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DATE/ 2024.12.01

自己肯定感を高める3つの方法とは

 自己肯定感とは「自分はありのままでいい、生きているだけで価値ある、という感覚」であると、心理カウンセラーの山根洋士氏は説いています。

 ちなみに、「自己肯定」とは「自己のあり方を自分自身で認めること」ですが、「自己肯定感」には「感」が付くように、あくまでも「感覚」です。

自己肯定感を低める「メンタルノイズ」

 自己肯定感は誰もが持っている感覚で、本来は正常な感覚として機能しています。ではどうして、ありのままの自分を肯定する感覚が希薄となり、自己肯定感が低いと感じてしまうのでしょうか?

 山根氏は、幼少期の経験から潜在意識に刻みつけられる“心のクセ”ともいう「メンタルノイズ」が原因だと説きます。代表的な「メンタルノイズ」は、以下の14タイプに分類されています。

 「メンタルノイズ」の代表的な14タイプ
(1)ダメ出しノイズ=自分は重要でないほうがいい
(2)ありのままの自分封印ノイズ=自分のままでいないほうがいい
(3)思考停止ノイズ=自分は考えないほうがいい
(4)他人ファーストノイズ=欲しがらないほうがいい
(5)謙虚謙遜ノイズ=受け取らないほうがいい
(6)出ない杭ノイズ=達成しないほうがいい
(7)石の上にも三年ノイズ=がまんしたほうがいい
(8)他人がこわい裏切りノイズ=信用しないほうがいい
(9)ちゃんとしなきゃノイズ=子どもでないほうがいい
(10)幸福恐怖症ノイズ=幸せにならないほうがいい
(11)完璧主義ノイズ=完璧でないといけない
(12)タイムイズマネーノイズ=急がないといけない
(13)おもてなしノイズ=喜ばせないといけない
(14)ドMノイズ=努力しないといけない

 気になるものやあてはまるものはあったでしょうか。「メンタルノイズ」があることを意識しながら、自己肯定感を高める“メタ的”3ステップとして、以下の方法を試してみてください。

ステップ1・「ありのまま」を取り戻す

 まずは自分の状態をメタ認知しましょう。そのために、自分の意識に深く浸み込んでしまっている「メンタルノイズ」を「裏表思考法」を使って、書き出してみましょう。

 「裏表思考法」の方法は簡単です。何かに行き詰まりを感じた際に、(1)うまくいったら実は困ること(目標が叶ってしまったらまずいこと)、(2)うまくいかないほうが実は得すること(現状で変わらないでいることで得していること)――の2パターンで考え、思いつく限り書き出してみてください。

 例えば、進路希望でアメリカ留学を考えたとき、(1)うまくいったら実は困ることとして、「アメリカが好きになりすぎて帰国したくなるかも」「アメリカで恋人ができたら親にどうやって紹介しよう」などが、(2)うまくいかないほうが実は得することとしては「今までの生活を変える必要がないから安心」「親ともめることがない」などが挙げられます。

 実践のコツは、(1)紙に書き出す(スマホやPCでもよいが筆記の自由度と速度が高い方がベター)、(2)思いついたこと全て書き殴る(最低6個)、(3)意味ありげな書き殴りを検証する(検証ポイントは「それは万人共通なのか」「それは真理なのか」)――です。書き出しと検証を経て、自分固有の「メンタルノイズ」が浮かび上がってきます。

 「メンタルノイズ」がメタ認知できれば、具体的な行動に落とし込んで対処することができます。また、たとえ対処ができない場合でも、「メンタルノイズ」が特定できた時点で納得してすっきりし、「ありのまま」や「今のまま」を受け入れることができることにもつながります。

ステップ2・「心の断捨離」の実行

 次に、「STOP(やめること)リスト」の作成をしてみましょう。

 「STOP(やめること)リスト」とは、「TODO(やること)リスト」の逆です。「やめたいこと」を毎日1つ書き出し、実行してみてください。例えば、「就寝前に1時間読書をする」ではなく「就寝前1時間はスマホを手に取ることをやめる」などです。

