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ハイテク機器に不可欠な「タンタル」という鉱物の光と影
「紛争鉱物」と呼ばれるレアメタルがある。その代表格がタンタルというレアメタルで、末端価格で1キロ数万円になる高価なものだ。携帯電話やパソコンなどの高性能コンデンサーの基幹素材として使われ、電気をためる装置には不可欠だという。
問題は、タンタルがアフリカのコンゴやルワンダといった紛争地域から産出されていることだ。昔はオーストラリアの鉱山から採掘していたが、コストがかかるため、現在は稼働していない。
しかし、数年前までの統計情報では、オーストラリアからタンタルが産出されていることになっているという。つまり、統計上の操作が行われているのだ。
タンタルには、紛争とは関係ない地域から調達しなければいけないという世界ルールがある。よって、紛争地域から全てのタンタルを調達となると問題になるという。そのため、密輸や鉱石をスクラップに加工するなどの偽装が行われ、世界中に流通している現状がある。
それに関係しているのは多くが欧米系の商社で、最近では中国の企業が買い付ける場合もあるそうだ。日本はロンダリングされ精錬されたタンタルやその化合物を工業製品として使っているようだが、実際どこまで真実か分からないと東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏は語る。
この問題をどう考えるか。レアメタルには光(=良い部分)だけでなく影(=悪い部分)も多いのが実情である。
今の社会では、経済合理性を追求するために、タンタルに限らず多くのレアメタルについて、ロンダリングは当たり前のように行われていると考えるのが現実的であると、岡部氏は話す。
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