社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
すぐに「マウント」を取る人の心理と対処法
「マウントを取る」で用いられる「マウント」の由来「マウンティング」(mounting)は、『生物事典』に「哺乳類の雄が他の雄に馬乗りする行動」と定義されているように、サルなどの集団で生活する動物が群れの中で優位性を確認するための行動を意味しています。
ニホンザルで詳しく研究された「マウンティング」ですが、近年は心理学や脳科学の観点からも援用され、人間の社会的な言動にまで意味を広げて用いられるようになりました。
そして、客観的に見れば優位性がなかったとしても、とにかく相手より優位に立ちたい人を、“すぐに「マウント」を取る人”と表するようにもなってきました。
自信がない人が本来なすことは、努力して実力を付けることによって自身を持つこと。すなわち自分の絶対値の強化にいそしむべきです。
しかし、すぐに「マウント」を取る人は、自信のなさをゆがんだ承認欲求の強化や現状に対する不満へなどへ転化し、集団内で相対的な序列を高めることを目的化して、安易に安心感を得ようとします。つまり、自分を高めることにリソースを割くことをせずに、他人を落とすことによって、たとえ一時的であったとしても、相対的に自分の価値を高めることを目的としています。
そのため、すぐに「マウント」を取る人は往々にして、横着、怠惰、不勉強、不見識、他責的、他罰的、攻撃的、利己的、わがまま、身勝手、不合理、不条理、自己愛の肥大、客観性の欠如、社会性の未成熟などの特徴が目立つことになります。
そして、「攻撃をしかけられたときには、何も言わずじっと相手の目を見つめてみましょう。あなたを攻撃する人の目は、実はあなたの頭頂部辺りを見ています。あなたが相手を苦手に感じるように、心の中では相手もあなたが苦手なのです。その状態であなたから目を合わされたら、相手は驚き、不気味に感じて話しかけづらくなります」と、述べています。
他方、サルの世界から得られた用語「マウント」には、サルにまつわる真理ともいえることわざを援用し、役立ててほしいとも思います。すなわち、「見ざる・聞かざる・言わざる」の「三猿(さんえん)」の観点に立って、精神的にも物理的にも、すぐに「マウント」を取る人をできうる限り避けるということです。
「三猿」の本義は“悪しきことを遠ざけよ”ですが、すぐに「マウント」を取る人に対する最適の対処法は、関わりをできるだけ遠ざけたり避けたりすることにつきます。
人間関係はどこまでいっても相対的なものであるからこそ、自分で自分を満たせない人や満たそうとしない人とは、避けることや関わりを断ったり減らしたりすることが王道かつ無難です。ぜひ自身を省みつつ、試してみてほしいと思います。
ニホンザルで詳しく研究された「マウンティング」ですが、近年は心理学や脳科学の観点からも援用され、人間の社会的な言動にまで意味を広げて用いられるようになりました。
そして、客観的に見れば優位性がなかったとしても、とにかく相手より優位に立ちたい人を、“すぐに「マウント」を取る人”と表するようにもなってきました。
すぐに「マウント」を取る人の心理とは?
そんな風に広く用いられるようになってきたすぐに「マウント」を取る人ですが、その心理を表すと、「自信がない」の一言につきます。自信がない人が本来なすことは、努力して実力を付けることによって自身を持つこと。すなわち自分の絶対値の強化にいそしむべきです。
しかし、すぐに「マウント」を取る人は、自信のなさをゆがんだ承認欲求の強化や現状に対する不満へなどへ転化し、集団内で相対的な序列を高めることを目的化して、安易に安心感を得ようとします。つまり、自分を高めることにリソースを割くことをせずに、他人を落とすことによって、たとえ一時的であったとしても、相対的に自分の価値を高めることを目的としています。
そのため、すぐに「マウント」を取る人は往々にして、横着、怠惰、不勉強、不見識、他責的、他罰的、攻撃的、利己的、わがまま、身勝手、不合理、不条理、自己愛の肥大、客観性の欠如、社会性の未成熟などの特徴が目立つことになります。
すぐに「マウント」を取る人の対処法
すぐに「マウント」を取る人の対処法として、心理カウンセラーの石原加受子氏は、1)「自分なんて」という卑屈な気持ちを取り払うこと、2)攻撃を受けても何食わぬ態度で過ごすこと――が、最も重要な基本姿勢であるといいます。そして、「攻撃をしかけられたときには、何も言わずじっと相手の目を見つめてみましょう。あなたを攻撃する人の目は、実はあなたの頭頂部辺りを見ています。あなたが相手を苦手に感じるように、心の中では相手もあなたが苦手なのです。その状態であなたから目を合わされたら、相手は驚き、不気味に感じて話しかけづらくなります」と、述べています。
他方、サルの世界から得られた用語「マウント」には、サルにまつわる真理ともいえることわざを援用し、役立ててほしいとも思います。すなわち、「見ざる・聞かざる・言わざる」の「三猿(さんえん)」の観点に立って、精神的にも物理的にも、すぐに「マウント」を取る人をできうる限り避けるということです。
「三猿」の本義は“悪しきことを遠ざけよ”ですが、すぐに「マウント」を取る人に対する最適の対処法は、関わりをできるだけ遠ざけたり避けたりすることにつきます。
人間関係はどこまでいっても相対的なものであるからこそ、自分で自分を満たせない人や満たそうとしない人とは、避けることや関わりを断ったり減らしたりすることが王道かつ無難です。ぜひ自身を省みつつ、試してみてほしいと思います。
<参考文献>
・「マウンティング」『旺文社 生物事典』(旺文社)
・「職場の最新心理学<52>マウンティングばかりする先輩は何を考えているのか」『プレジデント』(2018年10月1日号、石原加受子著、プレジデント社)
・『他人を攻撃せずにはいられない人』(片田珠美著、PHP新書)
・「見ざる聞かざる言わざる」『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
・「マウンティング」『旺文社 生物事典』(旺文社)
・「職場の最新心理学<52>マウンティングばかりする先輩は何を考えているのか」『プレジデント』(2018年10月1日号、石原加受子著、プレジデント社)
・『他人を攻撃せずにはいられない人』(片田珠美著、PHP新書)
・「見ざる聞かざる言わざる」『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは
歴史の探り方、活かし方(3)古書店巡りからネット書店へ
古本のインターネット書店が充実し、史料探しはずいぶん楽になった現在だが、地方にある書店の地元出版コーナーも見逃せない。新書などの文献目録を参考にするという手もあると中村氏は言う。ではそうして歴史を調べ、たどって...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/21
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
ある国について、あるいはその社会についての詳細な実状は、なかなか外側からではわからないところがあります。やはり、その国についてよくよく知るためには、そこに住んでみるのがいちばんでしょう。さらにいえば、たんに住む...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/20
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10


