。5段階評価で「問題あり」の烙印を押されたのは、日米2か国だけとなりました。
とはいえ日本は、基本的にメディアの多元主義の原則を尊重する議会制君主国と評価されていて、2010年には11位と上位に位置していました。しかしながら、2期目の安倍政権が発足した2012年以来、「記者クラブ」のシステムがフリーランサーや外国の記者を選別し、自己検閲を増大させていると批判されています。SNS上の「ネトウヨ」によるジャーナリストへの脅迫や嫌がらせもマイナス要因として働いています。
特定秘密保護法も、批判の対象。報道の自由を脅かすのは、アメリカではトランプ政権、イタリアではマフィアですが、日本では「伝統と企業の利益」だと分析されています。
ただし、報道の自由を査定しているのは国境なき記者団だけではありません。ナチズムに対抗するためにアメリカで発足したNGO「フリーダムハウス」も同様の発表を行っており、二つの評価には相当差がみられます。
フリーダムハウスが100点満点で発表している「グローバルフリーダムステータス2020」では、日本の得点は96点。政治的権利と市民的自由のうち、とくに政治的権利では満点を獲得しました。ランキングにおいても世界12位、G7中カナダ(5位)に次ぐポジションです。どちらのランキングが正しいとは言い切れませんが、報道の自由を守るのがマスコミだけの問題ではなくなっているのは事実です。
世界180か国のランキング作成方法は?
2020年4月21日、2020年の世界各国の報道自由度ランキングがRSFより発表されました。対象の180カ国・地域のうち、日本は昨年から1つ順位を上げた66位。これはG7中の最下位として、不名誉な記録を2017年から連続4年間更新してしまいました。国境なき記者団は、言論の自由や報道の自由の擁護を目的とした、ジャーナリストによる非政府組織。1985年、フランスの元ラジオ局記者によってパリで設立されました。当初の設立目的は、戦争地域などで活動するジャーナリストの金銭的・物的支援や、拘束されたジャーナリストの救出、メディア攻撃に対する非難声明、情報の自由に対する攻撃の監視などの活動を行うことでした。
2002年からは年14の団体と130人の特派員、ジャーナリスト、調査員、法律専門家、人権活動家らが、それぞれの国の報道の自由のレベルを評価するため、50の質問に回答する形式で指標が作成されます。それに基づいて発行されるリストが世界報道自由度ランキング(World Press Freedom Index)です。
質問の内容は「メディア所有者の『利害の衝突』がジャーナリストに自己検閲させる原因となることがよくありますか?」「ジャーナリストの情報源の機密を保護する法的メカニズムはありますか?」など、すべてHPで公表されています。
2006年から2014年にかけてはネット検閲などの情報統制を行っている国を調査・公表し、13か国を「インターネットの敵」と名指すなどの活動も行なっています。
上位10か国はどんな国か、ブラックリスト入りも?
RSFのHPでは、180の国・地域が報道の自由度が高い順に色別で示されています。2020年の上位10か国はノルウェー、フィンランド、デンマーク、スウェーデン等の北欧諸国を筆頭に、オランダ、ジャマイカ、コスタリカ、スイス、ニュージーランド、ポルトガルが報道自由優等国ベスト10に並びました。逆に報道の自由がなく、情報統制が敷かれている国は黒色で表示されます。2020年のブラックリストは、紛争地域を主とする23か国・地域。東アジアでは中国(177位)・北朝鮮(180位)がブラックリストに入っています。
近隣国で日本より「報道の自由が保障されている」と評価されたのは韓国(42位)と台湾(43位)。メディアと大統領の対立が顕著なアメリカは世界45位で、G7では6位。5段階評価で「問題あり」の烙印を押されたのは、日米2か国だけとなりました。
とはいえ日本は、基本的にメディアの多元主義の原則を尊重する議会制君主国と評価されていて、2010年には11位と上位に位置していました。しかしながら、2期目の安倍政権が発足した2012年以来、「記者クラブ」のシステムがフリーランサーや外国の記者を選別し、自己検閲を増大させていると批判されています。SNS上の「ネトウヨ」によるジャーナリストへの脅迫や嫌がらせもマイナス要因として働いています。
特定秘密保護法も、批判の対象。報道の自由を脅かすのは、アメリカではトランプ政権、イタリアではマフィアですが、日本では「伝統と企業の利益」だと分析されています。
ただし、報道の自由を査定しているのは国境なき記者団だけではありません。ナチズムに対抗するためにアメリカで発足したNGO「フリーダムハウス」も同様の発表を行っており、二つの評価には相当差がみられます。
フリーダムハウスが100点満点で発表している「グローバルフリーダムステータス2020」では、日本の得点は96点。政治的権利と市民的自由のうち、とくに政治的権利では満点を獲得しました。ランキングにおいても世界12位、G7中カナダ(5位)に次ぐポジションです。どちらのランキングが正しいとは言い切れませんが、報道の自由を守るのがマスコミだけの問題ではなくなっているのは事実です。
<参考サイト>
・国境なき記者団:「2020年の世界報道の自由指数」
https://rsf.org/en/ranking#
・フリーダムハウス:世界中の民主主義とネットの自由を探る
https://freedomhouse.org/explore-the-map?type=fiw&year=2020
・国境なき記者団:「2020年の世界報道の自由指数」
https://rsf.org/en/ranking#
・フリーダムハウス:世界中の民主主義とネットの自由を探る
https://freedomhouse.org/explore-the-map?type=fiw&year=2020
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