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DATE/ 2022.04.14

車に積んではいけないものとは?

 キャンプブームやコロナ禍でも安心の移動手段として車の出番は増えています。こうした流れもあり、最近では居住空間を広くとれるスーパーハイトワゴンといった軽自動車も大人気です。車内にさまざまなものを持ち込んでいる人もいるのではないでしょうか。ただし、実は車に積んでおく法律違反となってしまうようなものもあります。確認しておきましょう。

「マイナスドライバー」「ドリル」「バール」

 一人でも楽しむことのできるDIYは大人気です。しかし、工具を車に積んだままにしている人は要注意。特に「マイナスドライバー」や「ドリル」「バール」等の工具を正当な理由なく車内に隠し持っていたとみなされた場合、「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(特殊開錠用具所持禁止法)」=通称「ピッキング法」に違反するとして罪に問われる可能性があります。この法律の第16条に記載されていている罰則は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。なかなか重い罪であることがわかります。

 ここに挙げた「マイナスドライバー」や「ドリル」「バール」といった工具は、同法において「指定侵入工具」に指定されています。つまり、ピッキングして他人の家や車に侵入しようとしているのではないか、ということが疑われているのです。細かくは、マイナスドライバーの場合「先端部が平らで、その幅が0.5cm以上、柄を含んだ長さが15cm以上」であるもの、またバールは「使用箇所の幅が20mm以上で長さが240mm以上」、電動ドリルは「ドリル本体と直径10mm以上の刃の両方揃った状態」といったものが侵入工具とみなされます。ただし、建設業や引っ越し業、車の修理のため、購入した直後、といったことが証明できる場合は問題とならないようです。

「ハサミ」「カッターナイフ」

 工具とまでいかなくともハサミ、カッターナイフ、刃体が6㎝未満のナイフ(十徳ナイフなども含む)といったものを携行していると軽犯罪法に違反します。軽犯罪法第1条2号には「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者は、拘留又は科料に処する」と記載されています。これはたとえ護身用であったとしても同じです。

 また、ナイフの刃体が6㎝を越えていた場合は「銃砲刀剣類所持等取締法」=通称「銃刀法」に違反するとして、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。この場合も護身用であっても同じです。しかし、たとえば調理師が仕事場に行くときに持ち歩く、また家で使うものを買った帰り道といった場合は罪になりません。問題はその必要性をきちんと証明できるかどうか、ということのようです。

積んだままにはしないこと

 例えばキャンプに行くとすれば、さまざまなものを持っていくでしょう。ナイフや料理バサミなどの調理用具やちょっとした工具なども必要です(ちなみにプラスドライバーは指定侵入工具ではありません)。この場合、もし検問があったとしても疑われないように収納し、しっかりとその用途を説明することができれば問題はないでしょう。

 ただし、用が済んだ後もそのまま車に積んだままにしておくと、説明ができないことになります。また人の引っ越しを手伝ったあと、片付けを後回しにしてその際に使った工具を積んだままにしておくということもあり得ます。特に空き巣や車上狙いなどが起きている地域では、検問などが強化され、警察はこういった所持品に目を光らせています。少なくともここに挙げた器具は、使わないときには必ず車から降ろしておく意識を持っておきましょう。また、降ろし忘れがないようにトランクも含めて普段から車の中は整理整頓しておくことも忘れずに。

<参考サイト>
車に積んではいけないものは?正当な理由なく載せてはいけない工具類|cobby
https://cobby.jp/prohibited-items.html
まさかそんなもので逮捕も!? 意外に知らないクルマに積んではいけない車載工具|ベストカーWeb
https://bestcarweb.jp/feature/column/272113
逮捕の可能性も!? 車に積んではいけない工具5選|CarMe
https://car-me.jp/articles/10834
刃物の話|警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/drug/hamono/hamono.html
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