テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2015.08.16

爆買い!中国人は何を基準にお金を払うのか?

 コスメや医薬品など日用品から炊飯器や温水便座などの家電、さらにはブランドバッグ、時計などの高級品まで、今年初頭から毎日のように報じられていた中国人の豪快な買いっぷり、いわゆる「爆買い」。

 家電量販店、ドラッグストア、百貨店は中国語が話せる従業員を数多く用意する“中国人向けシフト”を敷き、「免税」「銀聯(ぎんれん・中国人観光客が資金決済に使うクレジットカード)」とでかでかと掲げた看板が目立つ店も多かった。

中国人観光客の世帯年収は意外と低いという事実

 果たしてその実態はどのようなものだったのか。

 観光庁が発表した2015年1~3月期の訪日外国人消費動向調査によると、中国人観光客の平均消費額は25万2,928円。国籍・地域別で堂々のトップとなり、訪日客平均14万3,205円の約1.8倍の額だ。数字上でも「爆買い」がはっきりと表れている。

 だが、2010年の統計で中国がGDP世界第2位に躍り出たとはいえ、1人当たりGDPでは2014年はまだ7,500ドル程度。同調査でも世帯年収は500万円未満と回答した旅行者が過半数を占める(未回答者除く)。

 所得の割に大きな額を消費している理由は、知人から日本での購入を依頼されているため。日本人に比べて中国人は旅行の計画性がないと言われることもあるが、こと買い物に関しては来日前に「お買い物リスト」をしっかり用意しているケースが少なくない。自分が欲しいものはもちろん、知人の期待を一身に集め、意気揚々と買い物旅行で日本を訪れるのだ。

爆買いの原動力は性能より信頼感

 では、その「お買い物リスト」には何が載っているのか?  化粧品、家電、ブランド品が「爆買い」の王道だが、日本製なら何でも良いというわけではない。中国の市場にも日本製の商品は流通しているが、「日本で販売されているものは高品質」と信じられているため、中国で流通している商品でもわざわざ日本で買うというケースも多い。つまり信頼感を求めて日本で買い物をすると言っても過言ではない。

 日本人であれば家電を選ぶ時に性能を比較して購入を検討するだろう。だが、中国人にとって重要なのは性能より信頼感。

 例えば日本の電気シェーバー市場は上位からパナソニック、ブラウン、フィリップスの順で、この3社が3大メーカーと呼ばれるが、中国人から圧倒的支持を得ているのはフィリップス。中国でも知名度が高いことで信頼を勝ち取ったようだ。

 桜が満開になる頃の4月上旬、新宿にある家電量販店の電気シェーバー売り場をのぞいたところ、フィリップスのみ完売。店員も「中国人のお客様がどんどん買われていきますね」と「爆買い」の影響力にホクホク顔だった。

 日本政府観光局(JNTO)によると、中国人観光客は6月までの上半期を終えた時点で217万8,600人で韓国、台湾を抑え1位。前年比は驚異の116.3%だ。

 消費意欲旺盛で、訪日人数もトップを走る中国人。性能が良いだけでは買ってくれない中国人の気質を理解した上で、市場展開を考えるべきだろう。

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

40歳未満は2%…若手政治家が少ないという大きな問題

40歳未満は2%…若手政治家が少ないという大きな問題

「議会と民主主義」課題と処方箋(6)若者の政治参加率が低いという問題

若者にもっと政治に参加してもらうためにはどうすればいいのだろうか。若年層の投票率の低さはそのまま政治への関心の低さを表しているが、実際に彼らの政治参加を阻む要因として、被選挙権の年齢が高く、また政治家という職業...
収録日:2024/06/07
追加日:2024/11/24
2

“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは

“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは

空海と詩(4)詩で読む『秘蔵宝鑰』

“悠々たり悠々たり”にはじまる空海『秘蔵宝鑰』序文の詩文。まことにリズミカルな連呼で、たたみかけていく文章である。このリフレインで彼岸へ連れ去られそうな魂は、選べる道の多様さと迷える世界での認識の誤りに出会い、“死...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/23
鎌田東二
京都大学名誉教授
3

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
4

日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化

日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化

日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化

大転換期の真っ只中にいるわれわれにとって、日本の特性を強みとして生かしていくために忘れてはいけないことが二つある。一つは日本が森林山岳海洋島国国家であるというその地理的特性。もう一つは、日本文化の根源としての縄...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/16
田口佳史
東洋思想研究家
5

謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像

謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像

日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学

日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14