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DATE/ 2015.08.01

誰もがおちいる単純な考え方「二元論」にご注意!

 「二元論」とはどんなものかご存知だろうか?

 ものごとは、あい反する2つの原理や要素から構成されていると考えることだ。例えば「善と悪」や「精神と物体」などだ。

 中東研究で有名な歴史学者の山内昌之氏は、歴史を語る上で「素朴な善悪の二元論だけで語っていくこと」に疑問を提している。

 歴史とは複雑に関係しあった様々な事柄を全てを含んで成り立つものだ。そこに含まれる事柄を事細かに分析し、全体を俯瞰して考えていく必要がある。部分と全体を交互に両方みていく構えが必要だ。

 ただ、実際にはもっと単純化してとらえてしまう事例が多い。

 例えば「日本近代史は悪の連続だ」などといって歴史のプロセスを単純化したり、逆に、侵略戦争や植民地支配の負の現実を忘れ、単に「善」と解釈していては、歴史が成立していく複雑性や多様性をとらえることはできない。

 二元論におちいったために、あまりにも歴史を単純化してしまう事例だ。「歴史とは、多くの決定要因がある複合的なものだ」ということを前提に善悪の二元論を超えて考えていかないといかないのだ。

 「二元論」は、わたしたち個々の思考や生活にも深く関係してくることだ。単純にものごとを解釈したり、そういった理屈を聞いて、間違った方向に向かってはいないだろうか?

 戦後70年を迎える日本の政治。与野党に横たわる様々な問題にも当てはまる事柄だ。次の一歩を踏み出すには、「二元論」という単純思考から抜け出すことがまず必要だろう。

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授