テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.10.31

相手の信頼を失うビジネスマナーとは?

 初めて取引することになる相手先の信用調査をする企業も多くあるように、ビジネスにおいて「信頼」は何よりも大切なことのひとつです。しかし、どんなに企業としての信頼度が高くても、そこで働く社員ひとりひとりの言動で信頼されなくなってしまうこともあります。

こんな取引先は信用できない! 信頼を失うマナーをアンケート

 そこで今回は、20~50代の男女20人に「この取引先は信頼できない」と感じた経験から見出した、「信頼を失うビジネスマナー」を答えていただきました。

1・レスポンスが遅く、見落としが多い
 「週の半ばにメールを送っても、返信は翌週がザラの相手先。詳細は来週でもいいから1本”メール受取りました”くらい連絡してもいいのでは」、「レスポンスが悪いと、こちらの作業が先に進めず停滞してしまう。仕事相手のことを考えていない証拠」、そんな声が集まりました。中にはレスが遅い相手は未読スルーも多く、見落としが多いという意見も。催促をしなくてはならない状況はストレスですし、信頼度も下がってしまいます。

2・大事な時に上司や上役が出て来ない
 「担当営業が2年目の新人なのに、大きな契約時も上司が同席しない取引先。結局トラブルが起きてから上が謝りに来るが、信用できないのは新人ではなく管理がなってないその上司」、「こちらが上司を連れて行っても、担当者のみでなかなか上役を紹介しない相手先。舐められている?と気分も悪いし常識がないなと感じる」等、うまく上役を出してお互い信頼度を高めたいにも関わらず、若手に丸投げする取引先に不安の声が。頭数や肩書きレベルを合わせることで敬意を感じる人も多いようです。

3・後から値切り交渉をしてくる
 「結構名のある中小企業でも納品直前に値切ってくることも。予算が厳しいなら最初の見積り時に交渉すべきだし、信頼できなくなる」、「値切るために”納期が遅れた” “修正が多過ぎた” “この作業はサービス内に入る”などなど理由をこじつけてくる取引先。対価という考え方がずれている相手は信用できない」、と後から値切り交渉してくる取引先は信頼を失う上に、もう二度と一緒に仕事はしたくないと思われます。値切るという行為は、相手に「低く評価されている」と感じさせてしまうこともあるのを意識しておくべきですね。

4・担当者がコロコロ変わる
 「1年で4人担当が変わった時には”この会社信用できない”と。聞けば離職率が高く、なるほどなと思いました」、「引き継ぎや挨拶もメール1本で毎回しれっと担当が変わる相手先。引き継ぎできているならまだしも、聞いてなかった、確認します、ばかりでほとほと信頼なんてできない」。担当者が変わるのは先方の人事や体制変更で仕方ないですが、頻度が高過ぎると経営にも不安が生じます。会社といえども実際の現場では個人間での信頼で成り立つことも多いものなのを理解しておきたいですね。

5・競合相手をチラつかせ威圧的
 「毎回競合プレゼンの案件ばかりの取引先。ムダな作業をさせることを何とも思ってないと信頼できない」、「〇〇はこのくらいやってくれた、〇〇ならいくらでやると言っている、など競合相手を引き合いに出して圧迫交渉してくる取引先。あなた達にお願いしたい、というのが信頼ってもんだと思う」。他と比較している感を出し過ぎると「それならそちらに頼めば?」と思われてしまうこともあります。足元を見られている、と感じさせると信頼度もやる気も下がってしまうのでは。

信頼を得るために、少しのプラスで出来ることとは

 上記のような「信頼を失うビジネスマナー」を読んで納得された方も多いと思います。信頼を失わないためには自分がされたくないことをしなければいいとも言えますが、信頼されるためにはもう一歩が必要です。ということで、信頼されるために実践していることも聞いてみたところ、以下のようなアドバイスが集まりました。

・連絡を密に、フォローも徹底する
メールで資料を送っても送りっぱなしではNG。重要な時は電話をして内容説明をするなどの、丁寧なフォローを心掛ける。

・相手の話をまずはしっかり聞く
こちらの提案を押し付けるのではなく、相手の話をまずしっかり聞く姿勢を見せること。仕事といっても人間関係と一緒で、話をきちんと聞いてくれる人は信頼を得やすい。

・指摘されたミスや要望を一度で覚える
同じミスを繰り返さない、一度お願いされたルールや要望を守る、など「前にも言いましたけど…」と相手に言わせないようにすると信頼される。

・チームの共通認識を整える
誰々じゃないと話にならない、ということがあると会社として信頼度が無くなる。せめてチーム内では誰が窓口になっても話が通じるレベルを保って、取引先を安心させる。

 ビジネスの場で取引先から信頼を得るには、「スピーディーかつ丁寧」「敬意をはらい相手を尊重する」「安心感を与える」、そんなポイントを意識することが大切なようです。担当者だけではなく、会社として関わることも大事ですが、やはり信頼関係は個人間の人間関係によって形成され、それが会社としてのイメージを構築しているとも言えるのでは。たったひとりの社員が信頼されないことにより、会社自体が信頼を失うこともあるということも、忘れてはいけないですね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道

機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
木下康司
元財務事務次官
2

相互依存で平和は保てるか…EUの深化・拡大の難題とは

相互依存で平和は保てるか…EUの深化・拡大の難題とは

地政学入門 ヨーロッパ編(9)EUの深化・拡大とトルコの問題

国際政治の理論として国同士の経済交流、相互依存が安全保障、つまり平和を維持できると伝統的に考えられてきたが、今般の国際政治ではそれは必ずしも当てはまらないようだ。そこでEUの問題である。国の垣根を越えて世界国家に...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/06/30
小原雅博
東京大学名誉教授
3

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者
4

江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事

江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事

AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か

昨今、生成AIに代表されるようにAIの進化が目覚ましく、「AIに代わられる仕事、代わられない仕事」といったテーマが巷で非常に話題となっている。では、AIに代わられない事とは何であろうか。そこで、『江藤淳と加藤典洋』(文...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/06/25
與那覇潤
評論家
5

寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由

寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由

睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション

私たちに欠かせない「睡眠」。そのメカニズムや役割についていまだ謎も多いが、それでも近年は解明が進み、私たちの健康に大きく関与することが明らかになっている。まずは最新情報を盛り込んだ睡眠が果たす5つの役割を紹介し、...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/06/05
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授