 実践のコツは、(1)やらされ感がなく(受け身ではない)、(2)自分で決めて(自発の姿勢)、(3)挫折しない(小さな目標設定から始める)――です。まずは「ありのまま」の感覚を思い浮かべながら、「心の断捨離」を行ってみてください。

 意識するものを減らし優先度が低いことをやめることは、優先度の高いことにより集中できるだけでなく、感覚の負荷を減らしてくれます。

ステップ3・「プラスの感覚」を体感させる

 この段階にきてようやく、自己肯定感を整えることにも効果的な、「プラスの感覚」を自己に体感させることができるようになります。そして、「プラスの感覚」メソッドは多数あるため、自分にあったものを試すとよいと思います。ただし、無理をすることは厳禁です。そこで、まずは以下のような簡単で短時間でできる方法を試してみてください。

・「1行日記」をつける

 毎日寝る前に1日を振り返り、素直に“いいね!”と感じたこと(よかったこと)を1行だけ書き出してみてください。慣れてきたら、「スリー・グッド・シングス(3つのよいこと)」として、よかったことを3つ(3行)書き出すことに発展させることもできます。

・ほめられたことを思い出す

 最近ほめられたことや誰かを手助けし感謝されたこと、小さい頃にほめられたことや得意だったことなどどんな些細なことでもよいので、ほめられたことやそれに類すること(得意だったこと、感謝されたことなど)を思い出しましょう。思い出しにくい場合やすぐ忘れてしまう場合は、書き出してみることもオススメです。自分軸で考えるくせをつけ、自分に意識をむけるくせをつけることにもつながります。

・素直に感じたことを否定しない

 素直に感じることとは、感情を評価も判断もせずに受け入れることです。例えば、今日の天気に対して思うことはあったとしても(「雨が降ると足場が悪くなるから嫌だな」など)、基本的には感情的に評価や判断などせずに受け入れていると思います。そのように、自己が感じた喜怒哀楽を、まずは評価や判断をせずに素直に感じてみてください。

・自分の周りの素晴らしい人を思い浮かべる

 誰しも主観的にしか世界をみることはできません。そう考えると、“他者の長所を発見する”ことは、“自己の中にもその長所を認めることができる能力がある”ということです。まずは、自分の周りの素晴らしい人の優しさや素敵なところなどを思い浮かべてみてください。余裕ができたら自己に投影してみましょう。

・小さな成功体験を積み重ねる

 メタ認知は大切ですが、頭で思考するだけや意識するだけでは、感覚はつかめません。「ありのまま」を意識することができたなら、まずは小さなことから「ありのまま」に主体的に行動し、「ありのまま」に成功できる体験を自分に贈ってあげてください。自己肯定感を整えたり、高めたりすることにつながります。なお、上記で紹介した4つの方法の実践も、日々の小さな成功体験を積み重ねとなっていきます。

「ありのまま」と「今のまま」

 ところで、自己肯定感について考えたり取り組んだりする際は、いわゆる意識高い系のように高低で意識したり無理に高めたりするというイメージよりも、“感覚を整える”といったイメージで考えたり取り組んだりした方がよいように思われます。

 そのうえで、“整える感覚”とは「ありのままの自分を受け入れる」ように人それぞれ固有の感覚となるため、個人や状況に応じた手順や方法が必要になってきます。自己にあった方法をより詳しく知りたい方は、関連書を読んだり専門家に相談したりしてみてください。

 なお、「ありのまま」と「今のまま」は違います。「ありのまま」とは変えられない(ある意味においては変える必要もない)本質的なもの、「今のまま」は単なる現状です。そのため、「ありのまま」を肯定することは、「今のまま」に甘んじることや悲観することとバッティングすることにはなりません。

 ただし、感覚は気分や好みや状況によって、感じ方が違うものです。大切な今の自分にあわせて、ぜひいろいろな方法を試してみてください。

<参考文献・参考サイト>
・『「自己肯定感低めの人」のための本』(山根洋士著、アスコム)
・『敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法』(山根洋士著、アスコム)
・自己肯定感低めの人がやってしまう14パターンの「心のクセ」│DIAMOND online
https://diamond.jp/articles/-/274262
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