社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
ハイテク機器に不可欠な「タンタル」という鉱物の光と影
「紛争鉱物」と呼ばれるレアメタルがある。その代表格がタンタルというレアメタルで、末端価格で1キロ数万円になる高価なものだ。携帯電話やパソコンなどの高性能コンデンサーの基幹素材として使われ、電気をためる装置には不可欠だという。
問題は、タンタルがアフリカのコンゴやルワンダといった紛争地域から産出されていることだ。昔はオーストラリアの鉱山から採掘していたが、コストがかかるため、現在は稼働していない。
しかし、数年前までの統計情報では、オーストラリアからタンタルが産出されていることになっているという。つまり、統計上の操作が行われているのだ。
タンタルには、紛争とは関係ない地域から調達しなければいけないという世界ルールがある。よって、紛争地域から全てのタンタルを調達となると問題になるという。そのため、密輸や鉱石をスクラップに加工するなどの偽装が行われ、世界中に流通している現状がある。
それに関係しているのは多くが欧米系の商社で、最近では中国の企業が買い付ける場合もあるそうだ。日本はロンダリングされ精錬されたタンタルやその化合物を工業製品として使っているようだが、実際どこまで真実か分からないと東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏は語る。
この問題をどう考えるか。レアメタルには光(=良い部分)だけでなく影(=悪い部分)も多いのが実情である。
今の社会では、経済合理性を追求するために、タンタルに限らず多くのレアメタルについて、ロンダリングは当たり前のように行われていると考えるのが現実的であると、岡部氏は話す。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
「織田家中一の武略者」――今までの大河ドラマでは見たことがない秀吉の姿が見られるという2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。いったいどういうことなのか。日本史の中でもファンの多い戦国時代だが、特に「天下一統」に向かう...
収録日:2025/10/20
追加日:2025/12/17
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
国家が的確な情報を素早く見つけ行動するためには、インテリジェンスが欠かせない。日本の外交がかくも交渉下手なのは、インテリジェンスに対する意識の低さが原因だ。日本人の苦手なインテリジェンスの重要性について、また日...
収録日:2017/11/14
追加日:2018/05/07
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
葛飾北斎の娘であるお栄は、「応為」という画号で独自の絵画表現を切り拓いた。北斎とは異なる、女性ならではの描き方は、特に身体表現に現れ、西洋画の陰影表現の色濃い影響を感じさせる。積極的に新たな画法を吸収し、後世の...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/13
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
かのジャン=ジャック・ルソーも平和問題を考えた一人である。個人の「自由意志」を尊重するルソーは、市民が直接参加して自分の意思を反映できる小さな単位を基本としつつ、国家間紛争を解決する手段を考えた。「自由の追求」に...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/16


