社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「ペッパー」安すぎる時給が人間の仕事を奪う!?
※画像はイメージです。
ソフトバンクが発売したロボット「Pepper」。各種センサーを搭載し、人間の感情を読み取り、さらに自分で考えてリアクションができる性能まで備えている。発売と同時に大ヒット商品となったペッパー君だが、先月、レンタルが発表された。受付業務やティッシュ配りなどをすることが想定されているそうだ。さて、そんな「彼」の「時給」をご存じだろうか?
時給は人間より高め
彼の時給はなんと1,500円。発表と同時にSNS上では「自分より高い!」「ロボットに負けた…」といった多くの悲鳴が上がった。たしかにロボットよりも安い時給で働いている人は日本にごまんといるだろう。今年5月時点での全国のアルバイト平均時給は982円。ペッパー君は平均よりも500円も高いのだ。
しかしサラリーマンと比べると割安
ではサラリーマンと比べるとどうだろう? 日本のサラリーマンの平均年収は2013年時点で約414万円。さて、時給に換算するといくらだろうか?年間の出勤日数は240日、残業時間は月30時間だと仮定する。240×8+12×30=2,280時間という年間労働時間が出てくる。平均年収でこれを割ると、約1,815円だ。アルバイトの約8割増しの時給をもらっている計算になる。実際には、ここに有給休暇なども入ってくるので、実際の時給はもっとアップするだろう。
ペッパー君よりも高い給料をもらっていると言えるわけだ。
しかし、そもそもペッパー君は「安い」
しかし、そもそもペッパー君の購入価格は198,000円。時給1,500円だと、労働時間にしてたった132時間だ。時給1,000円だとしても198時間。時給1,000円の受付を1か月半分くらいの給料で「買えて」しまう。1か月半を超えた分は、ずっとただで働いてくれるアルバイトがいるようなものだ。しかも、アルバイトやサラリーマンなど、人間を雇うコストは何も給料だけでない。交通費や保険料、教育コストや制服代、トイレや休憩室などの共益費などもすべてかかってくる。企業が払っているのは何もあなたの給料だけではないのだ。
そう考えると、サービス業まで出来るロボットの登場は脅威だと言える。今までは、工場など、製造の現場がロボットの活躍する主な舞台だった。接客や、企画や分析などの第三次産業の分野は人間が必要とされ、ロボットの登場の余地はなかった。
だからこそ、それなりの賃金も保障されたわけだが、今後人工知能やセンサーの開発が進めば、そうも言ってられないだろう。競争相手は、資格やスキル、経歴を積み重ねた人間ではない。
「疲れず」「時給もあなたよりも安く」「新しい知識も一瞬で習得してしまう」ロボット。そんなハイスペックの「彼ら」と限られたポストを争う時代がついそこまで迫っているのだ。
近い将来、面接の場で、進化したロボットと隣に並んだ時、あなたは「彼ら」よりも上手に自分をアピールする準備を整えていた方がいかもしれない。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
実際に史料をどうやって読み解いていけばいいのか。今回から具体的な史料の読み解き方をケース・スタディしていく。最初は『太閤記』に関する参考資料を用いて、太閤・豊臣秀吉と関白・秀次の関係を考える。そもそも『太閤記』...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/22
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
労働経済を学んでいた島田氏は、ウィスコンシン大学留学中、労働者の教化運動に参加している。アメリカ産業史を学習する中、労働運動の実態を触れ、ウォルター・ルーサーとヘンリー・フォードの熾烈な闘いを知ったからだ。労働...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/18
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23


